アニポケ転生者物語 作:投稿者
エレベーターの扉が開くと、そこは社長室へと続く長い廊下だった。静まり返ったその空間に、俺の足音だけが響く。
社長室の重厚な扉の前に立つ。カードキーを通すと、電子ロックが解除される音がした。
俺は深呼吸をして、扉を押し開けた。
「……遅かったな」
部屋の中央、社長のデスクに座っていたのは、サカキだった。その膝にはペルシアンが横たわり、喉を鳴らしている。
そして、部屋の隅には、縛られた社長と、俺の母さんの姿があった。
「母さん!」
「ミナト……!来ちゃだめ!」
母さんが叫ぶ。だが、無事な姿を見て、俺は安堵した。
「感動の対面だな。だが、無駄話をしている時間はない」
サカキが立ち上がる。その手には、紫色の、禍々しい輝きを放つボールが握られていた。
「見ろ。これが、シルフの技術の結晶、マスターボールだ。どんなポケモンでも、100%捕獲できる、究極のボール」
「それを、どうするつもりだ!」
「決まっている。伝説のポケモン、ミュウツーを捕獲し、我が僕とするためだ。そして、その力を制御するためのシステムも、君の母親のおかげで完成間近だ」
サカキは、母さんを冷ややかな目で見下ろした。母さんは、悔しそうに唇を噛み締めている。
「そんなことのために、母さんを利用したのか!」
「利用?人聞きが悪いな。彼女は優秀なエンジニアだ。私はその才能を高く評価している。……もっとも、用が済めば、どうなるかは保証しないがね」
「貴様……!」
俺の中で、怒りが爆発した。エンジョイ勢としての甘さは、もう欠片もない。こいつは、倒さなければならない敵だ。
「サカキ!お前を倒して、母さんとシルフを解放する!」
「面白い。タマムシでの敗北を、もう忘れたか?それとも、少しはマシになったのかな?」
サカキは、余裕の笑みを浮かべながら、モンスターボールを構えた。
「ペルシアン、相手をしてやれ」
「フシギバナ、頼むぞ!」
俺は、最初から全力で行く。フシギバナを繰り出した。
「フシギバナ、『つるのムチ』!」
フシギバナの剛腕から放たれたツルが、ペルシアンを襲う。だが、ペルシアンは目にも留まらぬ速さでそれを回避し、フシギバナの懐に潜り込んだ。
「『きりさく』」
鋭い爪が、フシギバナの巨体を切り裂く。だが、フシギバナは退かない。進化した耐久力と、何より俺の怒りを共有した精神力が、彼を支えていた。
「耐えろ!そして、『ねむりごな』!」
至近距離から、眠りの粉が噴射される。ペルシアンは一瞬ひるんだが、すぐにバックステップで距離を取った。
「ほう、少しはやるようだな。だが、それだけか?」
サカキは、まだボールに手をかけてすらいない。ペルシアン一匹で、俺たちを遊んでいるつもりか。
「(なめるなよ……!)」
俺は、次の手を考えた。力押しでは勝てない。搦め手だけでも通じない。
俺たちが持てるすべてを、総動員しなければ、この男には届かない。
「母さん、伏せててくれ!」
俺は叫ぶと同時に、次のボールを投げた。
「ハクリュー、ゴースト、ガーディ!全員でかかれ!」
ルール無用。総力戦だ。
卑怯と言われようが構わない。ここで勝たなければ、未来はないのだから。
「多勢に無勢とはな。だが、悪くない判断だ」
サカキは、初めて少しだけ表情を変えた。そして、懐から二つのボールを取り出した。
「ならば、こちらも本気で相手をしてやろう。出ろ、ニドキング、サイドン!」
大地を揺るがす二体の怪獣が現れる。
狭い社長室が、一瞬にして戦場と化した。
シルフカンパニーの存亡をかけた、最後の戦いが始まった。
チラシ裏から表にでるべきか
-
チラシ裏でいい
-
表にでてもいい
-
まだ表にでるのは早い