日本で無いどこかの居酒屋でちまちまと酒を飲む2人組、片方はステイゴールド、もう片方はそのトレーナーである。
「ん〜!噂には聞いてたがやっぱここの海産物は美味いな!ほらトレーナー!生牡蠣だぞ生牡蠣!」
フォークに刺した生牡蠣をトレーナーに差し出す。港町ということもありこの町は鮮魚が豊富で、居酒屋にも当たり前に生の魚介が提供されるようだ。
太く実った牡蠣は日本でもなかなかお目にかかれないサイズであり、それが生で食べられるというのだから驚きだ。街の名物としてメニュー表に大体的に書かれていたのも頷ける。
艶かしいくらい肥えたそのミルクに欲が駆り立てられ、トレーナーも差し出されたフォークにかぶりつく。
「ん〜!美味しいね!」
噛めば噛むほど出てくる出てくる味の束。生だからこその風味というのだろうか。濃厚な味が神経を走る。
目を大きく開き堪能する彼を見て、ステイゴールドはそっと微笑んだ。
「んじゃステゴ、こっちも食べなよ!」
お返しと差し出されたのは魚のムニエル。一般的調理法だが、だからこそ素材の良さが活きてくる。
「なんの魚かはあんまり分かんないけど…ヒラメ?みたいな感じで美味しいよ!」
「バカ!それ高い魚なんだぞ〜」
「えっそうなの!?じゃ尚更ステゴも食べてよ!」
皿を彼女の方へやり食べるのを促す。嬉々として幸せをステゴにも堪能して欲しい、もっと共有したい。そんな染み付いた同行者根性が奉仕の喜びに繋がっていく。
がそれ長年の付き合いで百も承知。トレーナーの愛情を受け止め、ステゴも喜んでムニエルを口に運ぶ。想像以上の味に頬を綻ばせ、更に少しの贅沢としてワインを口にする。
「いい酒にいい肴、いい贅沢だ」
「いい飲み相手もセットで、ね」
「言うじゃないかトレーナー」
とはいえそんな贅の限りを尽くす生活を旅でできるはずもなく、泊まる宿は小さな宿。二人でせまーい一部屋に肩を並べるしかない。
明日はまた町をたち、心のままにゆく宛てなく旅をする予定だ。衣類をたたみ買ったお土産をまとめ荷造りをしている最中だった。
「ステゴ、パスポートはちゃんとあるね?国境近いしすぐ出せるようにしといて」
「言われなくても。あんたも、明日寝坊して慌ててここに置いてくとかしないでくれよ?」
「だーいじょうぶ。えーっと…パスポートを………」
パスポートを服のポケットに仕舞うついでに、本当に何気なしにパラパラめくろうとした時事件は起きた。
「どうした?」
「……パスポート、切れそう」
「おいおい冗談も程々にしろよ。まだそんなに旅して…」
ステゴも釣られ、自身のパスポートの有効期限を、そして現在の日付を確認する。そこに告げられていたのはこの旅の終わりが残り僅かという事実であった。
半年もない有効期限、求められるのは一刻も早い帰国と手続き。旅人2人、揃いも揃ってこんなザマというなんとも間抜けな旅の終焉に段々、笑いが込み上げてくる。
「くっそ…あ〜…なーにやってんだかな」
「私だってっ…こんなに長びくつもり無かったから…あーー…ははっ…そうかぁ…そんなに長く旅してたのかぁ」
ステゴの脳裏に過ぎるのはこの二人旅が始まった日。
『おーーい!!』
ススキ生い茂る野原で、ボロボロのトレーナーが自分めがけて走ってきたあの光景。自分の帰りも待たず追いかけてきてくれた彼の熱意が…。
「トレーナー」
「…どうしたの?」
「日本まで私のこと、しっかり捕まえててくれよな」
「捕まえるだなんて…俺は君についてくだけだよ」
かくしてひょんな事よりステイゴールドらは長い長い報告の旅に終止符を打ち、故郷に帰ることになったのだった。
ステゴ…いい……
女の子なステゴと男の子なステゴ、どっちも好きです。イケメンステゴは本編で沢山あったのでもっと照れ顔みたいメスにもなって欲しい(欲ダダ漏れ)
そんなイラスト増えて♡♡