アニポケ転生者物語   作:投稿者

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第260話

俺のジム戦が終わった後、サトシもナギさんへの挑戦権を得た。

「次は俺の番だ! 見ててくれよミナト!」

サトシが気合十分にフィールドに立つ。

 

ナギさんの提案により、今回のジム戦は最強の空の王者を決めるための特別なルール――「1対1の飛行対決」で行われることになった。

ナギさんが繰り出したのは、全身が鮮やかな緑色に輝く、希少な色違いのオオスバメ。

対するサトシも、苦楽を共にしてきた誇り高き相棒、オオスバメを送り出した。

 

「行くぜ、オオスバメ! お前の根性、世界中に見せてやろうぜ!」

「スバァァッ!!」

 

バトルの幕開けと共に、二羽の燕が空を切り裂いた。

ナギのオオスバメは、ジムリーダーとしての洗練されたテクニックと圧倒的なスピードで、サトシのオオスバメを翻弄する。

「『かげぶんしん』!」

空を埋め尽くす残像。どれが本物か判別できないほどの神速の舞。

「『つばめがえし』!」

死角からの必中攻撃がサトシのオオスバメを捉える。

「耐えろ、オオスバメ! 根性だ!」

「スバァァッ!!」

サトシのオオスバメは、鋭い衝撃に羽を散らしながらも、墜落寸前で体勢を立て直し、不屈の闘志でナギを睨み返した。

 

「素晴らしい根性ね。……でも、根性だけでは届かない領域があるわ。オオスバメ、『つばめがえし』の連撃!!」

ナギのオオスバメが、上空から彗星のような速度で何度も急降下を繰り返す。

サトシのオオスバメは防戦一方となり、徐々に高度を下げさせられていく。

 

その時、ヒワマキシティ特有の気候変動により、空に暗雲が立ち込め、遠雷が響き始めた。

「天候が変わる……!?」

「チャンスだ! オオスバメ、雲の中へ突っ込め!」

サトシが叫ぶ。オオスバメはナギの追撃を振り切り、黒い雷雲の中へと上昇していく。

 

「逃げ場はないわよ! オオスバメ、『つばめがえし』で追撃!」

ナギのオオスバメもまた、雲の中へと突入する。

 

雷雲の中で、青白い稲妻が走る。

「オオスバメ、あの雷を……全部受け止めろ!!」

「なっ!?」

ナギが、そして俺も驚愕した。

サトシのオオスバメは、落ちてきた雷に向かって自ら翼を広げたのだ。普通なら黒焦げになり、そのまま撃沈するはずの暴挙。

 

しかし、サトシのオオスバメは違った。

その羽の一枚一枚が電気を吸収し、体全体が眩いばかりの黄金色に輝き始めたのだ。

「スバァァァァァッ!!!」

常軌を逸した根性と、極限状態での適応力。それが、破壊の雷を「無敵の鎧」へと変えた。

伝説の『黄金の翼』の誕生だ。

 

「すっごい……!! 雷を纏った!?」

マサトが叫ぶ。

「行くぜ!! オオスバメ、『でんこうせっか』だぁぁ!!」

 

黄金の光を纏ったサトシのオオスバメが、爆発的な加速を見せた。

ナギのオオスバメも『はがねのつばさ』で迎え撃つが、雷の鎧を纏った突進は、触れるもの全てを弾き飛ばす圧倒的な質量と熱量を帯びていた。

 

空中で激突する、二羽の王者。

黄金の光がナギの色違いの翼を真っ向から撃ち抜き、その勢いのまま雲を突き抜けた。

 

ヒワマキジムの上空で、光の爆発が起きる。雨雲が一瞬で吹き飛び、青空が顔を出す。

煙が晴れた時、ナギのオオスバメは力なく落下し、空に毅然と浮かんでいたのは、黄金の輝きを徐々に消しながらも、誇らしげに翼を広げるサトシのオオスバメだった。

 

「……ナギのオオスバメ、戦闘不能! よって、勝者サトシ!」

 

「やったぜぇぇ!! オオスバメ、最高だ!!」

サトシがフィールドに駆け込み、舞い降りてきたオオスバメを力一杯抱きしめる。

「(……自然の雷さえも味方につけるとは。相変わらず、理屈を超えた戦い方をするな)」

俺は、震えるような感動を覚えながら、その光景を脳裏に焼き付けた。

 

「……負けたわ。あなたたちの『波長』、私を超えていた。……素晴らしいバトルをありがとう」

ナギさんは、清々しい笑顔でサトシにフェザーバッジを手渡した。

 

その夜、俺たちはヒワマキシティのツリーハウスで、これ以上ないほど賑やかな祝勝会を開いた。

サトシはオオスバメに最高級の鳥ポケモンの餌を振る舞い、ハルカはエネコと一緒に料理を楽しんでいる。

 

「これでバッジ6個。……残りはあと2個だな」

俺が呟くと、マサトがポケナビを見ながら解説を始めた。

「次のジムはトクサネシティだね。……双子のジムリーダー、フウとランがいる場所だよ」

「双子か。……タッグバトルになりそうだな。俺も対策を練っておかないと」

 

「その前に、ミナト君、ミナモシティに寄るでしょ?」

ハルカがワクワクした様子で言った。

「ああ。ミナモシティはホウエンでも有数の大都市だ。コンテスト会場も立派なものがあるし、市場も賑わっているからな」

「うん! 次のリボン、私、絶対に取ってみせるから!」

 

俺たちは、次の目的地をミナモシティに定めた。

だが、俺の心には一つ、懸念事項があった。

ポリゴンZが深夜に傍受したデータによれば、ミナモシティ周辺でマグマ団とアクア団の両組織が、不気味なほど活発に動いている。

彼らはついに、「あの場所」を見つけたのかもしれない。

 

「(物語が、加速し始めている。……グラードンとカイオーガ。伝説の目覚めは近い)」

 

俺は窓の外、木の葉の隙間から見える星空を見上げた。

穏やかな夜。だが、それは来るべき嵐の予兆に過ぎないことを、俺は知っていた。

 

翌朝、俺たちはヒワマキシティの温かい人々に見送られ、出発した。

120番道路の雨。それは、これからの激闘を予感させる、冷たくも決意に満ちた雨だった。

 

「行くぞ、フライゴン!」

俺は相棒を空に放ち、その後をサトシたちが駆けていく。

 

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