アニポケ転生者物語 作:投稿者
「ケッキング、『はかいこうせん』!!」
センリさんの号令と共に、ケッキングの口元に莫大なエネルギーが収束された。
通常、ケッキングは一度技を出すと特性『なまけ』の影響で動けなくなる。だが、その一撃の威力は、伝説のポケモンにも匹敵する。
空間が歪むほどのエネルギー密度。
「ジュプトル、かわせ!!」
サトシが叫ぶ。ジュプトルは空中で身を翻し、間一髪で光線を回避した。
背後の壁が激しく砕け散り、巨大な風穴が開く。
「(避けても、その風圧だけで体力が削られる……)」
「今だ!ケッキングが動けないうちに決めろ!『リーフブレード』!」
ジュプトルが急降下し、刃を叩き込む。
だが、ケッキングは寝そべったまま、その太い腕でジュプトルの刃をガッチリと受け止めた。
「なっ!?動けないんじゃ……」
「『なまけ』は、休みながら力を溜める時間でもあるのだよ。……投げ飛ばせ!」
センリさんの冷徹な指示。
ケッキングはジュプトルを軽々と放り投げ、地面に叩きつけた。
「ジュプトル、戦闘不能!」
「……強すぎるぜ」
サトシは最後の一匹、ピカチュウを繰り出した。
「ピカチュウ、お前しかいない!俺たちの全てをぶつけるぞ!」
ピカチュウは、ケッキングの巨体に向かって果敢に突っ込んでいった。
『でんこうせっか』で攪乱し、『10まんボルト』で麻痺を狙う。
だが、ケッキングは『あくび』でピカチュウを眠りに誘い、『気合パンチ』で一気に勝負を決めに来る。
「眠るなピカチュウ!自分の電気で目を覚ませ!!」
サトシの無茶苦茶な指示に、ピカチュウが自らに電撃を浴びせ、眠気を強制的に吹き飛ばした。
「ピカァァッ!!」
「今だ!ケッキングが大きく拳を振りかぶった瞬間、その腕を駆け上がれ!」
ピカチュウは、振り下ろされる巨腕を逆に足場にして駆け上がり、その脳天へと肉薄した。
ケッキングの目が驚きに見開かれる。
「最大出力の『アイアンテール』!!」
「ピィィィカァァァッ!!」
鋼鉄の尾が、ケッキングの額を直撃した。
全体重と落下エネルギー、そしてサトシの執念が乗った一撃。
流石のケッキングも、至近距離からの全力の打撃には耐えられず、その巨体がゆっくりと、しかし激しく地面へと崩れ落ちた。
「……ケッキング、戦闘不能。よって勝者、挑戦者サトシ選手!!」
静寂。そして、家族たちからの歓声が沸き起こった。
「やった……!勝ったぞ!パパに勝ったんだ!」
サトシがピカチュウを抱き上げる。
センリさんは、倒れたケッキングを労うと、サトシの元へ歩み寄った。
「……お見事。君のその『常識に囚われない戦い方』。私の想像を超えていたよ」
センリさんは、銀色に輝くバランスバッジを差し出した。
「おめでとう、サトシ君。君は、自分の力でこの壁を越えたんだ」
「ありがとうございます!」
サトシが五つ目のバッジを手に入れた後、センリさんは俺の方を向いた。
「さて、ミナト君。……明日は君の番だ。……息子の戦いを見て、何か掴んだかな?」
「はい。……センリさんの『静と動』。俺なりの答え、用意してきました」
俺は、自分のボールたちに触れた。
サトシの熱いバトルは、俺の心にも火をつけていた。
最強の父親。その真の力を、今度は俺が引き出す番だ。
「楽しみにしてるよ。……さあ、今夜は祝杯だ!」
その夜、トウカジムには賑やかな笑い声が絶えなかった。
だが、俺の意識は既に明日のバトルのシミュレーションへと向かっていた。
ノーマルの極致。
それを打ち破るための、俺たちの戦法。
夜の静寂の中で、俺は静かに闘志を研ぎ澄ませていた。
ペリッパー、マッスグマ、コドラ。
お前たちの出番だ。