アニポケ転生者物語 作:投稿者
ミナモデパートは、ホウエン地方最大級のショッピングモールだ。
日用品からトレーナーグッズ、高級ブランド品まで何でも揃う。
「わぁ……!すごい品揃え!」
ハルカがショーウィンドウにへばりつく。
「ねえミナト君、あっちのアクセサリー売り場、見てみてもいい?」
「もちろん。今日はハルカの行きたいところに行こう」
俺たちは4階の雑貨フロアへ向かった。
そこには、ポケモン用のリボンやスカーフ、コンテスト衣装などがずらりと並んでいる。
「これ、ワカシャモに似合うかな?」
ハルカが赤いスカーフを手に取る。
「ああ、いい色だ。……ワカシャモの炎の色とも合ってる」
「本当?……じゃあ、これにする!」
ハルカは嬉しそうにスカーフを購入した。
その後も、俺たちはフロアを見て回り、色々なグッズを試着したり、感想を言い合ったりした。
バトルや事件の緊張感から解放され、ただの少年と少女に戻れる時間。
「あ、これ……」
ハルカが足を止めたのは、ペアのキーホルダーが売られているコーナーだった。
アゲハントとドクケイルが対になったデザイン。
「可愛い……」
俺は少し迷ったが、思い切ってそれを手に取った。
「これ、買わないか?……俺たちの旅の記念に」
「えっ?……いいの?」
「ああ。俺がドクケイル……いや、俺がアゲハントを持つから、ハルカはドクケイルを持っててくれ。……逆か?」
「ふふっ、どっちでもいいよ。……ありがとう、ミナト君」
ハルカはキーホルダーを大切そうに受け取った。
その指先が触れた瞬間、微かな電流のようなものが走った気がした。
買い物の後、俺たちは屋上のテラスでアイスクリームを食べた。
眼下にはミナモシティの港と、青い海が広がっている。
「……ねえ、ミナト君」
ハルカがアイスを舐めながら、遠くを見つめて言った。
「私ね、最初は旅に出るのが不安だったの。……でも、今はすごく楽しい。サトシやタケシ、それにミナト君と出会えて、本当によかった」
「俺もだよ。……ハルカの笑顔を見ると、俺も頑張ろうって思える」
「……ほんと?」
ハルカが俺の顔を覗き込む。
夕日が、彼女の頬を赤く染めていた。
「ああ。本当だ」
俺たちは、しばらくの間、言葉もなく海を眺めていた。
言葉はいらなかった。
ただ隣にいるだけで、心が満たされていくのを感じた。
「さあ、そろそろ戻ろう。明日は本番だろ?」
「うん。……ありがとう、ミナト君。私、絶対優勝する!」
ハルカの瞳には、もう迷いはなかった。
俺たちはデパートを後にし、夕闇の迫る街を並んで歩いた。
その距離は、来る時よりもほんの少しだけ、近づいていた。