アニポケ転生者物語   作:投稿者

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第251話

二匹のマッスグマによる、限界を超えたスピードバトル。

センリさんのマッスグマは、俺の指示を先読みするかのような完璧な機動で翻弄してくる。

「マッスグマ、『はらだいこ』!」

隙を突いて、センリさんのマッスグマが自身の体力を削り、攻撃力を最大まで引き上げた。その全身から、制御しきれないほどの闘争本能がオーラとなって溢れ出す。

 

「(一撃で終わらせる気か……! まともに受ければ沈む。なら!)」

 

「マッスグマ、受けるな! 『しんそく』で真っ向から相打ちに持ち込め!」

 

俺の叫びに応え、俺のマッスグマもまた極限の加速を見せた。二匹の白い閃光が、フィールドの中央で正面衝突する。

凄まじい衝撃波が観客席まで届き、土煙が舞い上がる。

煙が晴れた時、そこには力尽きた二匹のマッスグマが横たわっていた。

 

「両者、戦闘不能!」

 

審判の声が響く。これで俺の残る手持ちは一体。そして、センリさんも次が最後の一体だ。

「……ふむ。相打ちを選んだか。君の決断の速さ、そしてマッスグマの迷いのない突撃。実に見事だ」

センリさんはマッスグマを戻すと、慈しむように最後のボールを握りしめた。

 

「さあ、真打の登場だ。……暴れなさい、ケッキング!」

 

「グォオオオォォォッ!!」

地鳴りのような咆哮と共に現れたのは、トウカジム最強の守護神、ケッキングだった。

その圧倒的な質量感と、全身から漂う「王」の風格。サトシを絶望の淵に追い込んだあの巨躯が、今度は俺の前に、超えなければならない最後の壁として立ちはだかる。

 

「(ケッキング……。まともにやり合えば、伝説のポケモンですら危うい破壊力だ。……だが、俺にはこの日のために鍛え上げた『最強の盾』がいる!)」

 

俺は、最後の相棒を繰り出した。

「頼むぞ、コドラ! お前の全てを、この一戦に刻め!」

 

「コドォッ!!」

白銀の重装甲を纏い、より重厚に進化したコドラが、大地を割らんばかりの勢いで踏みしめる。

「ほう、ココドラがコドラに進化したか。……だが、私のケッキングの拳は、鋼の鎧すら紙細工のように粉砕するぞ!」

 

「ケッキング、『爆裂パンチ』!!」

 

ケッキングが大きな欠伸をした直後、爆発的な瞬発力で距離を詰めてきた。

巨大な拳が空気を圧縮し、コドラの脳天を狙って真っ直ぐに振り下ろされる。

 

「コドラ、逃げるな! 衝撃を全て受け止めろ! 『メタルバースト』!!」

 

コドラは逃げ道を捨て、四肢を地中深くにめり込ませて踏ん張った。全エネルギーを装甲の表面へと集約させ、鏡のような磁場を形成する。

ケッキングの拳がコドラの頭部を直撃した。スタジアムの床が陥没し、激しい衝撃波が周囲の岩壁を砕く。

「コドラ!!」

観客席からハルカの悲鳴が上がる。

 

だが、砂煙の中から現れたのは、装甲を真っ赤に熱しながらも、一歩も退かずに耐え抜いたコドラの姿だった。

「コォ……!!」

「耐えた……!? あのフルパワーの拳を真正面から!」

サトシが驚愕の声を上げる。

 

「今だ! 溜め込んだケッキングのパワー、倍にして返してやれ!!」

 

「コドォォォォォォッ!!!」

コドラの装甲から、眩いばかりの青白い衝撃波が放射された。

ケッキングの怪力、そのすべてをエネルギーとして反射した、不条理なまでのカウンター。

至近距離でその直撃を受けたケッキングが、その巨体を大きくのけぞらせ、呻き声を上げた。

 

「(まだだ、これだけじゃ終わらない!)」

「コドラ、間髪入れずに『アイアンヘッド』!」

 

「コドォォォッ!!」

コドラはメタルバーストの反動を根性でねじ伏せ、無防備な胸元へ鋼鉄の頭突きを見舞う。

しかし、ケッキングは倒れない。逆にコドラの体を巨大な腕で鷲掴みにした。

「さすがだ。……だが、我がケッキングのスタミナは底なしだよ。……『なまける』!」

ケッキングが余裕の欠伸をし、その生命力を一気に回復させようとする。

 

「させるか! ゼロ距離で……『はかいこうせん』だぁぁ!!」

 

「コォォォォォッ!!」

掴まれたままの状態で、コドラが口内にエネルギーを凝縮させる。

至近距離――いや、密着状態での破壊光線。

逃げ場はない。

 

スタジアムを埋め尽くす白い光と爆煙。

やがて煙がゆっくりと晴れていった時。

そこには、膝をつき、肩で激しく呼吸しながらも、しっかりと大地を踏みしめて立っているコドラと。

そして、その足元で、完全に力尽きて横たわるケッキングの巨体があった。

 

「……ケッキング、戦闘不能! よって勝者、挑戦者ミナト!!」

 

「……やった……。勝ったんだな、俺たち」

俺は膝をつき、震える手で汗を拭った。

ギリギリの、本当に紙一重の勝利だった。

 

スタジアム中に一瞬の静寂が広がり、直後、それを打ち消すような割れんばかりの拍手と歓声が巻き起こった。

その中で、ハルカは両手を胸の前で固く組み、潤んだ瞳で俺を見つめていた。

「(すごい……。本当に、パパに勝っちゃった。……なんて強くて、かっこいいんだろう)」

彼女の心臓は、激しいバトルの興奮とはまた別の、熱い何かのために激しく鼓動を打っていた。

 

「よくやった、コドラ。お前は最高のパートナーだよ」

俺が駆け寄ると、コドラは嬉しそうに俺の肩に頭を預け、そのまま心地よい疲労感の中で眠りに落ちた。

 

センリさんは、静かに拍手をしながらこちらへ歩み寄ってきた。その表情は、負けた悔しさよりも、新たな時代の息吹を感じた喜びで溢れていた。

「……素晴らしい。コドラの耐久力、そして君の土壇場での機転。……君の戦いには、迷いがないね。誇りなさい、シロガネ大会の覇者よ」

 

センリさんは、俺にバランスバッジを手渡した。

「これで五つ目だ。……このバッジに恥じない、さらなる高みを目指しなさい」

 

「ありがとうございます、センリさん」

 

俺はバッジを高く掲げた。

これでホウエン編の大きな山場を一つ越えた。

だが、俺たちの旅は、これからさらに激しさを増していくだろう。

 

ジムを出ると、サトシたちが駆け寄ってきた。

「ミナト! すっげえよ! あのメタルバーストからのはかいこうせん、シビれたぜ!」

サトシが興奮気味に俺の肩を叩く。

 

「ミナト君……本当にお疲れ様。……すごかったよ」

ハルカが、少し遠慮がちに、でもしっかりと俺の腕に触れた。

「私、今日確信したよ。……ミナト君は、いつか本当に世界一のトレーナーになるって」

「……ああ。ありがとう、ハルカ。お前の応援、届いてたぞ」

俺がそう言うと、ハルカは顔を真っ赤にしてうつむいたが、その手はしばらく俺の腕を離そうとはしなかった。

 

「(さて、次はどこへ行こうか)」

 

俺は、遠く北東の空、ヒワマキシティの方角を見据えた。

そこには、空を統べる強敵。そして、世界を揺るがす二つの組織の巨大な影が待っている。

 

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