数千回目のループに疲れたので休暇をもらったら、何故かみんなの様子がおかしくなりました   作:ド級のリトライ

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ラーメンは血液───これ自論ね

 

 

 

 

 

 「どう思う?大将」

 「あいよ!何言ってんのかちっとも分かんねぇけど、ラーメンが大好きってのは伝わったぜ!」

 

 特にあんたのとこのラーメンがな!

 

 久々に懐かしの味を思い出しに柴関ラーメンにやって来た。

 アビドスに来たら、ここは外せないでしょ。もはや観光地と一緒。とりあえずここに来ておけば後悔はしない。

 

 「………何度か弟子入りしたけど、結局こんな美味いラーメンは最後まで作れなかったな」

 「ん?なんか言ったかい?」

 「いや、何度食べても、あなたの作るラーメンが世界一美味いんだって実感してるところです」

 「そりゃ嬉しいねぇ!ただ、その口ぶり的にうちの常連さんかい?記憶力が取り柄なんだが、あんたみたいなお客さん見たことがなくてよ……」

 

 でしょうね。むしろ見覚えあった方が怖いというか。

 

 「やっと着いたー!大将やってるー?」

 「おうよ!うちは年中無休だからな!」

 「やったー!」

 

 ラーメンを包めながら舌鼓を打っていると、元気一杯な声が来訪を告げた。

 あれは……便利屋のみんなだ。この前の闇銀行の時といい、やけによく会うな。

 

 「ラーメン4人前お待ち!!」

 「ひ、ひとりにつき1杯………こんなに贅沢してもいいんですか?」

 「アビドスさんとこの友達だろう。替え玉欲しけりゃ言いな」

 

 あ〜、今回もアルちゃんの地雷踏み抜いちゃったか〜。まぁ、まさか今の発言のせいで店が爆破されるなんて、大預言者でも想像がつかな─────あっ、ここ爆破するじゃん。

 

 「そういや、あんたもアビドスさんとこの友達かい?ならサービスしても……ってもう食い終わったのか!?」

 「いや、本当はもっと噛み締めて味を楽しみたかったんですが、たった今急用を思い出しまして……」

 「そ、そうかい。ま、いつでも来い!待ってるぜ!」

 

 大将……やはりここはアビドスのオアシスなんだ……!

 

 「はい!じゃ、ご馳走様でし────」

 「ねぇ」

 

 割り込むように真横から声を掛けられた。

 隣に目を移せば、そこには息を呑むほどに整った顔立ちをした女性が………ってなんだ、カヨコさんか。…………………なんでカヨコさん?

 

 「えっと、何でしょうか?」

 「──────」

 「え?えぇ?」

 「──────」

 「…………」

 

 正直に言っていいか?怖いです。

 異常に開いた瞳孔で、瞬きもせずに、穴が開くくらい見てくる。フードも被って碌に顔も見れないというのに、何が面白いのか、熱心に見つめてくる。

 対して僕は蛇に睨まれた蛙の如く体が硬直する。目で大将に助けを求めるも、困り顔で首を振るといった無情な答えが返ってきた。

 

 「────ねぇ」

 「あっ、はい……」

 「私、あんたとどこかで会ったことある?」

 

 んん?いや、そんなことはない。前の闇銀行の一件がノーカウントなら、()()()まだ会ってない筈だ。

 

 「いや〜、人違いだと思いますよ。あなたとは(今回はまだ)会ったことありませんし」

 「………………その仕草」

 「ん?」

 

 「それ」と指差す先は、自身の後頭部の付け根を摩る僕の左手。……………………あっ。

 

 「それ、()()()()()()()()()()でしょ?」

 

 バレた!?というか何故()()()()()!?今回の君はどうやっても知り得ない筈なのに!?

 いや待て。思い出してみれば、この仕草を最初に指摘してきたのもカヨコさんだったっけ。ならば、彼女の観察眼は異次元に突入していると言っても過言ではないかもしれない。なんせ、()()()()である僕の仕草を見抜いてきたのだから。

 

 「私、()()()()。その仕草、()()()()()()。私にとってそれは、とても特別な仕草なんだって。なんでかは分からないけど。でも、なんで?どうして?分からない。どうして私はこの仕草を知ってるの?あんたなら分かる?」

 

 エラーを起こしたロボットのように譫語を呟く彼女であったが、その目はしっかりと僕を捕えて離さない。

 ……あの、そろそろその目やめてもらっていいですか?結構居心地が悪いというか、トラウマ刺激されるんですよ。()()()()()()()()()()()()()()()()、尚更。

 

 「えっと、分からないので帰っていいですか?」

 「ダメ」

 

 即答……っ!圧倒的即答……っ!

 たった2文字に果てしない意志を感じた。

 

 「あんたともっと話したい。あんたをもっと知りたい。あんたともっと一緒にいたい。もっと、もっともっと。だから────」

 

 その瞳は無限に続くブラックホールのように、どこまでも黒く、どこまでも底知れない深さを以て、僕を包み込もうとしてくる。

 華奢で、雪のように白い手が伸びる。その行き先はおそらく僕の手の甲。対して僕はいまだ蛙である。別に触れられて何かが起きるわけじゃないが、今の彼女が僕に触れて何をする気なのか。それだけが気がかりだった。

 

 

 

 「友達なんかじゃないわよ!!!!!」

 

 

 

 青天の霹靂とはまさにこのこと。暗雲立ち込めるどんよりとした空気を、たった一喝のみで晴らしたのは陸八魔アル。流石僕らの社長だぜ!

 カヨコさんの手も止まる。あと数ミリ動けば触れられていたであろう距離で不動となった手の持ち主は、叫び散らかす自身の社長の方へ顔を向ける。

 

 「ちょっと、店に迷惑───」

 「分かったわ!問題はこのお店、このお店よ!!」

 「どゆこと!?」

 

 彼女たちがワイワイやっている最中にお会計を済ます。

 アルがカヨコさんの意識を引き付けているうちに……

 

 

 「つまり……こんなお店ぶっ壊してしまおうってことですよね?アル様」

 「…………へ?」

 

 

 あっ、アカン間に合わなかった─────

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 その後、無事爆破した柴関ラーメン店の前で便利屋68、アビドス対策委員会、さらにはゲヘナ風紀委員会が集結し、ドンパチし始めたのを尻目に、僕はさっさと退散した。

 だって関わらないって決めてたし………だから、今もキョロキョロと()()を探しているカヨコさんが怖くて逃げ出したわけではないということはちゃんと言っておきたい。本当に。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 「クックック、お待ちしておりましたよ、暁のホルス───いえ、小鳥遊ホシノさん」

 「…………」

 

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