アニポケ転生者物語 作:投稿者
翌朝、俺は万全のコンディションでニビジムの門をくぐった。ひんやりとした空気が肌を撫で、土と岩の匂いが鼻腔をくすぐる。内部は薄暗く、岩肌が剥き出しの高い天井からは、いくつかのスポットライトがバトルフィールドを照らしていた。フィールドそのものも、固い岩盤と砂でできており、まさに岩タイプのための舞台だ。
観客席はそれほど多くないが、ジム関係者らしき人々や、次の挑戦者であろうトレーナーたちが、固唾を吞んでフィールドを見つめている。その視線が、独特の緊張感を生み出していた。
フィールドの向こう側には、オレンジ色のシャツを着た、糸目の青年が腕を組んで立っていた。彼こそが、ニビジムのジムリーダー、タケシ。その佇まいは、まだ若いながらも、幾多の挑戦者を退けてきたであろう王者の風格を漂わせている。
「挑戦者、マサラタウンのミナトだな。よく来た」
タケシの落ち着いた声が、ジム内に響く。俺はゴクリと喉を鳴らし、一歩前へ出た。
「はい!よろしくお願いします!」
「ルールは2対2のシングルバトル。どちらかのポケモンがすべて戦闘不能になった時点で勝敗を決する。いいかな?」
「はい!」
審判が旗を掲げ、高らかに宣言する。
「ただ今より、ジムリーダー・タケシと、挑戦者・ミナトのジム戦を開始します!」
その声と同時に、タケシが一つ目のモンスターボールを投げた。
「行け、イシツブテ!」
ボールから現れたのは、岩石に二本の腕が生えたようなポケモン、イシツブテだ。ゴツゴツとした体は、見るからに頑丈そうだ。
「岩タイプに草タイプとは、基本に忠実だな!」
タケシが俺の選択を見て、感心したように言う。彼の言う通り、セオリーで言えば草タイプは岩タイプに有利だ。だが、俺の狙いはそれだけじゃない。
「ええ、まあ」
俺は曖昧に答えながら、グラス型デバイスでイシツブテのデータを最終確認する。『レベル10。特性:いしあたま』。そして、昨日も確認した通り、物理耐久に比べて特殊耐久は著しく低い。
「(速攻で決める!)」
短期決戦こそ、相手にペースを渡さない最善の策だ。
「フシギダネ、行け!」
俺の相棒が、勇ましくフィールドに飛び出す。昨日までの穏やかな表情とは違う、闘志に満ちた瞳をしていた。
「ダネッ!」
「バトル開始!」
審判の合図と同時に、タケシが叫んだ。
「イシツブテ、『たいあたり』だ!」
イシツブテが、その丸い体を高速で回転させながら、弾丸のようにフシギダネに突っ込んでくる。だが、その動きは俺のデバイスによって完全に予測済みだった。
「フシギダネ、右に跳べ!」
フシギダネは俺の指示に寸分の狂いなく反応し、軽やかなステップでイシツブテの突進をかわす。勢い余ったイシツブテが、背後の岩壁にぶつかり、鈍い音を立てた。
「今だ!速攻で決めるぞ!『タネマシンガン』!」
「なにっ!?」
タケシが驚きの声を上げる。フシギダネが背中のタネに力を込めると、タネの先端がわずかに開き、そこから緑色の光を帯びた小さなタネが、マシンガンのように連続で射出された。
ドドドドドッ!
それは、ただのタネではない。俺がフシギダネと共に練習を重ねた、草のエネルギーを凝縮させた特殊攻撃としての「タネマシンガン」だ。物理的な硬さではなく、エネルギーそのもので相手を貫く。
「ツブテ!」
回避する間もなく、タネの弾丸が次々とイシツブテに命中する。タイプ相性の有利さも相まって、効果は絶大だ。イシツブテは悲鳴を上げ、その場でゴロンと仰向けに倒れ、目を回してしまった。
「イシツブテ、戦闘不能!よって、勝者フシギダネ!」
審判の宣言に、観客席から「おお……」とどよめきが起こる。わずか二手。あまりにも早い決着だった。
タケシは驚いた表情を隠さず、だがすぐに冷静さを取り戻してイシツブテをボールに戻した。
「……見事だ。あの『タネマシンガン』、ただの技じゃないな。エネルギーを練り込んである。どこでそんな戦術を?」
「企業秘密、というやつですよ」
俺は少しだけ笑って見せる。これも、転生知識と、ポケモンへの深い理解があってこその応用だ。
タケシは俺の答えに納得したのか、ふっと笑みをこぼした。だが、その目は全く笑っていない。真剣そのものだ。
「面白い。面白いじゃないか、挑戦者。だが、ここからが本番だ!」
タケシが二つ目のモンスターボールを高く掲げる。そのボールから放たれるオーラは、先ほどのイシツブテとは比較にならないほど強大だった。
「俺の最高のパートナーを見せてやる!行け、イワーク!」
ズシンッ!!!
ジム全体が揺れるほどの衝撃と共に、巨大な岩の体がフィールドに現れた。いくつもの巨大な岩石が連なってできた、蛇のようなポケモン。イワークだ。その全長は10メートル近くあるだろう。見上げるほどの巨体が、薄暗いジムの中で圧倒的な威圧感を放っていた。
「グルオオオォォッ!」
イワークの咆哮が、腹の底に響く。フシギダネが、その威圧感に思わず後ずさった。レベルも、気迫も、イシツブテとはまるで違う。
「さあ、どうする?そのフシギダネで、俺のイワークを倒せるかな?」
タケシの挑発的な言葉が飛んでくる。グラス型デバイスが、イワークのデータを表示した。『レベル14。特性:いしあたま』。そして、昨日博物館で見た石板の情報が、頭の片隅をよぎる。『地殻エネルギーとの関連性』。こいつは、ただのデカいポケモンじゃない。大地のエネルギーそのものを体現したような存在だ。
フシギダネはタイプ相性こそ有利だが、今の「タネマシンガン」では、あの巨体を倒しきる前に押し潰されるだろう。
「フシギダネ、よくやった。戻れ」
俺はフシギダネをボールに戻し、代わりに二つ目のモンスターボールを構えた。
「へえ、ポケモンを交換するか。正解だ。だが、次は何を出す?炎か?水か?」
タケシの問いに、俺はニヤリと笑って答える。
「いえ、どっちでもありませんよ」
そして、ボールを投げた。
「行け、ポリゴン!俺たちの力、見せてやろうぜ!」
フィールドに現れたのは、カクカクとした不思議なポケモン。その登場に、タケシも、観客たちも、誰もが目を丸くしていた。
「な……なんだ、あのポケモンは!?図鑑に載っていないぞ!」
観客の一人が叫ぶ。そうだろう。まだ公式には発表されていない、シルフカンパニーの最高機密なのだから。
タケシも驚きを隠せない様子で、ポリゴンを凝視している。
「見たことのないポケモン……。だが、面白い。相手が何であれ、俺たちのやることは変わらない!」
タケシの闘志が、再び燃え上がる。俺もまた、不敵な笑みを浮かべてポリゴンに指示を出す準備をした。
さあ、第二ラウンドの始まりだ。このハイテクな相棒と、どうやってあの大地の化身を攻略してやろうか。俺の胸は、武者震いで高鳴っていた。
チラシ裏から表にでるべきか
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チラシ裏でいい
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表にでてもいい
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まだ表にでるのは早い