アニポケ転生者物語 作:投稿者
ジムの隅で見つめる少年
トウカジムでの激闘から数時間が経った。
俺は、ポケモンセンターのロビーで、コドラの装甲のメンテナンスをしていた。
「よし、ここの凹みも直ったな。お疲れ様、コドラ」
「コドォ……」
コドラは満足げに目を細めている。
ふと見ると、ロビーの隅で、一人の少年が俺の方をじっと見つめていた。
緑色の髪に、どこか病弱そうな色白の肌。
「……あ、あの!」
少年が勇気を出して、こちらに歩み寄ってきた。
「君は……?」
「僕はミツルです。……今日のミナトさんのバトル、見させていただきました。……すごかったです。僕も、あんな風にポケモンと心を通わせて戦いたいって……」
ミツル。原作では、トウカシティでラルトスをゲットし、そこから驚異的な成長を遂げるライバルキャラだ。
「そうか。……君も、旅に出るのか?」
「はい!パパとママにお願いして、ハジツゲタウンの親戚の家へ行くことになったんです。……でも、その前に、自分のパートナーを……」
ミツルは、まだ空っぽのモンスターボールを握りしめていた。その手は震えていたが、瞳には確かな意志の光があった。
ラルトスとの出会い
俺は、近くにいる自分のキルリアを見た。
「(この子との出会いが、彼に勇気を与えたのかもしれないな)」
「ミツル君。……もしよかったら、一緒にポケモンを探しに行かないか?」
「えっ!?いいんですか!?」
俺はサトシたちとも合流し、マサトの案内で、トウカシティの近くの草むらへ向かった。
「この辺りには、心優しいポケモンたちが集まるんだ!」
マサトが誇らしげに教える。
しばらく探していると、茂みの奥で一匹のラルトスが顔を出した。
ミツルは緊張で震えながらも、ゆっくりと近づいていった。
「……お、おはよう。……僕はミツル。君と一緒に、世界を見て回りたいんだ」
ラルトスは、ミツルの純粋な心を感じ取ったのか、逃げようとはしなかった。
バトルの末、ミツルは見事にラルトスをゲットした。
「やった……やったぞ!僕の、僕だけのポケモンだ!」
ミツルがラルトスを抱きしめる。その顔には、先ほどまでの弱々しさはなく、新しい世界へ踏み出す希望が溢れていた。
ハルカとの約束、そして……
出発の前、俺はハルカに呼び止められた。
「ミナト君、ちょっといい?」
二人で川沿いのベンチに座る。夕日が川面をオレンジ色に染めている。
「シダケ大会のビデオ、見たよ。……すごかった。ヒンバスの演技、あんなに綺麗になるなんて」
ハルカが感心したように言う。
「ありがとう。……でも、ハルカのアチャモも、キレが良くなってるじゃないか」
「えへへ、そうかな?……でもね、時々迷っちゃうの。技の美しさを優先すべきか、威力を優先すべきか……」
俺は、カイナ大会での自分の失敗を思い出した。
「俺も同じだったよ。……でも、結局は『ポケモンが一番輝く瞬間』を見つけることが大事なんだと思う。アチャモが炎を吐くとき、一番楽しそうな顔をする瞬間……それを捉えれば、自然と美しくなる」
「楽しそうな顔……」
ハルカはアチャモのボールを見つめ、それからそっと俺の横顔を盗み見た。
「(ミナト君も……今、すごくいい顔してる。……好きだな、こういう真剣なところ)」
ハルカは胸の高鳴りを抑えきれず、話題を変えるように身を乗り出した。
「……ねえ、ミナト君。またすぐ会えるよね?」
「ああ。ヒワマキには俺も行くし、その後も目的地は重なってるだろ」
「うん……。でも、少しの間でも離れるのは……やっぱり、ちょっと寂しいな」
彼女は小さな声で呟いた。それは、俺に向けられた精一杯の「甘え」のようにも聞こえた。
「……ハルカ。次に競うときは、グランドフェスティバルだな」
俺が改めて約束を口にすると、ハルカは顔を上げ、満面の笑顔で頷いた。
「うん!絶対に負けないからね!……待っててね、ミナト君!」
ハルカと拳を合わせる。
その柔らかな感触と共に、彼女の熱い決意が伝わってくる。
バトルのライバルとはまた違う、表現者としてのライバル。
そして、それ以上の絆が、この川辺で確実に芽生えていた。
別れの誓い
俺もまた、自分の旅を再開する準備を整えた。
「ミナト、次はどこへ行くんだ?」
タケシが尋ねる。
「俺は、キンセツシティへ戻って、そこから118番道路を渡るつもりだ。……天気研究所という場所に、興味があってね」
「天気研究所か。……俺たちはヒワマキシティを目指すぜ!空のジム、ナギさんがいる場所だろ?」
サトシが鼻息荒く言う。
「ああ!……また現地集合だな」
俺たちは、それぞれの目的を胸に、再び別々の道へと歩み出した。
トウカシティの夕焼けが、俺たちの影を長く伸ばす。
伝説の予感、組織の影、そして進化していく相棒たち。
ホウエンの冒険は、いよいよ中盤の大きな山場へと差し掛かろうとしていた。
「行くぞ、みんな。……次の風に乗るぞ!」
俺の呼びかけに、コドラ、マッスグマ、ビブラーバ、キルリア、ペリッパー、ヒンバス。
全ての相棒たちが、力強く応えた。