アニポケ転生者物語 作:投稿者
「コピーだと……!?ポケモンが、ポケモンを創り出したっていうのか!」
サトシが驚愕の声を上げる。ポケモンの命は、自然の中で育まれるもの。それを人工的に、しかもポケモン自身が作り出すなど、常識では考えられないことだ。
『いかにも。人間が私を創ったように、私もまた、より優れた存在を産み出したのだ。彼らはオリジナルよりも強く、賢く、そして何より……人間に媚びることを知らない』
ミュウツーの言葉には、自身の出生に対する深い絶望と、それ故の歪んだ自負が込められていた。
「ふざけるな!俺のポケモンが、コピーなんかに負けるわけがない!」
最初に飛び出したのは、フシギバナ使いのスイートだった。
「行くわよ、バーナード!『エナジーボール』!」
彼女のフシギバナが技を放つ。だが、ミュウツーのコピーフシギバナは、微動だにせずそれを受け止めた。
『弱い』
コピーフシギバナがツルを振るうと、突風のような衝撃波が発生し、スイートのフシギバナを吹き飛ばした。一撃だ。
「なっ……!?」
続いてウミオのギャラドスが『ハイドロポンプ』を放つが、コピーカメックスの『こうそくスピン』で弾かれ、逆に甲羅の体当たりを受けてダウン。
ソラオのピジョットも、コピーリザードンの圧倒的なスピードに追いつけず、空中で撃墜された。
「嘘だろ……。あいつら、強すぎる……!」
サトシたちが息を呑む。レベルが違う。技の威力、反応速度、タフネス……すべてにおいて、コピーはオリジナルを凌駕していた。
『次は……お前だ、ミナト』
ミュウツーの瞳が、俺を射抜く。
『お前は、トキワジムで私の拘束を解いた。その力、そしてそのフシギバナ……。私のコピーフシギバナと、どちらが上か試してやろう』
ご指名だ。避けては通れない。
「……分かっている。頼むぞ、フシギバナ!」
俺は、マサラタウンからの相棒、最終進化したフシギバナを繰り出した。
セキエイリーグを制した俺のエース。数々の修羅場を潜り抜けてきた、歴戦の勇者だ。
「バナァッ!」
フシギバナが咆哮する。目の前のコピーに対し、強烈なライバル心を燃やしているのが分かる。
『始めろ』
ミュウツーの合図で、コピーフシギバナが動いた。
巨体とは思えないスピードで突進してくる。
「フシギバナ、『ヘドロばくだん』!」
俺は先手を取る。毒タイプの一撃なら、草タイプには効果的だ。
だが、コピーフシギバナは身動き一つせず、飛来する毒の塊を自らのツルで叩き落とした。
『無駄だ。』
「なら、力で押し通すまでだ!『ハードプラント』!」
大地を割り、巨大な植物の槍がコピーを襲う。セキエイ大会の決勝で見せた、最大出力の技だ。
しかし、コピーフシギバナはその槍を正面から素手(ツル)で掴み、力任せにねじ伏せた。そして、逆にそのツルを使って俺のフシギバナを捕縛し、投げ飛ばした。
「バナッ!?」
自らの技を利用され、地面に叩きつけられるフシギバナ。
「(なんてパワーだ……。技術や経験だけじゃ、埋められない差があるのか!?)」
「フシギバナ、耐えろ!最大火力の『ソーラービーム』だ!」
俺は賭けに出た。溜めが必要な技だが、これに全てを込めるしかない。
フシギバナが背中の花を輝かせる。
だが、コピーの方はチャージの予備動作さえ見せなかった。
『終わりだ』
コピーフシギバナの背中の花が、一瞬で眩く輝く。
刹那、極太の光の奔流が放たれた。溜め無しのソーラービームだと!?
ドォォォォォン!!
「フシギバナ!!」
爆煙が晴れた時、そこには力なく横たわるフシギバナの姿があった。
カントー最強を証明した俺の相棒が、これほどまでにあっけなく……。
『理解したか。人間に育てられたポケモンなど、しょせんは偽物。私の創り出したものこそが、本物なのだ』
ミュウツーの言葉が、重くのしかかる。
サトシのリザードンも、コピーリザードンに敗北した。
カメックスも、フシギバナも、すべてコピーに敗れた。
『勝負はついた。約束通り、お前たちのポケモンはすべて頂く』
「なんだって!?」
『弱いポケモンなど必要ない。だが、その遺伝子は利用価値がある。私のコピーたちの糧となるのだ』
ミュウツーが右手を掲げると、天井から無数の黒い物体が降り注いできた。
それは、目玉のような模様がついた、禍々しい配色のモンスターボール。
ミュウツーボールだ。
『バトルの時間は終わりだ。これからは、私のコレクションとなってもらう』
「させるか!」
俺は傷ついたフシギバナを急いでボールに戻し、叫んだ。
だが、その黒いボールは、生き物のように空中を飛び回り、トレーナーたちのポケモンを追いかけ始めた。
ボールに入っているポケモンさえも、手元から強引に転送され、吸い込まれていく。
「逃げろ、みんな!ボールに戻るんだ!」
「ダメよサトシ!ボールごと奪われるわ!」
カスミの悲鳴。彼女のトゲピーやヒトデマンが、次々と黒いボールに捕獲されていく。
タケシのイワークも、ロコンも、逃げ場のない広間で追い詰められ、吸い込まれた。
「(くそっ……!このままじゃ全滅だ!)」
俺は腰のベルトに手を当てた。
ウインディ、カイリュー、ゲンガー、ポリゴン2、ラプラス、ヤドラン。
そして、ボックスにいる仲間たち。
彼らを、こんな理不尽な形で奪われてたまるか。
「(物語は、ここから最悪の局面へ向かう……だが、俺はまだ諦めないぞ!)」
俺はポリゴン2の入ったボールを握りしめ、この不条理なシステムへの抵抗を試みることにした。
黒い球体が、俺の目の前まで迫っていた。