アニポケ転生者物語   作:投稿者

57 / 344
第50話

グレンタウンに上陸した俺を待っていたのは、硫黄の匂いと、温泉街独特の活気だった。観光客たちは足湯を楽しみ、ポケモンたちものんびりと日向ぼっこをしている。

 

だが、俺の目的は温泉ではない。

街の外れ、草木に覆われた不気味な廃墟――「ポケモン屋敷」だ。

 

「(アニメでは、ここがミュウツー誕生の場所だったはず……)」

 

俺はポリゴン2と共に、崩れかけた屋敷の中へと足を踏み入れた。中は暗く、床は至る所が抜けている。不気味な物音に、ゲンガーが影の中から「ゲッゲッゲ(面白そうだ)」と顔を出す。

 

「ポリゴン2、データ収集を開始。古い端末や書類が残っていないか、スキャンを頼む」

『了解。残留磁気および紙媒体の残骸をスキャン。……地下1階に、読み取り可能なデータストレージの反応あり』

 

俺たちは、階段を降りて地下へと向かった。そこには、かつての華やかな研究施設の名残があった。錆びついた機材、割れた培養槽。そして、埃を被った古い日記が、デスクの上に残されていた。

 

俺は、その日記を手に取った。

 

『7月5日。南アメリカのギアナで、新種のポケモンを発見。ミュウと名付ける』

『2月6日。ミュウが子供を産んだ。名前はミュウツー。……だが、その力はあまりにも強大すぎる』

『9月1日。ミュウツーが暴走。この施設は、もう長くは持たないだろう……』

 

日記の記述はそこで途絶えていた。筆者の名前は、フジ。

 

「(やはり、シオンタウンのフジ老人か。彼はかつて、ここで最強のポケモンを創り出そうとしていた……)」

 

そして、日記の最後のページには、走り書きのようなメモが挟まっていた。

『シルフカンパニーの協力により、制御システムの開発を開始する。……プロジェクト・サカキ』

 

「……サカキ」

 

その名を目にした瞬間、俺の手が微かに震えた。

やっぱり、すべては繋がっていたんだ。

フジ老人の後悔。

母さんの利用。

シルフカンパニーの占拠。

そして、最強の兵器としてのミュウツー。

 

「(物語じゃない。これは、現実の悲劇なんだ)」

 

俺が日記をバックパックにしまおうとした時、背後から足音が聞こえてきた。

 

「……ほう。こんなところで、何をしているのかね?」

 

振り返ると、そこには、派手なサングラスをかけ、アロハシャツを着た、なぞなぞ好きそうな老人が立っていた。

 

「あなたは……」

 

「わしか?わしはただの宿屋の親父よ。……だが、その日記に書かれていることは、この島の、いや、この世界の禁忌じゃぞ」

 

老人の目は、サングラス越しにも鋭く、俺を射抜いていた。

 

「あなたが、カツラさんですね?」

 

俺がその名を呼ぶと、老人はふっと口角を上げた。

 

「なぞなぞを一つ。火の中にいて、火を愛し、すべてを焼き尽くすものはなーんだ?」

 

「答えは、ブーバー。……あなたの、パートナーですよね」

 

「……合格じゃ。シルフのテスター、ミナト君。……お前の実力、そしてその覚悟。このワシが、マグマの中で試してやろう」

 

カツラはそう言うと、アロハシャツを脱ぎ捨てた。その下には、戦い抜いてきた男の、逞しい筋肉があった。

 

「真実を知りたくば、ワシを倒してみせよ!」

 

俺は、決意を固めて頷いた。

ミュウツーという巨大な闇に立ち向かうために。

俺はこの火山島で、さらなる強さを手に入れる。

 

「望むところです、カツラさん。全力で行かせてもらいます!」

 

俺と、そして新しくなった俺の相棒たちの、灼熱のジム戦が始まろうとしていた。

 

チラシ裏から表にでるべきか

  • チラシ裏でいい
  • 表にでてもいい
  • まだ表にでるのは早い
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。