彼だけが救われる物語   作:大気圏突破

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平成2年12月15日生まれの人しか小倉の馬券はとれないよな
しかも土日で100万馬券出過ぎよ、win5もキャリーオーバーだし


出会いは突然に

 新婚旅行でリフレッシュした2人は商売を再開させた。店の外には冒険者や住民たちが列を作り開店するのを待っていた。夫婦はいつもより早く鍵を開けてポーションや医薬品を売りさばき昼前には完売となった

 

 

「お疲れ様アクア君」

「あかねも」

 

 更に親密な関係になった夫婦は互いを労う言葉を発し抱き合う。可愛い妻はどんな病気にも効く万能薬であり夫の温もりを感じる妻は明日を頑張るパワーを貰っていた。それを窓の外から眺める近所の女の子、時計の針が右回りするように平和で当たり前の日々が続いていたが…

 

 

 

「スタンピード?」

 

 商業ギルドに呼ばれたアクアは聞きなれない単語を耳にして疑問符を浮かべていた。対面に座るギルドマスターは組んでいた足を戻して読んでいた書類から顔を上げた

 

「簡単に言えばダンジョンから溢れたモンスターたちの群れだ」

「まさか街に?」

「偵察部隊が目視で確認してきた。行軍速度から算出すると3日後だな」

「じゃあ早く避難を」

 

 立ち上がった彼を落ちつかせた彼女は慌てることなく自然体のままだった

 

「我々だって無策の行き当たりばったりな愚か者ではない、既に戦力を揃えて進路上に配置してある。ダノンに辿り着くのは極僅かだ」

 

 

 何度も経験しているからこそ対策を立てることが出来る。そして1回の成功に慢心せず精度を高めていく、情報伝達の向上に効率化された陣形や戦力の分配にトラップも進化している

 

 

「安全の為に収まるまで外出は禁止になる。近年は大きな被害も無いし冒険者ギルドの奴等にとってスタンピードは稼ぎ時なんだ」

「じゃあ何のために?」

 

 戦闘経験ゼロである自分が呼ばれた理由が分からないアクアは首を傾げる

 

「販売用のポーションや医療セットを前線で戦う者たちに配りたい!もちろん料金は支払う」

「分かりました」

「もしかしたら『ハイポーション』を求める可能性もある。こっちでも用意しておくが万全を期してほしい」

 

 

 外でガーデニング中だった妻にギルドでの出来事を話すと最初は怖がっていたが、趣味仲間の奥様が笑い飛ばし元気づけていた。当人曰く

 

「旦那に稼いでもらわないと明日から硬いパンと味の薄いスープになるよ」

 

 あかねはその言葉に笑みを浮かべるのであった

 

 

 

 

 

「王手!」

「参りました」

 

 結局のところスタンピードが起きてもダノンに大きな被害は無かった。討ち漏らしたスライムやゴブリンなどの雑魚モンスターが近くまでやってきたが同情したくなるレベルでオーバーキルされてしまった。アクアたちは必要なモノを納品すると自宅に籠り、旅行先から購入したボードゲーム(将棋・チェス・オセロ)で時間を潰していた

 

 

「杞憂だったね」

「負傷者が多かったら呼ばれるんじゃないか?」

 

 夫婦で安堵しているとドアを叩く音と女性の声が聞こえアクアは身構えた。ギルドの職員や近隣住民なら自分たちの名前を口にするはずなのに”すみませ~ん”としか言わない

 

 

「どちら様ですか?」

「宿にいる仲間がモンスターの攻撃で大怪我を負って、だから薬を売ってください」

「武器は置いてください」

 

 凛とした女性の声はどこか懐かしく感じるものだった。ダンジョンの片隅に残り続けた宝箱のように長く閉じられた大切なモノを開けるような感覚に陥ったアクアは小窓から安全であることを確認すると鍵を開けた

 

「お願いします!」

 

 頭を下げながら入店した女性は紫がかった黒髪のロングヘアーだった。彼の心臓の鼓動は少しずつ早くなる。この世界で妻と対面したときから待ち望んでいたのかもしれない

 

 

「やっと会えた……アイ!」

「どうして名前を?その声って、まさかアクア?」

「会いたかった―――ずっと」

 

 目に涙を浮かべ声を絞り出そうとするが上手く言葉を発することが出来ない、現実では二度と叶うことのない奇跡は異世界の世で果たされた

 

 

 

「大きくなって」

 

 アクアから渡された『ハイポーション』を宿に届けたアイは再び彼等の所に戻り、成長した息子と抱き合ってい互いに涙をこぼし感動に浸っている。離れていた妻もハンカチを濡らして目を赤くしている

 

 

「ルビーがB小町を」

「映画で共演した有馬とYouTuberのMEMちょの3人で」

「そのYouTuberって何?」

 

 これまでの出来事や思い出を1つ1つ語り始める。いつものアクアなら詳しい説明を挟んで要領よく話すが言いたいことが沢山あり、あかねが落ち着けながら進めている

 

 

「そんなに時代が変わったんだ」

「アイが亡くなってから、社長は逃げたけどミヤコさんが頑張ってくれて」

「でも悲しいなアクアが私の死んだときより若かったなんて」

「ごめん」

 

 顔を俯かせる息子の頭に手を乗せて優しい手つきで撫でる

 

「でもこうやって会うことが出来た!成長した息子の姿を見ることが出来るなんて」

「俺も―――」

「ところで、この女の子は?」

 

 その質問にアクアは姿勢を正すと妻のことを紹介した。息子のカミングアウトに驚いた母親は背中から倒れそうになるが踏ん張ることが出来た。自身も10代で双子を身籠ったので血は争えないと思ってしまう

 

 

「ララライにいたんだ!じゃあ私の後輩だね」

「アイさんも」

「鏑木の紹介で、色々あってね」

 

 過去を懐かしむように遠い目をしていたが、視線を息子の妻に戻して真剣な表情を作ると

 

 

「アクアのことをお願いね!あかねちゃん」

「はい!お義母さま」

「ぶしつけなことなんだけど2人まさか…やっちゃった?」

 

 少し顔を赤らめる夫婦を見てアイは苦笑いを浮かべた。自身は息子よりも若いときに子供を身籠る行為をしていたので強くは言えなかったが、羽目を外し過ぎないように注意するのであった

 

 

 

「こんな感じに成長したんだ」

「ちょっとワガママに育ったけどな」

「女の子はそれぐらいでいいの」

 

 その後は成長したルビーのイラストを描き上げようとするが絵心の無いアクアにとって東大入試よりも困難なことだったが、かつてポーションと物々交換したネックレスをアイが鑑定すると『記憶のネックレス』というレアアイテムだと分かり、装備してペンを持って妹のことを思い浮かべると1年生の夏にアイドルフェスで歌っていたルビーの全身イラストを完成させた

 

 

「あかねちゃん綺麗な肌だね」

「お義母さまも」

「アクアも一緒に入る~?」

 

 風呂場では嫁と姑が裸の付き合いをして親睦を深めていた。アイは10本の指を卑猥に動かして胸の感触を満喫し互いの背中を流しあった。アクアは2人の為に風呂上りの飲み物を用意し改めて幸せを実感する

 

 

 

「じゃあ消すよ」

 

 少し狭いがセミダブルのベッドに3人が川の字で横になる。発端はアイの”アクアの奥さんってことは私の娘だよね”という発言でアクアは渋っていたが押し切られてしまった。血の繋がった親子と義理の娘は身を寄せ合って同じベッドで絆を深める

 

 

「まさかこんなところで会えるなんて、しかもアクアに可愛いお嫁さんが出来てホントにビックリしちゃった」

「アイはいつから?」

「5年ぐらい前かな、刺されたあとに目が覚めたら知らない場所だったけど近くに住んでいた老夫婦に助けてもらって、お金を稼ぐ為に冒険者になっていたら仲間が出来ちゃって」

 

 

 なんの因果かアイの率いるパーティーは『B小町』と命名され現世でアイドルをしていたように快進撃で高ランクのクエストを次々とクリアしていった

 

 

「ねぇ」

「ダメ!一緒に暮らしたいけどアクアにはあかねちゃんがいるでしょ、偶には帰って来るから元気な顔を見せてほしいな」

「分かった!アイにはいつかお婆ちゃんになってもらうから」

「楽しみにしてるよ、あかねちゃん起きてるでしょ?」

 

 頷く彼女を見て母親は抱き寄せると

 

「アクアはしっかりしてるけど甘えん坊なところがあるから」

「知ってますよ夫婦ですから」

「もしベッドの上でイジメられたら」

「ウぐっ!」

 

 ヘソから15センチで左の脇腹を強めに弾くとアクアは悶えるような声をあげてしまう

 

「ここが弱点だから」

「お義母さま、実はそこ以外にも弱点がありまして」

 

 

 完全無欠なアイドルとララライのエースは結託して息子・夫(アクア)のことをイジメつづけた。結局3人は翌朝寝坊してしまいアイも店の開店準備に駆り出されることになった

 

 

「じゃあ行くから」

「いつでも帰ってきていいから」

「離れていても家族は心で繋がっているから大丈夫」

 

 Vサインをしたアイは背中を見せて段々と小さくなっていく、短い間だったけど濃密で最高な時間を過ごすことが出来たアクアの顔は晴れやかだった

 

 

「パワフルな人だったね」

「俺達の母親だからな」

「アクア君マザコンでしょ?」

「母親想いって言ってくれ」




アイの登場となりました。彼女はIF世界ではなくアクアと同じ世界からですが時間軸の歪みでアクアが転生する5年前に到着しているのでMEMちょとほぼ同じ年齢になります

彼女のスペックですが世界最強クラスですが知能レベルが中学1年生と同等なので、頭を使った戦いが苦手でレベルを上げて物理で殴る路線です。魔法も使えますが出力調整が出来なくてメラがメラゾーマと同等です。他のメンバーからは「アイさんは剣で戦ってください」と懇願されてます


『記憶のネックレス』

 装備した人の脳内ある記憶を紙に描き写すことが出来る。芸術家なら喉から手が出るレベルで欲しい代物である


感想ありがとうございます
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