アニポケ転生者物語   作:投稿者

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第52話

「ウオォォォォン!!」

 

ウインディの咆哮が、地下ジムの空気を震わせる。対峙するブーバーは、その体に絶え間なく揺らめく炎を纏い、不敵な笑みを浮かべていた。

 

「面白い!炎タイプ同士の真っ向勝負か!いいだろう、ミナト君!お前の情熱、ワシのブーバーがすべて焼き尽くしてやる!」

 

カツラが腕を振り下ろす。

「ブーバー、『だいもんじ』!」

 

「ウインディ、火の中を駆けろ!『しんそく』!」

 

巨大な炎の文字が迫る中、ウインディはその姿を消した。目にも留まらぬ速さで炎の隙間をすり抜け、ブーバーの側面に回り込む。

 

「『かみつく』!」

 

ウインディの鋭い牙がブーバーの腕を捉えた。だが、ブーバーの体は高熱のマグマのようだ。

ギャッ!?(熱っ!?)

 

「無駄じゃ!ブーバーの体に触れることは、自分を焼くことと同じよ!『ほのおのパンチ』!」

 

至近距離からのカウンター。ウインディは熱さに耐えながら、物理防御の高さでそれを凌いだ。

 

「(くっ、直接攻撃は不利か……。なら!)」

 

「ウインディ、距離を取れ!『かえんほうしゃ』!」

 

灼熱の炎が激突する。炎タイプ同士、ダメージは通りにくい。だが、俺たちの目的は、ダメージを与えることだけではない。

 

「ブーバー、火力を上げろ!『だいもんじ』連打じゃ!」

 

カツラの指示で、ジム全体の温度がさらに上昇した。息をするのも苦しい。ウインディも、その毛並みが焦げるような熱気に、次第に疲弊し始めていた。

 

「(このままじゃ、持久戦で負ける……。一気に決めるぞ!)」

 

俺はグラス型デバイスを最大出力にした。ポリゴン2が、ブーバーの体内エネルギーの流動パターンを解析する。

 

『解析完了。対象:ブーバー。攻撃直前、胸部の発火器官に全エネルギーが集中。その瞬間の防御力は15%低下します』

 

「勝機は……そこだ!」

 

俺はウインディの目を見つめた。

「ウインディ、あのブーバーの攻撃を……あえて真正面から受け止めるぞ。耐えられるか?」

 

ウインディは、一瞬だけ驚いたような顔をしたが、すぐに覚悟を決めたように力強く頷いた。

 

「よし……来い、カツラさん!」

 

「ほう、逃げぬか!ならばこれで終いじゃ!ブーバー、全エネルギーを込めろ!最大火力の『だいもんじ』!!」

 

ジムが崩壊せんばかりの、巨大な火柱。それが、ウインディに向かって解き放たれた。

 

「今だ!『フレアドライブ』!!」

 

ウインディが自らの体に青白い炎を纏い、迫りくる『だいもんじ』の中へと、文字通り「突っ込んで」いった。

 

炎と炎がぶつかり、爆発が起きる。

誰もが、ウインディが焼き尽くされたと思った、その瞬間。

 

「ワオォォォォォッ!!」

 

炎の壁を突き破り、ウインディが飛び出した。

その姿は、ボロボロになりながらも、これまでで一番高く、美しく輝いていた。

 

「な、なんじゃと!?」

 

驚愕するカツラの目の前。防御の手薄になったブーバーの胸元に、ウインディの渾身の体当たりが直撃した。

 

ズドォォォォォン!!

 

爆煙が晴れた時、そこには、倒れたブーバーと、その傍らで誇らしげに立つウインディの姿があった。

 

「……ブーバー、戦闘不能。勝者、マサラタウンのミナト!」

 

静まり返った後、審判の声が響いた。

 

「……見事じゃ。火の中を潜り抜け、ワシの炎を超えてみせるとはな」

 

カツラは、深く感銘を受けたように、俺に歩み寄ってきた。

「これが、お前の強さの証じゃ。クリムゾンバッジ、受け取るがよい」

 

「ありがとうございます……。最高のバトルでした」

 

俺は、熱いバッジを受け取った。七つ目のバッジ。

これで、残るバッジはあと一つ。

 

カツラは、俺の肩に手を置き、声を潜めて言った。

「ミナト君……お前がポケモン屋敷で見つけた日記。……あそこに書かれていたことは、我ら科学者の、拭いきれぬ過ちじゃ」

 

カツラの表情が、厳しくなる。

「ミュウツーは、今、トキワシティにいる。サカキという男の手によって、完成された兵器としてな。……お前がこれから向かう先には、真の絶望が待っているかもしれん」

 

「……分かっています。でも、俺は逃げません。俺と、この相棒たちで、あいつを止めます」

 

「うむ。……お前なら、あるいは……」

 

カツラの言葉を胸に、俺はジムを後にした。

外には、火山島を優しく照らす月が昇っていた。

 

進化したウインディ。

そして、暴かれたミュウツー計画の全貌。

俺たちの旅は、いよいよ最終局面へと向かう。

 

トキワシティ。サカキ。

俺たちの「現実」の、本当の決着をつけるために。

 

チラシ裏から表にでるべきか

  • チラシ裏でいい
  • 表にでてもいい
  • まだ表にでるのは早い
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