アニポケ転生者物語   作:投稿者

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第32話

セキチクシティの北部に広がる、巨大な自然保護区――サファリゾーン。

巨大なゲートをくぐると、そこには見渡す限りの草原、岩場、そして広大な湖が広がっていた。

 

「サファリゾーンか……。アニポケのサトシはここでケンタロスを30匹もゲットしたんだよな」

 

俺は苦笑しながら、手渡された30個の「サファリボール」を見つめた。エサと泥を使いこなすのがここのルールだが、俺にはそれ以上の武器がある。グラス型デバイスによる、個体能力の瞬時解析だ。

 

「ポリゴン、周囲の個体値をスキャン。平均を大きく上回る『強い』個体のみをピックアップしてくれ。それ以外は無視する」

『了解。フィルタリング設定:トップ5%の個体のみを抽出。……北東方向に、極めて高い攻撃数値を持つケンタロスの群れを確認。南西の岩場には、防御特化のサイホーンの反応あり』

 

「よし。一分一秒を惜しんで動くぞ。まずはケンタロスだ」

 

俺は荒野を駆けた。

視界の先に、砂煙を上げて走るケンタロスの群れを捉える。その中で、一際大柄で、角に無数の戦い傷がある個体がいた。

 

『ケンタロス。あばれうしポケモン。群れのリーダー個体。攻撃・素早さ共に規格外』

 

「(あいつだ!)」

 

俺はエサを投げ、ケンタロスの注意を引く。ケンタロスがエサに食いついた一瞬の隙を逃さず、俺は走り込みながらサファリボールを投じた。

ボールは激しく揺れたが、最後には静止した。まずは一匹目。

 

次に俺が向かったのは、険しい岩場だった。そこでは、地面を揺らしながら歩く、鎧のような皮膚を持つポケモンたちがいた。

 

「サイホーンか。あの突進力を手に入れれば、突破口を開くのに役立つ」

 

『サイホーン。とげとげポケモン。脳が小さいため、一度走り出すと目的地を忘れるまで止まらない。物理防御は圧倒的』

 

その中でも、最も体躯が大きく、角が鋭い個体を狙い、泥をぶつけて動きを鈍らせる。苛立ち、突進してくるサイホーンを岩陰に隠れてやり過ごし、背後からボールを叩き込んだ。

 

サイホーン、ゲット。

 

その後も、俺の「効率的な乱獲」は続いた。

草原の奥深く、めったに姿を現さないと言われる幸福のポケモン、ラッキー。ポリゴンの超音波スキャンでその潜伏場所を特定し、慎重にエサで誘導してゲット。

続いて、腹の袋に子供を入れ、力強く立つ母ポケモンのガルーラ。子供を守ろうと警戒する彼女に対し、俺は武器を持たず、敵意がないことを示すようにゆっくりと近づいた。

栄養価の高い特製のエサを差し出し、時間をかけて距離を縮める。やがて、ガルーラが俺の手からエサを食べた瞬間、信頼の証としてボールを投げた。

 

そして、茂みの中に潜む、鋭い鎌を持つ孤高の暗殺者。

『ストライク。かまきりポケモン。目にも止まらぬ速さで動き、二本の鎌で獲物を切り裂く。プライドが非常に高い』

 

ストライクは、サファリの道具だけでは簡単には捕まらなかった。俺が投げたエサを鎌で切り裂き、泥をその身に浴びることを拒むように、高速で森の中を駆け抜ける。

 

「(面白い……。お前のプライド、俺が使いこなしてやる)」

 

俺はポリゴンの計算能力を使い、ストライクの移動パターンを予測。彼が次に現れるであろう地点に、あらかじめボールを置くように投げた。

自らボールに突っ込む形になったストライクは、その意外性に驚いたのか、抵抗をやめ、俺の仲間になることを選んだ。

 

「ふぅ……。順調すぎるな」

 

だが、俺の本当の目的は、ここからだ。

エリアの最奥、草木の生い茂る場所で、俺はデバイスの反応を待った。

 

『ターゲットを捕捉。種族:ニドリーナ。特記事項:おつきみやまで採取した『つきのいし』の波動に、強く反応しています』

 

目の前に現れたのは、水色の肌に毒のトゲを持つニドリーナだった。彼女は俺のバックパック、その中にある「つきのいし」を見つめているようだった。

 

「お前も、強くなりたいのか?」

 

ニドリーナは静かに頷いた。俺は、彼女のために取っておいた最後の数個のボールの一つを投げた。

 

ニドリーナ、ゲット。

 

「ケンタロス、サイホーン、ラッキー、ガルーラ、ストライク、そしてニドリーナ……。サファリゾーンの調査報告としては、これ以上ないデータが取れたな」

 

俺は、デバイスに蓄積された膨大な戦闘・生態データを眺め、満足感に浸った。

だが、サファリゾーンの本当の伝説は、まだこの奥にある。

 

「(竜の谷……そこに、ハクリューがいるはずだ)」

 

俺は残りのボールを確認し、霧が立ち込め始めた森のさらに奥へと、足を踏み出した。

そこでは、懐かしい声が俺を待っているはずだった。

 

チラシ裏から表にでるべきか

  • チラシ裏でいい
  • 表にでてもいい
  • まだ表にでるのは早い
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