アニポケ転生者物語 作:投稿者
母さんから渡されたバックパックはずっしりと重い。中には着替えや食料の他に、テスター用の機材がいくつか入っているらしい。フシギダネは足元を軽快に歩き、ポリゴンはボールの中だ。俺は「グラス型デバイス」を装着し、意気揚々とマサラタウンを後にした。
「さて、まずはトキワシティまで、のんびり行きますか」
フシギダネが「ダネ!」と元気よく応える。1番道路と呼ばれる平坦な道は、トレーナーになったばかりの若者にはうってつけのルートだ。道の脇には草原が広がり、時折ポッポやコラッタが顔を覗かせる。
俺は早速、グラス型デバイスの性能を試すことにした。
「(なるほど、視線を合わせるだけで基本的な情報が。さらに意識を集中させると、詳細データが展開されるのか)」
目の前のコラッタに意識を向けると、視界の端に『コラッタ。ねずみポケモン。レベル3。特性:こんじょう。確認されている技:たいあたり、しっぽをふる』といった情報がリアルタイムで表示される。さらに、ポリゴンとリンクさせることで、『行動パターン:警戒心が強い。硬い木の実を好む傾向。繁殖力が高く、周辺に複数の巣を形成している可能性』といった、一歩踏み込んだ生態分析まで可能だった。
「これは面白いな。ただのポケモン図鑑じゃない、まさに生態調査だ」
フシギダネも興味津々といった様子で、デバイスに表示される情報を一緒に覗き込んでいる。そんな風にフィールドテストを楽しみながら歩いていると、前方からけたたましい鳴き声と、聞き覚えのある少年のような声が聞こえてきた。
「うわあああ!なんでだよー!」
見ると、黄色いポケモンを抱えた少年――サトシが、無数のオニスズメに追いかけ回されていた。まずい、原作のあのシーンだ。確か、サトシが投げた石がオニスズメの縄張りを荒らしていると思い込ませてしまったのが原因だったか。
「ミナト、助けてくれー!」
俺の姿を認めたサトシが、半泣きで叫んだ。ピカチュウはサトシの腕の中でぐったりとしている。相当なダメージを負っているようだ。
「(ここで助けない選択肢はないだろ!)」
俺は即座に状況を分析する。グラス型デバイスが、オニスズメの群れの中から一際大きな個体をハイライトし、『リーダー個体。レベル12。攻撃性が極めて高い』と警告を発した。
「フシギダネ、『つるのムチ』でピカチュウをこっちへ!」
「ダネッ!」
フシギダネが背中から二本のツルを伸ばし、サトシの腕から器用にピカチュウだけを絡め取って、俺の足元へと引き寄せる。サトシが「あ!」と声を上げるが、構ってはいられない。
「ポリゴン、出番だ!あのリーダーに『でんきショック』!」
ボールから飛び出したポリゴンが、カクカクとした動きで宙に浮く。オニスズメたちは、見たことのないポケモンに一瞬だけ動きを止めた。その隙を逃さず、ポリゴンの体から放たれた弱い電撃が、リーダーのオニスズメに命中する。
「ギャッ!」
効果は抜群ではないが、意表を突くには十分だった。リーダーが怯んだことで、群全体の統率が乱れる。
「フシギダネ、サトシをツルで引き寄せて!」
「よし、今のうちに逃げるぞ、サトシ!」
俺はサトシの腕を引き、一目散に走り出した。フシギダネも器用にツルを操って、俺たちに追従する。背後でオニスズメたちが再び襲いかかってくるが、俺はバックパックから母さんに渡された試作品のスプレーを取り出した。
「これを食らえ!」
振り返りざまに噴射したのは、ポケモンが嫌う特殊な匂いを出す忌避スプレーだ。これも試作品の一つで、効果はまだ未知数だったが、結果はてきめんだった。オニスズメたちは悪臭に顔をしかめ、それ以上追ってくることはなかった。
しばらく走り続け、完全にオニスズメの姿が見えなくなったところで、俺たちはようやく足を止めた。
「はあ、はあ……助かったよ、ミナト。ありがとう」
「全くだ。無茶しすぎだろ、お前」
俺は息を切らしたサトシに呆れつつ、ぐったりしているピカチュウに駆け寄る。試作品の回復薬を傷口に吹きかけると、ピカチュウは少しだけ身じろぎし、苦しそうな呼吸がいくらか穏やかになった。
「すげえ、ポケモンセンターの薬より効いてるみたいだ」
「シルフの試作品だからな。効果は保証付きだ。それより、なんであんなことに?」
サトシはバツが悪そうに、事の経緯を話してくれた。やはり、石を投げたのが原因だったらしい。
「そっか……。まあ、ピカチュウを庇ったのは偉いと思うぜ」
俺の言葉に、サトシは少しだけ誇らしそうな顔をした。俺は回復薬をサトシに渡す。
「それ、やるよ。トキワシティまではまだ距離がある。何かあった時のために持っておけ」
「え、いいのか!?ありがとう、ミナト!」
「ああ。俺はジムに挑戦するお前と違って、のんびり旅するだけだからな。こういうアイテムは、お前みたいな奴が持ってた方が役に立つだろ」
俺の言葉に、サトシは目を輝かせた。
「ミナトはジムに挑戦しないのか?」
「挑戦はするさ。でも、リーグ制覇が目的じゃない。俺は、この世界を見て回りたいんだ。知らないポケモンに会って、知らない景色を見る。それが俺の旅だ」
サトシは俺の言葉を完全には理解できていないようだったが、「そっか、ミナトも頑張れよ!」と力強く拳を突き出してきた。その純粋さが、少しだけ眩しい。
「ああ、お前もな。ピカチュウ、大事にしろよ」
「おう!」
短い別れを告げ、俺たちはそれぞれの道を進む。サトシはトキワシティのポケモンセンターへ、俺は自分のペースで再び旅路へ。
友人の窮地を救うという予想外のイベントはあったが、フシギダネとポリゴンの連携、そして試作品の性能を実戦で確認できたのは大きな収穫だった。
「(さて、俺たちの旅を続けようか)」
俺は隣を歩くフシギダネの頭を撫で、ボールの中で待機しているであろうポリゴンに意識を向けた。二匹の頼もしい相棒との旅は、まだ始まったばかりだ。
チラシ裏から表にでるべきか
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チラシ裏でいい
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表にでてもいい
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まだ表にでるのは早い