アニポケ転生者物語   作:投稿者

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トクサネジム制覇
第268話


トクサネシティ。

宇宙センターを擁し、「ホウエン地方で一番宇宙に近い場所」と呼ばれるこの島は、海と空、そして宇宙への憧れが交差する神秘的な場所だ。

 

「見えた!あれがトクサネシティか!」

サトシが甲板の最前列で叫ぶ。ピカチュウも、新しい島の匂いに鼻をクンクンさせている。

「白い岩がいっぱい……。なんだか、今まで見てきた街とは全然違う雰囲気ね」

ハルカも目を輝かせている。彼女の言う通り、この島の岩盤は特殊な成分を含んでおり、昼間は白く輝き、夜は月の光を浴びて淡く発光するという。

 

港に降り立つと、潮風と共にどこか金属的な、オイルと焦げた鉄の匂いが微かにした。

見上げれば、街の北側に巨大なロケット発射台がそびえ立ち、その先端は空を突き刺すように伸びている。

 

「まずは宇宙センターに行ってみようぜ!ロケット、近くで見たい!」

マサトの提案で、俺たちは街のメインストリートを抜け、宇宙センターへと向かった。

街路樹の代わりにロケットの模型が並び、行き交う人々も研究員風の白衣姿が多い。

 

途中、海を見下ろす丘の上にある「白い岩」の前で佇む、銀髪の青年の姿を見つけた。

その背中は、どこか寂しげで、しかし強い意志を感じさせた。

 

「ダイゴさん!」

俺が声をかけると、青年はゆっくりと振り返った。

「やあ。みんな無事だったようだね」

ダイゴは俺たちを見ると、柔らかく微笑んだ。

「ミナモシティでの活躍、聞いているよ。……マグマ団の野望を阻止してくれてありがとう」

 

「いえ。……でも、マツブサは逃がしてしまいました。海底洞窟へ向かったと……」

俺が悔しさを滲ませると、ダイゴは白い岩を愛おしそうに撫でながら首を横に振った。

「完全に阻止することは難しい。彼らは長い時間をかけて準備をしてきたのだから。……だが、君たちが時間を稼いでくれたおかげで、我々も対策を練ることができた。君たちの勇気は無駄じゃない」

 

「この白い岩は……?」

ハルカが尋ねる。

「これはね、宇宙から落ちてきた隕石の破片だと言われているんだ。……この星のエネルギーとは異なる、不思議な力を秘めていてね、ポケモンの精神力を高める効果があるんだよ」

ダイゴの言葉に、俺のサーナイトが反応した気がした。

 

その時、岩の陰から二人の子供が現れた。

瓜二つの顔をした、男の子と女の子。服装も髪型も対照的だが、纏っている雰囲気は鏡合わせのように似ている。

「ダイゴさん、また石を見てるの?」

「フウ、ラン。……やあ、今日も仲がいいね」

 

彼らはトクサネジムのジムリーダー、フウとランだ。

双子の超能力使いとして知られ、その連携はホウエン一とも言われている。

 

「君たちが挑戦者?……ふーん、強そうだけど、僕たちの絆には敵わないよ」

男の子の方、フウが生意気そうに俺たちを見上げる。

「私たちのコンビネーションは宇宙一なんだから!言葉なんていらないのよ」

女の子の方、ランも自信満々だ。

 

「面白い。……なら、その絆、試させてもらうぜ!」

サトシが受けて立つ。

 

「ジム戦は明日だ。……今日はゆっくり休むといい」

ダイゴの計らいで、俺たちはダイゴの別荘に泊めてもらうことになった。

宇宙センターの見学も手配してくれるという。

 

「(平和に見えるが……。マグマ団の残党が動いているという情報もある)」

 

俺は、華やかなロケットの影に潜む不穏な気配を感じ取っていた。

この島で、また何かが起きる。

俺は、隣を歩くハルカの手を、無意識に守るように握りしめた。

「えっ……? ミナト君?」

ハルカが顔を赤らめて俺を見る。

「あ、すまん。……離れないでくれよ」

「う、うん……離れない」

ハルカは嬉しそうに握り返してきた。

 

トクサネの海風が、俺たちの髪を揺らす。

嵐の前の静けさ。

俺たちは、つかの間の休息と、明日への闘志を胸に、ダイゴさんの家へと向かった。

 

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