アニポケ転生者物語 作:投稿者
第252話
トウカジムでの激闘を終え、俺たちは再び旅路についた。
目指すはヒワマキシティだが、その前にどうしても立ち寄りたい場所があった。
123番道路にある、「きのみ名人の家」だ。
ここは、ホウエン地方できのみの栽培とポロック作りを極めた伝説の職人が住んでいる場所として知られている。
「ここか……。すごい庭だな」
目の前には、広大な敷地に色とりどりのきのみが実る、美しい果樹園が広がっていた。
甘酸っぱい香りが風に乗って漂ってくる。
赤、青、黄色、緑。宝石のような果実が、太陽の光を浴びて輝いている。
俺の足元で、進化したマッスグマが鼻をピクピクさせている。
「
彼はその俊足で庭を駆け回りたそうにしているが、俺はそれを制した。
「ごめんください!」
声をかけると、家の中から農作業着を着た、柔和な顔立ちの老人が出てきた。
「おや、旅人かね?……ほう、そのマッスグマ、いい毛並みじゃな。よく手入れされている」
彼こそが、きのみ名人だ。
俺はこれまでの経緯と、ヒンバスを美しく育てたいという思いを伝えた。
「ヒンバスをミロカロスにか。……それは並大抵のことではないぞ。ただ美しさを磨くだけでなく、その内面にある輝きを引き出さねばならん」
名人は真剣な眼差しで俺を見つめた。
「だが、君の目からは本気を感じる。それに、連れているポケモンたちとの信頼関係も見事じゃ。……よかろう、ワシの秘伝を教えてやろう」
俺は名人から、きのみの選別方法、ブレンドの比率、そして混ぜる時の「心構え」を教わった。
「ポロックはただの餌ではない。トレーナーの愛情を形にしたものじゃ。君の心が澄んでいれば、ポロックも輝く。焦らず、急がず、ポケモンの喜ぶ顔を思い浮かべるのじゃ」
俺は、マッスグマが拾ってきた『ブリーのみ』と、名人の畑で採れた『シーヤのみ』をブレンドした。
ポロックケースを回す手に、祈りを込める。
ヒンバスの泥色の体が、虹色に輝く姿を想像しながら。
「(ヒンバス。……これが、俺たちの答えだ)」
出来上がったのは、透き通るような青色に、金色の粒子が混ざった『究極の青色ポロック』。
「見事じゃ。これなら、きっと伝わるはずじゃよ」
俺はヒンバスをプールに出した。
「ヒンバス、食べてくれ」
ヒンバスはポロックを一口食べると、その瞳を大きく見開いた。
「
体全体から、生命力が溢れ出してくるのが分かる。鱗の艶が増し、泥色だった体色が、微かに虹色を帯び始めた。
内側から発光しているかのような、神秘的な輝き。
「ありがとう、名人。……これで、次のコンテストは勝てます」
「うむ。……君たちの旅に、幸多からんことを」
俺たちは名人にお礼を言い、果樹園を後にした。
ヒンバスのコンディションは最高潮だ。
あとは、その美しさを披露する舞台を探すだけだ。
「次はヒワマキの手前にある町で、コンテストが開かれるらしい」
俺はポケナビを確認した。
「ヒンバスはもちろん、キルリアも出場したがってる。……よし、二刀流で行くか!」
俺たちの旅は、美しさと強さを求めて、さらに続いていく。
風が、次の街への道を示していた。