アニポケ転生者物語   作:投稿者

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第42話

社長室の床が、ポケモンたちの激突で軋みを上げる。

サカキのニドキングとサイドン、そしてペルシアン。その圧倒的なパワーの前に、俺のポケモンたちは苦戦を強いられていた。

 

「ニドキング、『だいちのちから』!」

「サイドン、『ストーンエッジ』!」

 

床が爆ぜ、鋭い岩が弾丸のように飛んでくる。

 

「フシギバナ、『ハードプラント』で壁を作れ!みんなを守るんだ!」

 

フシギバナが地面に根を張り、巨大な植物の壁を生成して攻撃を防ぐ。だが、その衝撃で壁はすぐに粉砕された。

 

「ハクリュー、『しんそく』でペルシアンをマークしろ!あいつのスピードを封じるんだ!」

「ガーディはサイドンの足元を『ほのおのうず』で封鎖!ゴーストはニドキングに『おにび』!」

 

俺は矢継ぎ早に指示を飛ばす。個々の力では劣っていても、連携ならば勝機はある。

ハクリューの神速がペルシアンを捉え、ガーディの炎がサイドンの動きを鈍らせる。そして、ゴーストの鬼火がニドキングに火傷を負わせ、その攻撃力を削いだ。

 

「悪くない連携だ。だが、決定打に欠けるな」

 

サカキは冷静に戦況を見つめている。彼の指示は的確で、無駄がない。

 

「ニドキング、『ヘドロウェーブ』!」

 

毒の波が広範囲に広がり、俺たちを追い詰める。フシギバナは毒タイプを持っているので耐えられるが、他のポケモンたちには致命的だ。

 

「ポリゴン2、『トリックルーム』!」

 

俺は、温存していた切り札を切った。

ポリゴン2が展開した不思議な空間。その中では、素早さの順序が逆転する。

 

「なっ……動きが……!」

 

サカキのポケモンたちの動きが、スローモーションのように鈍る。逆に、鈍足だったフシギバナや、火傷で動きの鈍ったニドキングに対して、俺たちの連携速度が相対的に上がる。

 

「今だ!反撃開始だ!」

 

「フシギバナ、『ソーラービーム』!」

「ガーディ、『フレアドライブ』!」

「ハクリュー、『はかいこうせん』!」

 

空間の歪みを利用した、超高速の集中砲火。

ニドキングとサイドンは、その直撃を受け、轟音と共に吹き飛ばされた。

 

「……まさか、空間そのものを操作するとはな」

 

サカキの二体の主力ポケモンが、戦闘不能となった。残るはペルシアンのみ。

 

「やったか……?」

 

だが、サカキは不敵な笑みを崩さない。

 

「見事だ。だが、私のペルシアンは、そんな小細工が通じる相手ではない」

 

ペルシアンが、ゆっくりと歩み出る。『トリックルーム』の影響下にあるはずなのに、その動きには微塵の遅れも見られない。

 

「(なぜだ!?)」

 

「私のペルシアンは、あらゆる環境に適応する訓練を受けている。重力変化、視界不良、そして空間歪曲……。すべて想定内だ」

 

ペルシアンが跳んだ。その爪が、ポリゴン2を切り裂く。

 

「ポリゴン2!」

 

『トリックルーム』が解除される。空間が元に戻り、ペルシアンの神速が復活した。

 

「終わりだ。『パワージェム』!」

 

ペルシアンの額から放たれた光線が、消耗した俺のポケモンたちを一掃しようとする。

 

「させない!」

 

フシギバナが、最後の力を振り絞って前に出た。その巨大な体で、光線を受け止める。

 

「フシギバナ!」

 

バナァッ!!(負けるかぁっ!!)

 

フシギバナの背中の花が、怪しく、そして力強く輝き始めた。これは……『しんりょく』!体力が減った時に発動する、草タイプの底力だ。

 

「行け、フシギバナ!俺たちの全力を、叩き込め!」

 

フシギバナから放たれた『ハードプラント』の巨大な根が、ペルシアンを四方八方から襲う。ペルシアンは回避しようとするが、その密度と範囲は、逃げ場を許さなかった。

 

「捉えた!」

 

根に捕らえられたペルシアンが、空高く放り投げられる。

 

「とどめだ!『ヘドロばくだん』!」

 

追撃の毒爆弾が、空中のペルシアンに直撃した。

 

ズドンッ!

 

床に叩きつけられたペルシアンは、ピクリとも動かない。

 

静寂が、部屋を包んだ。

 

「……勝った……のか?」

 

俺は、肩で息をしながら、サカキを見つめた。

サカキは、倒れたペルシアンをボールに戻すと、静かに拍手をした。

 

「……完敗だ。私の負けだよ、少年」

 

その言葉を聞いた瞬間、俺の膝から力が抜けた。

勝った。あのサカキに、勝ったんだ。

 

だが、戦いはまだ終わっていなかった。

サカキは、机の上のマスターボールを手に取ると、不気味に笑った。

 

「だが、これで終わりではない。このマスターボールさえあれば……」

 

「させないわ!」

 

母さんが叫んだ。彼女の手には、いつの間にかタブレットが握られていた。

 

「ポリゴン2、今よ!マスターボールの制御システムに介入して!」

 

『了解!』

 

倒れたふりをしていたポリゴン2が、再起動し、電光石火の速さでマスターボールのシステムにハッキングを仕掛けた。

 

「なにっ!?」

 

サカキの手の中で、マスターボールが激しく明滅し、やがて「プスン」という音と共に沈黙した。

 

『プロテクト解除、および内部回路の焼き切りに成功。マスターボール、機能停止しました』

 

「貴様ら……!」

 

サカキが、怒りに顔を歪める。彼の野望の象徴であったマスターボールは、ただの鉄屑と化した。

 

「そこまでだ、サカキ!もう逃げ場はないぞ!」

 

俺たちが詰め寄ると、サカキはふっと表情を戻し、冷徹な仮面を被り直した。

 

「……いいだろう。今回は私の負けだ。だが、覚えておけ。ロケット団は不滅だ。私の野望もな」

 

サカキは、隠し扉を開き、屋上のヘリポートへと続く階段を駆け上がっていった。

 

「待て!」

 

俺は追いかけようとしたが、母さんに止められた。

 

「深追いはダメよ、ミナト。それより、社長の手当てを」

 

俺は、悔しさを噛み締めながらも、母さんの言葉に従った。

サカキは逃した。だが、シルフカンパニーは守り抜いた。

 

窓の外では、夜が明け始めていた。

黄金の都に、再び平和な朝が訪れようとしていた。

 

チラシ裏から表にでるべきか

  • チラシ裏でいい
  • 表にでてもいい
  • まだ表にでるのは早い
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