アニポケ転生者物語 作:投稿者
「グルオオオォォッ!」
巨大なイワークが、威嚇するように再び咆哮を上げる。その風圧だけで、フィールドの砂が舞い上がった。対する俺のポリゴンは、感情の見えない電子音を小さく発しながら、静かに宙に浮いている。そのシュールな光景に、観客たちは完全に言葉を失っていた。
タケシは、最初の驚きからは立ち直ったものの、未知のポケモンに対する警戒を隠せないでいた。
「正体不明のポケモンか……だが、関係ない!イワーク、力で押し潰せ!『たいあたり』だ!」
号令と共に、イワークがその巨体をしならせ、まるで列車のような勢いでポリゴンに突進してくる。ジムの壁が震えるほどの地響き。まともに食らえば、ひとたまりもないだろう。
「(だが、お前の動きは……丸見えだ!)」
俺のグラス型デバイスが、イワークの突進コースと到達時間を正確に予測し、視界に表示する。
「ポリゴン、『かくばる』!」
ポリゴンがその場で静止し、体のエッジがより鋭角的に、硬質に変化する。本来なら攻撃力を上げる技だ。直後、イワークの巨体がポリゴンに激突した。
ゴッ!!!
凄まじい衝撃音。だが、ポリゴンは吹き飛ばされることなく、イワークの猛攻を正面から受け止めていた。まるで巨大な壁にぶつかったかのように、イワークの勢いが殺される。
「なっ……受け止めただと!?」
タケシが信じられないといった表情で叫ぶ。
「ただの防御じゃない。お前のイワークの攻撃ベクトルを分析して、最も効率的に衝撃を殺す角度で受け止めたんだ。こいつは、そういう戦い方ができる」
俺の言葉に、タケシの顔に緊張が走る。彼は、俺たちがただ者ではないことを、ようやく理解したようだった。
「面白い……面白いじゃないか!だが、小細工がいつまでも通用すると思うなよ!」
タケシが次の指示を出すより早く、俺は攻勢に出る。
「ポリゴン、距離を取って『サイケこうせん』!」
ポリゴンはイワークから素早く離れ、その目にあたる部分から、虹色の破壊光線を放った。昨日確認した通り、イワークの弱点は特殊防御の低さだ。物理的な攻撃ではなく、純粋なエネルギー攻撃で内部からダメージを与える。
「グゥッ!」
効果はてきめんだ。虹色の光線を浴びたイワークが、苦痛の声を上げる。巨体に似合わず、特殊攻撃には打たれ弱い。
「やるな……だが、同じ手が何度も通用するか!イワーク、『あなをほる』!」
タケシの指示で、イワークが巨大な頭を使い、猛烈な勢いで地面に穴を掘り始めた。あっという間にその巨体が地中へと消える。これは厄介だ。どこから出てくるか分からない。
「(いや、分からない、なんてことはない!)」
俺はグラス型デバイスの機能を切り替え、地中の振動を探知するソナーモードを起動した。ポリゴンともリンクし、地中のイワークの動きが、視界に青いラインとして表示される。
「……そこか!ポリゴン、真下だ!」
俺が叫ぶのと、イワークが地面を突き破って飛び出してくるのは、ほぼ同時だった。だが、ポリゴンは既に回避行動に移っている。イワークの奇襲は空を切った。
「な……なぜ場所が分かった!?」
「言ったはずだ。こいつは情報戦が得意だって」
俺はニヤリと笑う。だが、このままではジリ貧だ。サイケこうせんだけでは、あの巨体を倒しきる前にポリゴンのエネルギーが尽きてしまう。
「(決め手は、やはり……)」
俺は一度、ポリゴンに防御に徹するよう指示を出し、タイミングを計る。イワークが再び「たいあたり」を仕掛けてくる。その巨体が生み出す隙は、一瞬。
「ポリゴン、『テクスチャー』!ゴーストタイプだ!」
イワークが激突する寸前、ポリゴンの体の質感が変化し、半透明になる。ノーマルタイプの「たいあたり」は、ゴーストタイプになったポリゴンを、何もなかったかのようにすり抜けていった。
「なにぃ!?」
タケシの驚愕の声が響く。タイプを自在に変更する「テクスチャー」。これこそ、ポリゴンが持つ最大のトリッキーさだ。イワークが体勢を立て直す、その一瞬の隙。
「今だ!戻れ、ポリゴン!」
俺はポリゴンをボールに戻し、すぐさま別のボールを投げた。
「行け、フシギダネ!仕上げだ!」
再びフィールドに降り立ったフシギダネが、勇ましく咆哮を上げる。
「ダネフッシャ!」
「またフシギダネか!タイプ相性が有利なのは認めるが、今のイワークに通用するか!」
「通用させますよ。最高のコンビネーションでね!」
俺は叫んだ。
「フシギダネ、『やどりぎのタネ』!」
フシギダネが背中から発射した小さなタネが、イワークの巨大な体にペタリと付着する。すぐにタネからツルが伸び、イワークの体に巻き付いて、その生命力を少しずつ吸い取り始めた。
「グルル……」
地味だが、確実に体力を奪う厄介な技だ。タケシが眉をひそめる。
「そんなもので俺のイワークは倒せん!『がんせきふうじ』!」
イワークが巨体を揺らし、天井近くから巨大な岩石を数個呼び寄せ、フシギダネめがけて落下させる。
「『つるのムチ』で岩を叩き落とせ!」
フシギダネが二本のツルを巧みに操り、迫り来る岩石を的確に撃ち落とす。その間に、「やどりぎのタネ」がイワークの体力をさらに奪っていく。
そして、ついにその時が来た。イワークの動きが、目に見えて鈍くなる。
「今だ、フシギダネ!決めろ!『はっぱカッター』!」
フシギダネが、ありったけの力を込めて、無数の葉っぱを刃のように射出する。それはもはや、ただの葉っぱではなかった。ポリゴンが作り出した隙、やどりぎが奪った体力、そしてフシギダネ自身の闘志。その全てが乗った、必殺の一撃。
無数の緑の刃が、イワークの巨体に突き刺さる。
「グルオオオオオオオッ!!」
イワークが、今日一番の悲鳴を上げた。そして、その巨体が、ゆっくりと、ゆっくりとフィールドに崩れ落ちていく。
ズウウウウン……。
地響きと共に、勝敗は決した。
「イワーク、戦闘不能!よって勝者、挑戦者ミナト!」
審判の宣言が、静まり返ったジムに響き渡った。観客席から、一瞬の沈黙の後、割れんばかりの拍手と歓声が沸き起こった。
俺は、ぜえぜえと息を切らしているフシギダネに駆け寄り、その頭を優しく撫でた。
「よくやったな、フシギダネ。お前が今日のヒーローだ」
「ダネ……」
フシギダネも、誇らしげに、そして少しだけ甘えるように、俺の手にすり寄ってきた。
やがて、タケシが静かにこちらへ歩み寄ってきた。その表情は、敗北の悔しさよりも、どこか清々しさに満ちていた。
「完敗だ、ミナト。君の知識、戦術、そしてポケモンとの絆。見事だった」
タケシはそう言うと、右手を差し出してきた。俺もその手を固く握り返す。
「ありがとうございます、タケシさん」
「このジムバッジは、君のような強いトレーナーこそが持つにふさわしい」
タケシはそう言って、灰色の六角形をしたバッジを俺に手渡した。初めて手にするジムバッジ、グレーバッジだ。ずっしりとした重みが、勝利の実感を伝えてくる。
「ありがとう、ございます!」
俺は深々と頭を下げた。こうして、俺の最初のジム戦は、最高の形で幕を閉じた。
フシギダネと、そしてポリゴン。二匹の頼もしい相棒と共に手にしたこの勝利は、俺たちの旅にとって、大きな、大きな一歩となったのだった。
チラシ裏から表にでるべきか
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チラシ裏でいい
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表にでてもいい
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まだ表にでるのは早い