アニポケ転生者物語 作:投稿者
俺のジム戦が終わった後、サトシもナギさんへの挑戦権を得た。
「次は俺の番だ! 見ててくれよミナト!」
サトシが気合十分にフィールドに立つ。
ナギさんの提案により、今回のジム戦は最強の空の王者を決めるための特別なルール――「1対1の飛行対決」で行われることになった。
ナギさんが繰り出したのは、全身が鮮やかな緑色に輝く、希少な色違いのオオスバメ。
対するサトシも、苦楽を共にしてきた誇り高き相棒、オオスバメを送り出した。
「行くぜ、オオスバメ! お前の根性、世界中に見せてやろうぜ!」
「スバァァッ!!」
バトルの幕開けと共に、二羽の燕が空を切り裂いた。
ナギのオオスバメは、ジムリーダーとしての洗練されたテクニックと圧倒的なスピードで、サトシのオオスバメを翻弄する。
「『かげぶんしん』!」
空を埋め尽くす残像。どれが本物か判別できないほどの神速の舞。
「『つばめがえし』!」
死角からの必中攻撃がサトシのオオスバメを捉える。
「耐えろ、オオスバメ! 根性だ!」
「スバァァッ!!」
サトシのオオスバメは、鋭い衝撃に羽を散らしながらも、墜落寸前で体勢を立て直し、不屈の闘志でナギを睨み返した。
「素晴らしい根性ね。……でも、根性だけでは届かない領域があるわ。オオスバメ、『つばめがえし』の連撃!!」
ナギのオオスバメが、上空から彗星のような速度で何度も急降下を繰り返す。
サトシのオオスバメは防戦一方となり、徐々に高度を下げさせられていく。
その時、ヒワマキシティ特有の気候変動により、空に暗雲が立ち込め、遠雷が響き始めた。
「天候が変わる……!?」
「チャンスだ! オオスバメ、雲の中へ突っ込め!」
サトシが叫ぶ。オオスバメはナギの追撃を振り切り、黒い雷雲の中へと上昇していく。
「逃げ場はないわよ! オオスバメ、『つばめがえし』で追撃!」
ナギのオオスバメもまた、雲の中へと突入する。
雷雲の中で、青白い稲妻が走る。
「オオスバメ、あの雷を……全部受け止めろ!!」
「なっ!?」
ナギが、そして俺も驚愕した。
サトシのオオスバメは、落ちてきた雷に向かって自ら翼を広げたのだ。普通なら黒焦げになり、そのまま撃沈するはずの暴挙。
しかし、サトシのオオスバメは違った。
その羽の一枚一枚が電気を吸収し、体全体が眩いばかりの黄金色に輝き始めたのだ。
「スバァァァァァッ!!!」
常軌を逸した根性と、極限状態での適応力。それが、破壊の雷を「無敵の鎧」へと変えた。
伝説の『黄金の翼』の誕生だ。
「すっごい……!! 雷を纏った!?」
マサトが叫ぶ。
「行くぜ!! オオスバメ、『でんこうせっか』だぁぁ!!」
黄金の光を纏ったサトシのオオスバメが、爆発的な加速を見せた。
ナギのオオスバメも『はがねのつばさ』で迎え撃つが、雷の鎧を纏った突進は、触れるもの全てを弾き飛ばす圧倒的な質量と熱量を帯びていた。
空中で激突する、二羽の王者。
黄金の光がナギの色違いの翼を真っ向から撃ち抜き、その勢いのまま雲を突き抜けた。
ヒワマキジムの上空で、光の爆発が起きる。雨雲が一瞬で吹き飛び、青空が顔を出す。
煙が晴れた時、ナギのオオスバメは力なく落下し、空に毅然と浮かんでいたのは、黄金の輝きを徐々に消しながらも、誇らしげに翼を広げるサトシのオオスバメだった。
「……ナギのオオスバメ、戦闘不能! よって、勝者サトシ!」
「やったぜぇぇ!! オオスバメ、最高だ!!」
サトシがフィールドに駆け込み、舞い降りてきたオオスバメを力一杯抱きしめる。
「(……自然の雷さえも味方につけるとは。相変わらず、理屈を超えた戦い方をするな)」
俺は、震えるような感動を覚えながら、その光景を脳裏に焼き付けた。
「……負けたわ。あなたたちの『波長』、私を超えていた。……素晴らしいバトルをありがとう」
ナギさんは、清々しい笑顔でサトシにフェザーバッジを手渡した。
その夜、俺たちはヒワマキシティのツリーハウスで、これ以上ないほど賑やかな祝勝会を開いた。
サトシはオオスバメに最高級の鳥ポケモンの餌を振る舞い、ハルカはエネコと一緒に料理を楽しんでいる。
「これでバッジ6個。……残りはあと2個だな」
俺が呟くと、マサトがポケナビを見ながら解説を始めた。
「次のジムはトクサネシティだね。……双子のジムリーダー、フウとランがいる場所だよ」
「双子か。……タッグバトルになりそうだな。俺も対策を練っておかないと」
「その前に、ミナト君、ミナモシティに寄るでしょ?」
ハルカがワクワクした様子で言った。
「ああ。ミナモシティはホウエンでも有数の大都市だ。コンテスト会場も立派なものがあるし、市場も賑わっているからな」
「うん! 次のリボン、私、絶対に取ってみせるから!」
俺たちは、次の目的地をミナモシティに定めた。
だが、俺の心には一つ、懸念事項があった。
ポリゴンZが深夜に傍受したデータによれば、ミナモシティ周辺でマグマ団とアクア団の両組織が、不気味なほど活発に動いている。
彼らはついに、「あの場所」を見つけたのかもしれない。
「(物語が、加速し始めている。……グラードンとカイオーガ。伝説の目覚めは近い)」
俺は窓の外、木の葉の隙間から見える星空を見上げた。
穏やかな夜。だが、それは来るべき嵐の予兆に過ぎないことを、俺は知っていた。
翌朝、俺たちはヒワマキシティの温かい人々に見送られ、出発した。
120番道路の雨。それは、これからの激闘を予感させる、冷たくも決意に満ちた雨だった。
「行くぞ、フライゴン!」
俺は相棒を空に放ち、その後をサトシたちが駆けていく。