アニポケ転生者物語   作:投稿者

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第250話

翌朝。トウカジムの空気は、昨日とはまた違う、冷徹な緊張感に包まれていた。

センリさんの前には、俺が立っている。

「準備はいいか、ミナト君。……君には、サトシ君の時よりもさらに厳しい条件で戦ってもらう」

 

「望むところです」

 

「ルールは3対3のシングルバトル。……だが、私のポケモンたちは昨日以上に『本気』だ。君がカントーの覇者であることを考慮し、手加減は一切しない」

 

バトルの幕が上がった。

センリさんの先発は、ヤルキモノ。

「ヤルゥゥッ!!」

昨日のサトシ戦で見せた以上の、凄まじい殺気を放っている。その動きには一切の無駄がなく、爪の一振りが空気を切り裂く音が聞こえるほどだ。

 

「(スピードと連撃か。……なら、こちらはそれを上回る『環境』で迎え撃つ!)」

 

俺は、最初の一匹を繰り出した。

「行け、ペリッパー!」

 

「ペリィィッ!!」

大きな嘴を持つペリッパーが現れると同時に、ジムの天井付近に急速に雨雲が発生した。

特性『あめふらし』。

フィールド全体に激しい雨が降り注ぎ、視界が悪化する。

 

「ほう、天候操作か。……だが、ヤルキモノの動きは止まらんぞ!『でんこうせっか』!」

 

ヤルキモノが雨の中を残像のように駆け抜ける。水しぶきを蹴散らし、ペリッパーに肉薄する。

「速い……!」

 

「ペリッパー、上空へ!『あまごい』でさらに雨足を強めろ!」

 

ペリッパーは翼を大きく広げ、雨のカーテンを厚くした。

ヤルキモノの足元が水浸しになり、ステップが僅かに狂う。

「(今だ!)」

 

「『しおみず』!!」

 

ペリッパーが嘴から大量の海水を吐き出した。

雨で濡れたヤルキモノに、高圧の水流が逃げ場なく襲いかかる。

「ヤルッ……!?」

ヤルキモノは水圧に押し流され、壁まで吹き飛ばされた。

 

「続けて、『ぼうふう』!」

 

雨の中、巨大な竜巻が発生した。

必中の暴風。ヤルキモノは必死に爪を地面に立てて耐えようとしたが、暴風の威力には抗えず、空中に巻き上げられた。

そのまま地面に叩きつけられ、戦闘不能。

 

「ヤルキモノ、戦闘不能!」

 

「……見事な環境利用だ。水技の威力を高め、かつ相手の機動力を削ぐ。……テスターらしい、合理的な戦い方だね」

センリさんはヤルキモノを戻し、二匹目を繰り出した。

 

「だが、これはどうかな?行け、マッスグマ!」

 

センリさんの二匹目は、俺と同じマッスグマ。

だが、その毛並みはより滑らかで、全身から『神速』のオーラが漂っている。

113番道路の火山灰で鍛えた俺のマッスグマとは、また違う種類の強さを感じる。

 

「(同種対決か。……面白い)」

 

俺は、自分のマッスグマを繰り出した。

「行け、マッスグマ!本物の速さ、教えてやれ!」

 

「マッスゥッ!!」

二匹のマッスグマが、フィールドを一直線に駆け抜けた。

目に見えないほどの超高速の衝突。

火花が散り、衝撃波がスタジアムを揺らす。

 

「(速い……!センリさんのマッスグマ、完全に俺の動きを読んでいる!)」

 

「ミナト君、マッスグマの強さは直線的なスピードだけではない。……その加速を利用した”いなし"だ!」

 

センリさんのマッスグマが、俺のマッスグマの突進を受け流し、そのまま尻尾で足を払った。

「(しまっ……!)」

 

トウカジム戦、中盤。

ノーマルタイプの深淵が、俺の前に立ちはだかっていた。

俺はこの「速さの迷宮」を、どう打ち破るか。

仲間との絆が、今、試されようとしていた。

 

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