アニポケ転生者物語   作:投稿者

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第66話

俺はマサラタウンの裏山にある、険しい崖が連なるエリアで、ストライクと特訓を行っていた。

 

「ストライク、『つるぎのまい』からの『シザークロス』だ!」

「シャアアッ!!」

 

ストライクの鎌が空気を切り裂き、巨大な岩を一瞬で四散させる。

サファリゾーンで仲間に加わったこのストライクは、通常の個体よりもわずかに緑色が濃く、関節部分に赤みがあるように見えていた。

 

「(個体差にしては、少し派手だよな……)」

 

俺はそんな風に軽く考えていた。彼が求めるのは、見た目ではなく、ただ純粋な「斬れ味」と「勝利」だったからだ。

 

「いい動きだ。だが、サカキのペルシアンを倒すには、まだ何かが足りない……」

 

俺がそう呟いた時、ストライクが崖の下の土壌を、鋭い鎌で激しく掘り返し始めた。

 

「どうした、ストライク?何があるんだ?」

 

ストライクは必死に土を掻き出し、地中から一つの「奇妙な黒い石」を掘り起こした。それは、墨のように真っ黒で、表面がザラザラとした、不思議な輝きを放つ鉱石――『くろのきせき』だった。

 

ストライクが、その石に吸い込まれるように鎌を伸ばした。

石に触れた瞬間。

 

「グガアアアアアッ!!」

 

ストライクが咆哮を上げた。同時に、彼の体が発光し始める。

 

「ストライク!?」

 

俺が駆け寄ろうとしたが、凄まじいエネルギーの奔流に弾き飛ばされた。

光の中で、ストライクのシルエットが劇的に変化していく。

背中の羽は、重厚な甲殻へと退化し、その両腕は、巨大で無骨な、すべてを粉砕せんとする「斧」へと変貌を遂げていった。

 

光が収まり、土煙が晴れた時。

そこに立っていたのは、現代の図鑑には存在しない、古の戦士だった。

 

「……バサギリ……!」

 

転生者としての俺の記憶が、その名を呼び起こした。シンオウ地方――かつてヒスイと呼ばれた時代に存在した、ストライクのもう一つの進化形。

だが、目の前に立つバサギリを見て、俺は息を呑んだ。

 

「(……色が、違う?)」

 

俺の知識にあるバサギリは、乾燥した大地のような、明るい黄土色や茶褐色の岩肌をしているはずだ。

だが、目の前のバサギリは違う。

全身が深く濃い緑色を帯びた岩石で覆われており、それとは対照的に、両腕の斧は通常と同じく漆黒の輝きを放っている。まるで、長い年月をかけて苔むした巨岩から削り出されたような、重厚で神秘的な色合いだ。

 

「(間違いない……。こいつ、色違いだ!)」

 

ストライクの頃は微妙な違いで気づかなかったが、進化したことでその特異な色彩が明確になったのだ。

 

「バサァァァッ!!」

 

深緑のバサギリが、その巨大な斧を地面に叩きつけた。

ドォォォォン!!

地響きと共に、足元の岩盤が広範囲にわたって粉砕される。

 

俺は興奮を抑えきれず、バサギリを連れて研究所へ走った。

 

「なんじゃ……なんじゃこれはぁぁぁっ!!」

 

バサギリを見たオーキド博士は、文字通り椅子から転げ落ちた。

「ストライクの進化形!?ハッサムとは違う、全く別の形態……。しかも、この岩石質の皮膚……古代の地層から見つかる化石に近い成分じゃ!」

 

博士は震える手でカメラを構え、夢中でシャッターを切り始めた。

「図鑑にも載っていない、未知のポケモン……。ミナト君!これは世紀の大発見じゃぞ!!」

 

博士は、これが「通常色のバサギリ」だと思っているようだ。無理もない。比較対象が存在しないのだから。

だが、俺だけは知っている。こいつが、未知の進化形であると同時に、極めて希少な「色違い」の個体でもあることを。

 

「(誰にも知られていない、俺だけの秘密の相棒か……)」

 

バサギリは、自身の新しい斧を満足そうに眺めると、俺に向かって静かに頭を下げた。

 

「よろしくな、バサギリ。お前は俺たちの、最高の『奇跡』だ」

 

「バサッ!」

 

現代の常識を打ち破る、古の進化。そして、隠された色彩の秘密。

俺たちは、文字通り唯一無二の力を手に入れた。

この深緑の斧が、これからの戦いでどのような伝説を刻むのか。

俺の胸は、かつてないほどの高揚感に包まれていた。

 

チラシ裏から表にでるべきか

  • チラシ裏でいい
  • 表にでてもいい
  • まだ表にでるのは早い
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