アニポケ転生者物語 作:投稿者
第275話
トクサネシティの港。
デボンコーポレーションが用意してくれた最新鋭の小型潜水艇『マリン・エクスプローラー号』に、俺たちは乗り込んだ。
狭い船内には計器類がひしめき合い、独特の閉塞感が漂っている。
「全員、準備はいいか?」
操縦席に座った俺が声をかけると、サトシ、ハルカ、タケシ、マサトがそれぞれ頷いた。
「いつでもいいぜ!」
「ちょっと怖いけど……大丈夫!」
「よし。潜行開始!」
俺がレバーを倒すと、船体はゆっくりと海面下に沈んでいった。
窓の外の景色が、青空から深い群青色へと変わっていく。
太陽の光が届かなくなり、サーチライトの光だけが頼りになる世界。
そこには、地上とは全く異なる生態系が広がっていた。
「わぁ……!見て、ジーランスの大群よ!」
ハルカが窓にへばりつく。
古代魚ポケモンたちが、悠然と泳ぎ去っていく。巨大なホエルオーの影が頭上を通過する。
「感動しているところ悪いが、レーダーに反応だ」
ポリゴンZがアラートを鳴らす。
『前方、距離3000。……複数の潜水艦影を確認。アクア団です』
「来たか……!」
深海の闇の中から、サメハダーを模したデザインのアクア団潜水艦隊が現れた。
彼らもまた、海底洞窟を目指しているのだ。
「攻撃してくるぞ!回避!」
魚雷が放たれる。俺は操縦桿を激しく動かし、間一髪で回避した。
「うわあああっ!」
船内が激しく揺れる。
「反撃だ!……ペリッパー、外に出られるか?」
この潜水艇には、ポケモンを射出するためのエアロックがついている。
「ペリィッ!」
「頼む!『ハイドロポンプ』で迎撃だ!」
ペリッパーが海中に飛び出し、高圧の水流を放つ。
水中での水技は威力が減衰しないどころか、水圧を味方につけて加速する。
敵の潜水艦のスクリューに直撃し、動きを止めた。
「よし!今のうちに突破するぞ!」
俺たちは敵の包囲網を潜り抜け、さらに深く、暗い海底を目指した。
水深が増すにつれ、船体にかかる水圧がきしむ音を立てる。
「(この先に、伝説が眠っている)」
やがて、ソナーが巨大な空洞反応を捉えた。
海底洞窟だ。
自然のものとは思えない、人工的な入り口が口を開けて待っていた。
「着いたぞ。……ここが、全ての始まりの場所だ」
俺たちは潜水艇を洞窟内部のドックへと浮上させた。
ここからは、生身での戦いになる。
俺は深呼吸をし、仲間たちを見回した。
「行くぞ。……世界を守るために」
ハッチが開く。
湿った空気と、カビ臭い匂い。そして、濃密な悪意の気配。
俺たちは、静かに、しかし力強く、敵地へと足を踏み入れた。