アニポケ転生者物語 作:投稿者
ついに、この時が来た。
セキエイ高原メインスタジアム、満員の観客が見守る中、俺は決勝戦の舞台に立っている。
対戦相手はカイト。黒いマントを翻し、一切の感情を表に出さないその佇まいは、まるで氷の彫像のようだ。彼は予選からここまで、圧倒的な実力で対戦相手を沈めてきた。
「ついに決勝だね、ミナト君。君のデータはすべて頭に入っているよ」
カイトの声は低く、どこか無機質だった。
「データで勝負が決まるなら、トレーナーはいらないさ。行くぞ!」
「決勝戦、始め!」
審判の合図と共に、カイトが最初のボールを投げた。
「行け、スターミー」
「(先鋒はスターミーか。素早さと技範囲の広さは脅威だが……)」
俺は、相棒のボールを握りしめた。
「頼むぞ、ポリゴン2!」
俺たちの先鋒はポリゴン2。シルフの技術の粋を集めた電子の体が、フィールドに舞う。
「スターミー、『ハイドロポンプ』」
カイトの指示は速い。スタジアムのプールから大量の水を吸い上げ、高圧の水流がポリゴン2を襲う。
「ポリゴン2、回避しながら『10まんボルト』だ!」
ポリゴン2は流れるような動きで水流をかわし、カウンターの電撃を放つ。水蒸気が爆発し、フィールドが霧に包まれる。
「『こうそくスピン』で接近」
スターミーが高速回転しながら霧を切り裂き、ポリゴン2に肉薄する。
「そこだ、『トリックルーム』!」
ポリゴン2が空中で不気味な波動を放つと、空間がぐにゃりと歪んだ。
「なっ……!?」
カイトが初めて驚きの声を上げる。高速回転していたスターミーの動きが、まるでスローモーションのように鈍化した。
「今だ、『シャドーボール』!」
逃げ場を失ったスターミーに、黒いエネルギー弾が直撃する。効果は抜群だ。スターミーは回転を止め、水面に力なく浮かび上がった。
「スターミー、戦闘不能!」
「……なるほど、空間操作か。面白い。だが、これはどうかな。行け、カビゴン」
カイトの二匹目は、巨大なカビゴン。その巨体は、フィールドの半分を占拠するかのような圧迫感がある。
「ポリゴン2、一度戻れ。……バサギリ、頼む!」
俺は、物理アタッカーのバサギリを繰り出した。
「カビゴン、『のしかかり』」
カビゴンがその巨体を活かし、空高く跳び上がってバサギリを押し潰そうとする。
「バサギリ、『がんせきアックス』で迎撃だ!」
バサギリは、降り注ぐ巨体に対し、自らの巨大な斧を振り上げた。
ガキィィィィン!!
凄まじい金属音が響き、カビゴンの突進が斧によって受け止められる。バサギリの岩の体が、その重圧に耐え抜いたのだ。
「そのまま『インファイト』!」
「バサァァッ!!」
斧を地面に突き刺し、バサギリがカビゴンの懐に飛び込む。鋭い斬撃と重い拳が、カビゴンの厚い脂肪を震わせる。
「『じしん』で引き剥がせ!」
カビゴンが地面を殴りつける。だが、バサギリは跳躍し、空中で斧を構えた。
「とどめだ!全力を込めろ!」
斧が振り下ろされ、カビゴンの防御を強引に突破した。
「カ……ビ……」
巨体が崩れ落ち、スタジアムが揺れる。
「カビゴン、戦闘不能!」
「よしっ、二匹撃破!」
俺は拳を握りしめる。だが、カイトの瞳はまだ冷たいままだった。
「いいだろう。君の地力は認める。ここからは、僕のフィールドで戦ってもらうよ」
カイトが三つ目のボールを掲げた。
「蹂躙せよ、ニョロトノ」
カイトの三匹目、ニョロトノがフィールドに現れる。その瞬間、スタジアムの空気が一変した。
「ニョロトノ、『あめふらし』」
ニョロトノが鳴くと、スタジアムの上空に急速に雨雲が立ち込め、激しい豪雨が降り始めた。
「(雨パか……!)」
「ニョロトノ、『ハイドロポンプ』!」
雨で強化された水流が、バサギリを襲う。岩・虫タイプのバサギリにとって、水技は弱点だ。
「バサギリ、斧で防げ!」
バサギリは斧を盾にするが、雨で強化された水圧は凄まじい。斧ごと吹き飛ばされ、壁に激突する。
「バサギリ、戦闘不能!」
「一気に持っていかれたか……。だが、天候ならこっちも対策済みだ。頼むぞ、ヤドラン!」
俺はヤドランをフィールドに送り出した。
ここからが、天候を巡る総力戦の始まりだ。