数千回目のループに疲れたので休暇をもらったら、何故かみんなの様子がおかしくなりました 作:ド級のリトライ
こういうのあんまりないな〜って思いまして。
誰か書いてくれてもいいのよ?
────何回目、だろうか。
一瞬だったように思えるし、途方もなく繰り返してきたように思える。
余裕はない。今も腹部からどろりと血の塊が溢れ落ちている。
時間もゆったりと流れている。今際の際に見る、時間の圧縮現象のようだ。
「ごめんね。また君を、救えなかった」
「何を、言って……」
そうだ。君は知らない。君は知り得ない。
だけど、僕はこの景色を何度も見ている。
何度も、何度も、何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も。繰り返し、繰り返し、繰り返して。
「君が、君たちが笑ってくれる世界が見たかったんだ。だけど、僕が不甲斐ないばかりに、運命は変わらなかった」
あぁ、
「でも、次は。次こそは、君たちを」
「────やめて」
「何度、何度、何度、何度繰り返しても」
「うるさいっ」
「君がまた、笑ってくれるように」
「五月蝿いッ!!!」
悲痛と困惑が混じったような顔。
泣いているのだろうか。君を泣かせるのは、これで何回目だろうか。
「あなたなんか知らないっ。なのに、私はあなたを知っている。知らない記憶が流れ込んでくるのっ」
「なんで?知らないのに、どうしてあなたと過ごした日々が、あなたを撃った記憶が、何度も何度も流れてくるの?」
「何これ……何なの、これ……?あなたは何を知っているの?何でこんなに胸が苦しいの?ねぇ、答えてよ、
彼女が何か言っている。だけど、もう僕の耳は碌に機能していないから何も聞こえない。目も霞んできた。全部がボヤけて見える。体が、重い。
────次こそは。
そう心で唱えながら、おそらく数千回目の長い眠りについた。
「………おはよう、数千回目の今日」
木々は揺れ、小鳥が囀る朝。薄暗い路地裏の間から空を見上げれば、果てしなく続く青空が広がっていた。あぁ、曇天以外の空を見るのも久しぶりだ。
念のため日付も確認する。うん、ちゃんと
そう、僕の新たな人生はこの路地裏から始まる。それは何千回経っても変わらないようだ。
ぶっちゃけ初回の記憶はほとんどないに等しい。ましてや前の世界のことなんて尚更。
多分呑気に歩いていて、気づけばこの路地裏にいたとかそんな感じだろう。
まぁ、そんな些細なことなんかどうでもいいか。今はこれからのことについて考えないと。
「とは言ってもなぁ。もう万策尽きたぞ」
ぐでーっとゴミ袋の上で伸びる。
現状、やれることは全部し尽くした。数千回の時を経て、記憶を引き継いでなお、全部が水の泡となった。
正直、今の無策な状態で事を進めても、きっとまた同じ結末を辿るだろう。それに、流石にもう疲れ果ててしまった。
…………それならいっそ、
過去に生徒にならず一般市民として動いた時もあったが、あれでも多少なりとも動いていた。だが、今回は違う。完全なバケーション、完全な個人的休暇にしようと思う。
あの子───シロコ*テラー、言い難いからクロコにしよう。クロコにあんなこと言った手前、ものすごく休みづらい気持ちに襲われるが、数千回のうち1回だけ休んでも罰は当たらないだろう。
それに、休暇を通して見えてくるものもあるかもしれない。まぁ、リフレッシュすることが優先だが。
「そうと決まれば早く路地裏から出ないと。このままだと先生が来ちゃう」
路地裏で蹲っていた僕に手を差し伸ばしてくれた先生。あの日触れた優しさは、数千回の時を経た今でも覚えている。
彼女は
しかし、
「しっかし、相変わらずオンボロな服着てんな、僕。あぁ、そういやあっちのゴミ袋に好みの服とか捨ててあったっけ。久々に着てみようかな」
♾️
駆ける、駆ける、駆ける。
人混みを押しのけて、ただ前だけを向いて、あの路地裏に向かって狂ったように走る。
息が荒い。苦しい。苦しい。苦しい。涙が滲み出るほどに、胸が痛い。
ついさっきだ。突然頭が割れるほどの頭痛に見舞われた時、
知らない筈だ。あんな景色、私は見たことがない。そこに映る少年のことも、私は知らない。
なのに、私の心は“忘れるな”と叫んでいる。あの記憶の中にいる少年を探せと叫んでいる。
分からない。分からない分からない分からない分からない。何もかも分からない。
でも、だけど。あの少年は私にとって、とても大切な人で────
「いた!」
あの少年だ。紛れもなくあの子だ。処女雪のような真っ白な髪、中肉中背で、後ろ姿だけでも何処か儚い印象を与える子供。あの子を目に映しただけで、堰を切ったように涙が止めどなく溢れた。
何とかして呼び止めたい。しかし、ここは路地裏ではなく繁華街の中央通り。このままでは人混みに紛れて何処かへ行ってしまう。そして、私には彼を止める手段など持ち合わせていなかった。
「君!待って!待ってくれ!」
届かない。
「お願いだ!頼む!頼むから行かないでくれ!」
届かない。
「もう、もう私を置いてかないで!!」
届かない。
「────カイト!!!」
彼は───カイトは一瞬足を止めるも、すぐに歩き出してしまい───とうとう完全に姿を見失ってしまった。
「………カイト。カイトだ。あの子の名前はカイト」
やはり知らない。知らない子の名前だ。聞いたことも見たこともない。
それなのに────
「う゛ぁ………あぁ゛、ああああぁぁぁああああっぁあぁああああ!!!!!」
どうして、こんなに苦しいのだろうか。
(呼ばれた気がするんだけど気のせい……?)
【輪廻カイト】
性別:男
年齢:17
所属:なし
誕生日:4月5日
身長:175cm
趣味:色々
異界から来た転移者。
初回でバットエンドルートに突入し、彼も死んだ筈が、彼に宿る神秘の特性によって全てが巻き戻された。通算数千回以上の巻き戻しをしている。
本来なら記憶の引き継ぎは彼のみ。しかし、今回は少し異なるようで……?