アニポケ転生者物語   作:投稿者

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第82話

表彰台の上、俺は重厚な黄金のトロフィーを両手で高く掲げていた。

無数のフラッシュが焚かれ、何万という人々の歓声が、全身を震わせる。

数ヶ月前、マサラタウンを出発した時には、想像もできなかった光景だ。

 

「おめでとう、ミナト君。素晴らしいバトルだった」

オーキド博士が、目に涙を浮かべて賞状を手渡してくれた。

「君とポケモンたちの絆。それは、新しい時代の幕開けを感じさせるものじゃったぞ」

 

隣を見ると、準優勝のカイトが、清々しい笑顔で俺を見ていた。

「完敗だよ。データでは測れない『何か』が、君たちにはあった。……いつかまた、バトルしよう」

「ああ。楽しみにしてるよ」

 

表彰式を終え、俺はスタジアムの裏手で風に当たっていた。

夕焼けに染まるセキエイ高原。祭りの後のような、少し切ない、しかし心地よい静寂。

 

「ミナト!」

聞き慣れた声に振り返ると、サトシ、カスミ、タケシ、そしてシゲルがいた。

 

「おめでとう!本当にかっこよかったぜ、ミナト!」

サトシが自分のことのように喜び、拳を突き出してくる。

「あんたが優勝するなんて、まだ信じられないけど……おめでとう」

カスミが照れくさそうに笑う。

「シルフの英雄、そしてセキエイ大会優勝者か。君の旅路は、多くの人に勇気を与えたはずだ」

タケシが頼もしく頷いた。

 

そして、シゲル。

「フン、先を越されちゃったな。だが、次は負けないぞ。俺も、もっと強くなって、必ずお前に追いつく」

「ああ、待ってるよ、シゲル」

 

俺たちは、ライバルとして、そして友人として、再び拳を合わせた。

マサラから始まった、それぞれの物語。

それが今、一つの大きな頂点で交わったのだ。

 

その夜、オーキド研究所のメンバーや母さんも交えて、盛大な祝勝会が開かれた。

賑やかな笑い声の中、俺はそっと一人で外に出た。

夜空には、セキエイの空を祝福するように、満月が輝いていた。

 

「(これで、カントーの旅は終わったんだな……)」

 

俺は、懐から一枚の地図を取り出した。

母さんから預かった、オレンジ諸島の地図だ。

ロケット団の不穏な動き、ミュウツーの行方、そしてまだ見ぬ「古代の秘密」。

カントー最強の称号を手に入れたが、俺の旅はここで終わりではない。

 

「行こう、みんな」

 

俺の呼びかけに、足元の影からゲンガーが、隣の木からフシギバナが、空からカイリューが、それぞれの方法で応える。

ポリゴン2はデバイスの中で新しいルートを計算し、ウインディは海の方角を見据えて鼻を鳴らした。

 

俺たちの戦いは、まだ始まったばかりだ。

この世界が、物語ではなく「現実」である限り、冒険に終わりはない。

 

「次はオレンジ諸島……。そして、いつか、ミュウツーに会いに行く」

 

俺は前を向いた。

その瞳には、かつての「プレイヤー」の面影はなく、一人の「トレーナー」としての揺るぎない覚悟が宿っていた。

 

翌朝、俺は誰にも告げずに宿を出た。

見送りはいらない。これは、俺自身の決断による、俺自身の旅だからだ。

 

風が、新しい冒険の匂いを運んでくる。

 

「さあ、行こう!新しい世界へ!」

 

俺は力強く一歩を踏み出した。

その背中を、カントーの朝焼けが、どこまでも明るく照らし出していた。

 

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