アニポケ転生者物語   作:投稿者

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第301話

カイナシティのグランドフェスティバル会場。

その中央に設えられた表彰式用のステージで、ハルカは眩いスポットライトを全身に浴びていた。

「今大会の優勝者、ハルカ選手に、栄光のリボンカップが贈られます!」

コンテスタ会長の手から、重厚な黄金のカップが手渡された。ハルカはそれを、壊れ物を扱うような手つきで、しかししっかりと抱きしめた。

「ありがとうございます……!」

溢れ出す涙を堪えきれず、ハルカは何度も深々と頭を下げた。会場からは、彼女の健闘を称える惜しみない拍手が降り注いでいる。

 

インタビューでマイクを向けられた際、ハルカは少し震える声で語り始めた。

「この優勝は、私一人の力じゃありません。いつも傍で支えてくれたバシャーモ、フシギダネ、エネコ、アゲハント……ポケモンたちみんなの頑張り。そして、時には厳しく、時には優しく競い合ってきたライバルたち。……そして、何よりも」

ハルカの視線が、客席の最前列で拍手を送る俺を捉えた気がした。

「私が迷った時、いつも道を示してくれた……大切な人のおかげです。本当に、ありがとうございました!」

その真っ直ぐな言葉に、俺は柄にもなく胸が熱くなった。彼女がトップコーディネーターとして認められた喜びが、まるで自分のことのように俺の心を満たしていく。

 

式の後、喧騒が少しだけ収まった夜のスタジアムの外で、俺は彼女を待っていた。

「ミナト君!」

リボンカップを抱え、バシャーモを連れたハルカが、ドレスの裾を揺らしながら走ってくる。

「おめでとう、ハルカ。……本当に、最高に輝いてたよ」

俺が声をかけると、ハルカは顔を上気させ、満面の笑みで答えた。

「えへへ……。まだ、なんだか夢みたい。このカップの重み、信じられないよ」

ハルカは愛おしそうにカップを撫でる。その横では、バシャーモが腕を組み、誇らしげに鼻を鳴らしていた。

 

夜風が心地よい、カイナシティの港。

潮騒の音と、遠くで鳴る祝祭の余韻。俺とハルカは、いつの間にか並んで海を見つめていた。

「……ねえ、ミナト君。約束、覚えてる?」

ふと、ハルカが真剣なトーンで問いかけてきた。

「約束?」

「うん。……グランドフェスティバルが終わったら、ミナト君に言いたいことがあるって。あの時、言ったでしょ?」

俺の心臓が、ドクンと一つ大きく跳ねた。準々決勝の後、俺が負けた時に交わしたあの会話。

 

ハルカは顔を林檎のように赤らめ、少しだけ俯いた。指先がドレスの生地をぎゅっと握りしめている。

そして、意を決したように、真っ直ぐに俺の瞳を見上げた。

「私……ミナト君のことが、大好きです!」

静かな港に、彼女の透き通った声が響いた。

「最初は、旅のことを何でも知ってる、頼りになるお兄さんって感じだった。でも、一緒にいろんな地方を旅して、バトルのことを教えてもらって、落ち込んだ時に励ましてもらって……。いつの間にか、私の中でミナト君は、誰よりも特別で……ミナト君がいない旅なんて、考えられなくなってたの」

ハルカの大きな瞳から、一粒の涙が零れ落ち、月明かりを反射して光った。

「これからも、ずっと一緒にいたい。……わがままかな? ミナト君の隣に、これからも、いてもいいかな?」

 

俺は言葉を失っていた。

転生者としてこの世界に来て、ただ「エンジョイ」するつもりだった俺。

だが、ハルカという少女と出会い、彼女の成長を一番近くで見守ってきた日々。

俺自身、彼女の笑顔に何度救われ、彼女の情熱に何度突き動かされてきただろうか。

俺はゆっくりと手を伸ばし、ハルカの濡れた頬を指先で優しく拭った。

「……わがままなわけ、ないだろ。俺の方こそ、お前がいないと、この世界の景色はこんなに綺麗に見えなかったと思う」

「ミナト君……」

「俺も、お前が好きだ、ハルカ。……これからも、俺の隣で、世界一の笑顔を見せてほしい」

 

俺がそう言って彼女を抱き寄せると、ハルカは「嬉しい……っ!」と声を詰まらせ、俺の胸に顔を埋めて強くしがみついてきた。

俺も彼女の背中に腕を回し、その温もりと、バシャーモから漂う微かな炎の熱を全身で感じた。

カイナシティの美しい夜景と、海を照らすイルミネーションの下で、二人の想いが一つに重なった。

これ以上のハッピーエンドは、俺のどんな高度な計算でも導き出せなかっただろう。

 

だが、物語はまだ終わらない。

ハルカが夢を叶えたなら、次は俺の番だ。

「よし。……次はホウエンリーグだ」

俺はハルカの肩を抱いたまま、遠くサイユウシティがある方向を指差した。

「今度は俺が、サトシや強敵たちをなぎ倒して、頂点に立つ姿をお前に見せる」

「うん! ……次は私が、世界で一番近くで、ミナト君のことを応援するからね!」

ハルカが涙の跡を残したまま、最高に輝く「ハルカ・スマイル」で答えてくれた。

 

俺たちは繋いだ手を離さないまま、新しい未来へと歩き出した。

トップコーディネーターという称号を手に入れた最高のパートナーと共に、俺はマサラのトレーナーとして、次なる戦場を目指す。

ホウエンリーグ開幕まで、あとわずか。

 

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