アニポケ転生者物語 作:投稿者
「サーナイト、サイコパワー!全力だ!」
サーナイトの念動力が暴風のように吹き荒れた。
グラエナたちが、見えない巨人の手に掴まれたかのように宙に浮き、そのまま壁に叩きつけられる。
「ひぃっ!?な、なんだこのパワーは!?」
団員たちが恐怖に慄く。サーナイトの力は、怒りによってリミッターが外れていた。
「ミナト君、私は大丈夫だから……!」
ハルカが腕を押さえながら立ち上がる。傷は浅いが、血が滲んでいる。白い肌に赤い血が痛々しい。
それを見て、俺の怒りはさらに燃え上がったが、同時にハルカの声で理性が引き戻された。
「(怒りに任せて暴れるだけじゃ、ハルカを守れない。……冷静になれ)」
「ホムラ!そこをどけ!」
俺たちは保管庫の前まで到達した。
だが、ホムラは不敵に笑い、手元のスイッチを押した。
「遅かったな!無重力エリア、起動!」
途端に、部屋の重力制御装置が作動し、体がふわっと浮き上がった。
「うわっ、浮いてる!?」
サトシたちが驚く。足が地に着かず、体勢が制御できない。
「この状態なら、我々のポケモンの方が有利だ!行け、ソルロック、ルナトーン!」
ホムラたちは、宇宙センターから強奪したエスパーポケモンたちを繰り出してきた。
彼らは浮遊特性を持ち、無重力空間でも自在に動ける。
「『サイコウェーブ』!」「『いわおとし』!」
全方位からの攻撃。回避が難しい。
「くっ、思うように動けない……!」
地に足がつかない状態では、踏ん張りが効かず、技の威力も半減する。
「なら、こっちも空を飛べる奴らで対抗だ!」
俺は叫んだ。
「ポリゴンZ、フライゴン!出番だ!」
「ゼェッ!」「グォン!」
二匹が飛び出す。ポリゴンZは電磁浮遊で、フライゴンは翼で、無重力空間を支配する。
「ハルカ、ワカシャモを俺のフライゴンに乗せて!」
「えっ?……わかった!ワカシャモ、ジャンプ!」
「チャモッ!」
ワカシャモがフライゴンの背中に飛び乗る。即席の空中騎兵だ。
「行くぞ!反撃だ!」
フライゴンが高速で飛び回り、その背中からワカシャモが『かえんほうしゃ』を放つ。
三次元的な機動に、ホムラのポケモンたちはついてこれない。
「なっ、速い!?」
「サーナイト、俺とハルカを支えてくれ!」
サーナイトが念力で俺たちの体を安定させる。俺は空中で体勢を整え、指揮を執る。
「とどめだ!ポリゴンZ、『はかいこうせん』!」
「フライゴン、『ドラゴンクロー』!」
閃光と爪撃が交錯し、ホムラのバクーダとソルロックたちを吹き飛ばした。
無重力空間に漂う敵を一網打尽にする。
「ぐぬぬ……!撤退だ!」
ホムラたちは燃料カプセルを一つだけ抱え、壁を破壊して外へと逃げ出した。
「待て!」
だが、深追いは危険だ。まずはハルカの手当てが先だ。
重力が戻り、俺たちは床に着地した。
「ハルカ!」
俺はすぐに傷薬を取り出し、ハルカの腕に吹き付けた。
「痛くないか?」
「うん……平気。ミナト君が守ってくれたから」
ハルカは少し痛そうだが、気丈に微笑んだ。
「守ったんじゃない。……守られたんだ、俺が」
俺は自分の不甲斐なさを噛み締めた。ハルカを危険に晒してしまった。
「次は、絶対に傷つけさせない。……約束する」
俺が包帯を丁寧に巻いてやると、ハルカは顔を赤らめて小さく頷いた。
「……うん。信じてる。……ミナト君の手、温かいね」
宇宙センターの騒動は鎮圧された。
だが、奪われた少量の燃料が、新たな火種となるかもしれない。
マグマ団はまだ諦めていない。
俺たちは、一時の勝利と、深まる絆を胸に、センターを後にした。
その背中は、来るべき決戦に向けて、強く、逞しくなっていた。