アニポケ転生者物語   作:投稿者

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第44話

ヤマブキジムの前で、俺は深呼吸をしていた。サトシたちを見送ってから数日が経っていた。その間、俺はポリゴン2と共に、対エスパー戦術のシミュレーションを繰り返していたのだ。

 

「よし、行くぞ」

 

意を決してジムに入ろうとしたその時、背後から賑やかな声が聞こえてきた。

 

「やったぜー!ゴールドバッジ、ゲットだぜ!」

 

振り返ると、そこには満面の笑みを浮かべたサトシと、呆れ顔のカスミ、そして安堵の表情を浮かべるタケシの姿があった。

 

「サトシ!?もう戻ってきたのか!」

 

「おう、ミナト!見てくれよこれ!」

 

サトシが得意げに見せてきたのは、金色に輝く丸いバッジ――ゴールドバッジだった。

 

「すごいな……!本当に勝ったのか?」

 

「ああ!シオンタウンでゴーストをゲットしてさ、そいつがナツメを笑わせて……まあ、いろいろあったけど、勝ちは勝ちだ!」

 

サトシは興奮気味に、シオンタウンでのゴーストとの出会い、そしてナツメとの再戦の様子を語ってくれた。どうやら、原作通り「笑い」によってナツメの心を解き放ち、戦わずして勝利を得たらしい。

 

「ナツメ、最後は笑ってたわ。あんなに可愛い笑顔ができるなんて、思わなかった」

カスミもしみじみと言う。

 

「そうか……。ナツメを救ったんだな、お前が」

 

俺は、サトシの持つ不思議な魅力に、改めて感心した。彼は、力だけでなく、心でポケモンやトレーナーと繋がることができる。それが、彼が主人公である所以なのだろう。

 

「ミナトは、これからか?」

「ああ。俺も、負けてられないからな」

 

「頑張れよ!応援してるぜ!」

「気をつけてね、ミナト。ナツメの超能力は、本物よ」

 

友人たちの声援を受け、俺は改めてジムの扉に向き直った。

 

「(サトシは『心』で勝った。なら、俺は……『戦術』と『絆』で勝つ)」

 

俺のアプローチは、サトシとは違う。俺は、トレーナーとして、正面からナツメの超能力ポケモンを打ち破り、彼女に実力を認めさせたい。

 

「……っと、その前に、もう一つだけ準備があったな」

 

俺は、サトシたちと別れた後、ジムに向かう前にシルフカンパニーへと足を向けた。母さんから「渡したいものがある」と連絡が入っていたのだ。

 

シルフカンパニーの開発室。そこには、母さんと数人の研究員が、一本の不思議な紐のようなアイテムを囲んでいた。

 

「来たわね、ミナト。これが、開発中の新アイテム『つながりのひも』よ」

 

「つながりのひも……?」

 

「ええ。通信交換のエネルギーを擬似的に再現し、特定のポケモンの進化を促進するアイテムなの。まだ実証実験の段階だけど、あなたのゴーストなら、きっと使いこなせるはずよ」

 

「ゴーストが……進化する?」

 

俺は、ボールからゴーストを出した。ゴーストは、その紐を見ると、興味深そうに近づいていく。

 

ゴースト?(ナニコレ?)

 

「試してみるか、ゴースト。もっと強くなれるかもしれないぜ」

 

ゴーストが紐に触れた瞬間、まばゆい光が溢れ出した。通信交換の時と同じ、あの独特なエネルギーの奔流。光の中で、ゴーストの体が再構築されていく。

 

手足が生え、体つきが丸くなり、より実体に近い姿へ。

 

光が収まると、そこには、ニヤリと不敵な笑みを浮かべる、紫色の影のポケモンが立っていた。

 

「ゲンガー……!」

 

ゲ、ゲンガァ!(力がみなぎる!)

 

ゲンガーは、嬉しそうに床をすり抜け、天井から顔を出して俺を驚かせた。そのパワー、スピード、そして存在感。すべてが桁違いだ。

 

「成功ね!ありがとう、ミナト、ゲンガー。貴重なデータが取れたわ」

 

「こちらこそ、ありがとう母さん。これで、ナツメにも勝てる!」

 

最強のゴーストポケモン、ゲンガー。この新たな切り札を手に、俺はいよいよヤマブキジムへと乗り込んだ。

 

ジムの中は薄暗く、不思議な静けさに包まれていた。迷路のような通路を抜け、最奥のバトルフィールドへたどり着く。

 

そこには、玉座のような椅子に座り、人形を抱いた少女――ナツメが待っていた。サトシとの一件で少しは雰囲気が柔らかくなったかと思ったが、対峙してみると、やはり肌を刺すような鋭い気配を感じる。

 

「……来たわね。シルフを救った英雄さん」

 

ナツメが、無感情な声で言った。彼女の瞳は、底知れない深淵のように暗く、そして美しかった。

 

「挑戦者、ミナトです。ジム戦をお願いします」

 

「いいわ。サトシ君とは違う、あなたの戦い方……見せてもらうわ」

 

ナツメの手から、モンスターボールがふわりと浮き上がった。

 

「出ておいで、ケーシィ」

 

光と共に現れたのは、眠たげな目をしたケーシィ。だが、その小さな体から発せられるサイコパワーの波動は、タダモノではないことを物語っていた。

 

「(サカキ戦の反省を活かすんだ。冷静に、確実に……)」

 

俺は、最初のボールを握りしめた。

 

「行け、ゲンガー!」

 

黒い影の中から、ニヤリと笑うゲンガーがフィールドに飛び出す。最強のゴーストポケモンと共に挑む、超能力との対決。ヤマブキジム戦、開幕だ。

 

チラシ裏から表にでるべきか

  • チラシ裏でいい
  • 表にでてもいい
  • まだ表にでるのは早い
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