アニポケ転生者物語 作:投稿者
警報が鳴り響くアジトの通路を、俺たちは疾風のごとく駆け抜けていた。次から次へと現れるロケット団員たちを、俺のポケモンたちが、その力で薙ぎ払っていく。
「フシギソウ、『はっぱカッター』で道を切り開け!」
「ガーディ、『かえんほうしゃ』で援護だ!」
フシギソウの鋭い葉が壁や床を切り裂き、ガーディの炎が追っ手を焼き払う。ゴーストは、壁や天井を自在にすり抜け、敵の背後から奇襲をかけて混乱させた。
「くそっ、このガキ、強い!」
「止まれー!」
団員たちの悲鳴を背に、俺たちはアジトの最深部、ひときわ大きな鋼鉄の扉の前へとたどり着いた。
「ここが、ボスの部屋か……!」
俺が扉に手をかけようとした、その時だった。重厚な扉が、静かに、内側から開かれた。
部屋の中から、ゆっくりと一人の男が姿を現す。鋭い目つき、そして、すべての者を見下すかのような、絶対的な自信。その隣には、額に赤い宝石をつけた、美しいポケモン、ペルシアンが静かに佇んでいる。
間違いない。この男こそが、ロケット団のボス、サカキだ。
「……よく来たな、シルフの犬。いや、優秀なテスター君、と呼ぶべきかな」
サカキは、すべてを見透かしたような目で、俺をまっすぐに見ていた。その威圧感は、マチスや、他のどんなトレーナーとも比較にならない。空気が、肌が、危険だと叫んでいる。
「俺の名はミナト。ただのポケモントレーナーだ」
「ほう。その歳で、これだけのポケモンを育て上げ、単身このアジトまでたどり着くとはな。ただのトレーナー、というのは謙遜だろう」
サカキは、俺の腰のボールを一瞥した。
「フシギソウ、ゴースト、ガーディ、ミニリュウ……そして、シルフ製のポリゴンか。面白いチームじゃないか」
「(手持ちまで、把握されている……!?)」
この男、一体どこまで知っているんだ。デバイスのハッキングは、とっくに気づかれていたというのか。
「お前の悪事も、ここまでだ、サカキ!フジ老人にしたこと、密猟者とのこと、すべて、リーグに報告させてもらう!」
俺は、虚勢を張って叫んだ。だが、サカキは、表情一つ変えない。
「報告?すればいい。だが、その前に、君の実力を、私自身で試させてもらおうか。ペルシアン」
サカキの言葉に、ペルシアンが静かに前に出る。
「フシギソウ、お前に任せる!」
俺のチームのエース、フシギソウが、サカキの前に立ちはだかる。だが、次の瞬間、俺は信じられない光景を目にした。
ペルシアンの姿が、消えた。
「なっ!?」
『危険!対象、高速移動!』
デバイスの警告と同時に、フシギソウの背後に、ペルシアンが音もなく現れていた。そして、その鋭い爪が、フシギソウを切り裂く。
「ソウッ!」
あまりのスピードに、フシギソウは反応すらできなかった。
「私のペルシアンのスピードは、並のポケモンが目で追えるレベルではない」
サカキは、冷酷に言い放つ。これが、ジムリーダーとは違う、本物の「悪の組織」のボスの力。レベルが、次元が違う。
「くっ……!ゴースト、『のろい』を!」
ゴーストが、ペルシアンに呪いをかけようとする。だが、ペルシアンは、再び姿を消し、ゴーストの攻撃を軽々とかわす。
「無駄だと言っている」
まずい。このままでは、やられる。俺は、最後の切り札に賭けるしかなかった。
「フシギソウ!怒りを、力に変えろ!『げきりん』だ!」
俺は、サント・アンヌ号で見せた、あの暴走の力を、意図的に引き出そうとした。フシギソウの目が、再び赤く染まる。
「ほう、面白い技を……」
サカキが、初めて興味深そうな表情を見せた。だが、彼が次のポケモンを繰り出すことはなかった。
アジト全体が、激しく揺れ始めたのだ。
「ボス!警察です!アジトの入り口が、突破されました!」
団員の一人が、慌ててサカキに報告する。どうやら、俺が暴れたことで、警察が嗅ぎつけたらしい。
「……潮時か。まあ、いい。データは、十分に取れた」
サカキは、不敵な笑みを浮かべると、壁のスイッチを押した。すると、彼の背後の壁が開き、一台のヘリコプターが現れた。
「ミナト、と言ったか。君のデータは、興味深い。特に、そのポケモンを進化させ、未知の技を引き出す力……。また会うこともあるだろう」
サカキは、そう言い残すと、ペルシアンと共にヘリに乗り込み、アジトから脱出していった。
直後、アジトの自爆装置が作動したことを告げる、けたたましいアナウンスが響き渡る。
「(このままじゃ、ここもろとも……!)」
俺は、サカキがいた部屋のコンピューターに駆け寄った。
「ポリゴン!奴らの計画に関するデータを、抜き出せるだけ抜き出せ!」
『了解!"古代ポケモン復活計画"に関するデータをダウンロード!』
データを奪取した俺は、ゴーストの壁抜け能力と、フシギソウの「つるのムチ」を駆使し、崩壊するアジトから、間一髪で脱出に成功した。
外に出ると、ゲームコーナーは、ジュンサーさん率いる警察によって、完全に包囲されていた。
俺は、自分が何とか生き延びたことを安堵すると同時に、サカキという男の、底知れない力の前に、静かに打ち震えていた。
「(勝てなかった……)」
完敗だった。歯が立たなかった。あの男は、俺が今まで戦ってきた、誰とも違う。
この世界は、「物語」なんかじゃない。
アニメで見たような、都合の良いハッピーエンドが、自動的に訪れるわけじゃない。
ポケモンが傷つき、人が傷つけられる。
理不尽な暴力が、そこには確かに存在している。
「(ここは……現実なんだ)」
初めて、心の底からそう思った。
転生者としての、どこか他人事のような感覚。
エンジョイ勢としての、甘い考え。
それらが、サカキという巨大な壁の前に、脆くも崩れ去った。
俺は、奪取したデータチップを、強く握りしめた。古代ポケモン復活計画。その全貌を暴き、サカキの野望を止める。それは、もう「エンジョイ」なんて生易しいものじゃない。
俺の旅に、新たな、そして、あまりにも大きな目的が、加わった瞬間だった。
チラシ裏から表にでるべきか
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チラシ裏でいい
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表にでてもいい
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まだ表にでるのは早い