転生したら幽霊だった件……なお性癖は曇らせ愉悦 作:性癖拗らせ愉悦部
浮気ボーダーとは
本人の価値基準そのものである
許せる許せないは、アナタ次第
By 浮気する奴を選んだ自分の見る目に失望する神
リムルが目覚めた瞬間
魂が濁り、リムルの、何かが変わった
また会えて嬉しい?何を言ってるんだ?俺達はずっと一緒に居ただろ?
「どうゆう、意味だ?」
「んぅ〜?さてね〜どうゆう意味だろうな?」
…………リムル、だよな?
「ユ〜イ〜♡ユイユイ〜♡ユ〜イ〜♡ユ〜〜イ〜〜♡」
リムルがネットリと俺の名を何度も呼びながら、ゆっくりスライムの手を持ち上げる
「ようやく、また会えた」
そしてスライムの腕を俺に伸ばし
「俺の」
ピタッ!
俺の、そう何かをリムルが呟やこうとした瞬間、リムルの動きが止まった
「あ?」
どうしたんだ?
リムルが自分の両手を見つめている。両手、スライムの両手を
「…………そうか……まだ人間に擬態はできないのか」
人間への擬態?リムルが人間に変身出来るようになるのって確か、…………運命の、人?とかとなんやかんや色々あって出来るようになったんじゃなかったけ?
なんで今そんな事気にするんだ?
「どうした急に?俺が羨ましくでもなったか?」
人間の体が恋しくなったのだろうか?まぁその気持ちは分からんでもないが、なぜ今急に?
「……残念だな。せっかくのチャンスなのに、ユイを抱きしめられないなんて……」
スルーされた。やっぱり何か違う?何が違うんだ?
「味わえないなんて」
「味わう?」
今度は味覚の話か?
「あぁ、前は最後まで味わえなかったからな。せっかくのチャンスだし、今のうちに、今度こそは、と思ったんだが、人間の体が無いんじゃな。………………ハア~」
なんかスゴく残念、いや、悲しそうだな
「ほら?俺ってスライムじゃん?」
「お、おう。そう、だな?」
いったい何の確認ですか?疑問が尽きないんですが?
「だから無性でさ〜」
次は性の話か。三大欲求についての話がしたいのか?
「息子復活ならずでさ〜」
…………あぁ〜……なるほどぉ〜?まぁスライムだし、先生も生殖機能は無いって言ってたしな
……そうか、そんなに残念だったのか。俺は気がづいた時には女だったからそうゆうモンだって割り切っちゃたんだよな〜。拗れた所為で童貞とかにコンプレックスとかも無かったし
「……口は兎も角、下は味わいようが無くってさ〜、どうしようかって先生と相談中だった訳よ」
あれ?味覚の話に戻った?口は兎も角、した?ベロの事か?口も舌も味覚としては同じじゃないのか?何が違うんだ?
ごめんリムル、俺その違いわかんないわ。てか先生と相談って何?何を相談したんですか?味覚の感度?
「ハア~~~~~本当に残念だ。またお預けかよ」
ん〜?やっぱりリムルはリムル、なのかな?何かが違うと思ったのは気の所為か?
「ま、まぁ、元気だせよ。味わいたいモンは分かってんだろ?」
項垂れるかの様に落ち込むリムルを撫でながら励ます
「……あぁ」
「なら気休めでしかないけど、きっとまたチャンスはあるって、な?」
「…………そうだな……また……チャンスは……あるよな」
「そうそう」
何食べたいか知らないし、何のチャンスかも分からんから、マジでただの気休めでしかないけどな。すまんリムル、無責任な事言って
「…………この感じからして、主導権が奪えた訳じゃないのか」
主導権?マジで何の話だ?さっきから話題がぽんぽん変わって話についていけない
「今回は本当にたまたまか?原因は何だ?…………意思、か?」
……あ、もしかして独り言ですかね?
「ユイ、今回は俺の意思か?」
「俺の意思?ごめん、本当によく分かんない。どうゆう意味だ?」
「俺が寝たくて寝たのかって意味だ。前回は違うんだろ?」
前回?前眠った時の事か?
「いや?前もリムルが寝たいって言ったんだぞ」
「……本当か?」
「…………たしか」
あれ?違ったっけ?
「…………ならラファ…………大賢者の独断か。条件は意思……いや、たぶんそれだけじゃないな。そんなに都合がいいんなら今の俺から主導権を奪うなんて簡単だ。だが実際は俺の意思、魂は普段眠っている。………………まだ分からない事だらけだな」
……今度は自己分析が始まった
「うんうん。そうだね〜」
話の内容はこれっぽっちも理解出来ないが、……とりあえず相槌を打っておこう
「………………なぁユイ。今どの辺だ?」
どうゆう質問だ?
「どの辺って、牢屋の中だが?」
「牢屋…………明日は裁判か?」
「裁判?いや、明日釈放だけど?」
正当防衛だし。なんなら俺は冤罪だし。てゆうかお前の所為だし
「……ならまだドワルゴンに着いたばかりか」
「本当にどうしたんだリムル?」
「……まぁいいや」
いいんかい
「ん!」
リムルが突然俺に向かって腕を広げてくる。
何のポーズだ?
「えぇ〜とぉ〜?」
どうすればいいんだろう?俺は何を要求されているんだ?
「ハグ」
「え?」
「ハグしてくれ」
「……何故?」
「なんだよ?俺には出来ないってのか?……俺にはしてるくせに」
ジト〜
……いや、別にハグが嫌とかそうゆう訳じゃないけどさ、何故今急にって意味だったんだが。てか俺俺って、何か一人称おかしくないか?それに不機嫌そうだし
………………ハァ………しょうがない、か
「わかったよ。ほら、おいで」
ニヤリ
「ンフフウ♡おう!ありがとさん!」
微笑み、飛び跳ね俺の膝の上に着地する。そして膝に乗ったリムルを落とさないように抱きしめる
「……もう少し強くしてくれ。じゃないと感じない」
感じない?何を?まぁいいか
「えっと、こんな感じか?」
さっきよりも体重を掛け、体全体で包む込むように抱きしめる
「あぁぁぁぁ〜そうそうそぅ〜」
どうやらご満足いただけたようだ
「やっぱりお前はあたたかいなぁ〜気持ちいいよ、ユイ〜」
あったかいって。俺に体温は無いはずなんだかな?ハグによるストレス緩和効果的なヤツか?……俺も実際リムルからリムルタミンを摂取してますし
「ずっと、ずっと、こうしていたい。ずっと、お前に、包まれていたい」
……………………やっぱり
「ずっと、焦がれていたんだ。もう一度、もう一回って」
…………違う、な
リムルがスライムの腕を伸ばして俺の体を抱きしめる
「本当に残念だよ。もっとお前を、全体で味わいたかった」
……リムルである事は間違いない。だけど、違う気がする
「満足したか?」
そう問いかけると、リムルが俺の腹に埋めていた顔を上げ、睨むように見つめてくる
「全然、まだまだ全然足りねぇよ。何年ぶりだと思ってんだ?俺の中のユイタミンはスッカラカンなんだよ。黙って俺が満足するまで補給されろ」
「……へいへい」
リムルが再び俺の腹に顔を埋める。
ユイタミンって、リムルもそうゆう言葉使うんかい。意外と俺達って似た者同士なのか?
……それにしても、不思議だな。本当に。今のリムルから伝わってくるこの感情に、いつもの俺なら………………分からない。なんでだ?自分で言うのも何だが、俺は
「面倒くさくねぇよ」
「え?」
リムルが俺の腹に顔を埋めながら語りかてくる
「どうせそんな事考えてんだろうなと思ってな。ほら、お前って自意識低いじゃん?」
「………………………」
「フッ、懐かしいなその顔。図星か?当ててやろうか?今のお前の気持ち?」
「……なにを」
「安心しろよ。俺は俺だ。俺、アイツと違ってお前を分かってる。アイツみたいにお前の心を傷つけたりしない。だからそんな顔すんな」
「……俺が、どんな顔してるってんだよ」
「すっご〜く怖い顔してるぜ〜。お前らしくもっと笑えよ、スマイルスマイルってな。フッ、まぁ俺はお前のそうゆう顔も嫌いじゃないがな」
「……顔埋めてんだから見えねぇだろ」
「俺には魔力感知があるから問題な〜し」
「………………あっそ」
「そう不貞腐れんなよ。……そうか、今のお前はやっぱり不安定なんだな。受け入れる余裕が無いのか」
「だから何を」
「好き」
「ッ!?」
「今のお前は人の好意を受け入れる余裕がないんだろ?そして俺の魂から伝わってくる好意の出処が分からない。受け入れてあげたいが受け入れられない。だってそれは、お前自身の価値観、積み上げてきた人生の否定になるもんな?」
「………………なんで、そんな事が」
「分かるよ。言ったろ?俺はアイツとは違う。誰よりもお前を分かってる。だって」
「だって?」
「お前は俺のだからな」
「……………………………………………………は?」
「フッ、面白い顔すんなぁユイ」
なんだコイツは?なんだ?何を言っている?俺?お前?俺が誰のだって?リムルの?確かに俺はリムルのだし、それは俺が望んだ事だが、あれ?俺が望んだのか?だって、俺がリムルに付いて行くって決めた訳で。だから、その時から俺はリムルの物で、だから、あれ?じゃあおかしくないのか?あ?ん?あれ?なんだ?これ?何かがおかしい?そもそも好き?好きってなんだ?好き?好意の事か?何かを好きと思う気持ち?それが好き?好き?じゃあ誰が誰を好きだって?誰を?俺を?誰が?リムルが?俺を?俺なんかを?ありえない。だって俺とリムルは友達で、リムルだってそう言って、そう言ってたし。だから俺のリムルに対する好意だって友達に対する好意で、………………あれ?好意?俺はリムルに対して好意があるのか?……ある、よな?あるはずだ。じゃないと一緒に行きたいなんて思わないはずだし。だから、俺は、リムルに対して好意が、好意が、ある?ん?じゃあおかしくないのか?誰かが俺を好く事も?俺が誰かを好く事も?…………いや、違う、違う違う違う違う違う違う、だって、俺は好かれないはずで、だから、俺は、今まで、誰にも、好かれた事なんてない…………あれ?なんであるんだ?お姉ちゃん?後輩ちゃん?実の妹?慕ってくれた?慕うってのは好意じゃないのか?じゃあ俺を好いてくれてた人は居たって事か?なんで?どうして?違う、ありえない、ありえないはずなんだ。だって、そうじゃないと、おかしいじゃないか。なんだ?何だこれ?好意?好き?リムル?受け入れる?余裕?なんだ?なんだなんだなんだ?リムルの言葉が理解出来るはずなのに、理解出来ない。なんだ?なんなんだ?頭が、頭が痛い。なんなんだよ、これ?頭が、思考が、考えが、ぐちゃぐちゃで、まとまらな……
「落ちつけ」
「!?」
気づけばリムルが俺の肩に移動していた
「ユイ、俺の目を見ろ」
フニ
「……リムル」
リムルが俺の頬を掴み、顔の向きを変え、俺とリムルの目線を合わせる。目なんてない、はず、なのに、不思議と、目が合った気がした
「本当にぐちゃぐちゃなんだな、今のお前は。ごめんな、ユイ。元はと言えば俺が悪いんだ。俺がお前を失っちまったから、お前の心を、そんなに歪めちまった。そうだよな、今のお前には、耐えられないもんな。だからそうする事でしか、心を守れなかったんだろ?」
「何を、言ってるんだ?」
リムルの言葉の意味が分からない。いや、分かりたくない
「分かりたくないなら、分からなくていい」
「何で、俺の考えが」
「分かるつってんだろ?お前は顔に出やすいんだよ。それに、俺がお前の事を分からない訳がない。俺のなんだから」
……分からない。どうすれば、いいんだ
「どうすればいいのか分からないなら、俺が答えをくれてやる」
「答え?」
「否定するな」
「否定?どうゆう意味だ?」
「受け入れなくていい。ただ、相手の気持ちを、俺の気持ちを否定するな。俺がお前を想っている。それだけ分かればいいだろ?」
「………………」
「それとも、お前は、俺の気持ちを嘘だと思うのか?否定するのか?……俺の想いを」
「!?……それは」
リムルが、とても悲しく、刹那そうな顔をする
リムルの気持ちに、嘘は、ない。…………受け入れるのではなく、否定しない、か
「……………………分かった、否定しないよ。ありがとうリムル。俺を想ってくれて」
「……フッ、やっぱり、ユイならそう言ってくれると思ったよ。お前は優しいもんな?」
「優しいって、人の優しさに漬け込んだのか?」
「まぁ〜な」
このスライムめ。……やっぱりお前は違うな
「リムルならそんな事しないのにな〜」
「おい、俺の前で他の男の話すんなよ。浮気だぞ?それ。マジでやめてくんない?萎えるんですけど」
おっと〜?中々に浮気ボーダーが低いですね〜
「俺は否定しないだけで、受け入れた訳ではないのでね〜」
「チッ、そうだったな」
あらら、今度はそっちが不貞腐れちゃったか
「もう隠す気は無いのか?」
「俺はそもそも最初から隠そうとしてませ〜ん」
「……フッ、確かに。そういやそうだ」
俺がリムルとお前の区別がついてなかっただけだったな
ヌルん
突如、急にリムルが俺の胸元と服の隙間から体に入ってきた
「え!?ちょっ!?フッ!リムル!フフッ!くすぐったい!フッ、フフフッ、フハハハハハハハハハハハ!」
「うるせぇ、俺の前で浮気した罰だ。味覚ない分感触だけでも味あわせろ」
「え!ちょ!何て?フハハハハハハ!」
「うるせぇ、罰だって言ってんだ。黙ってろ」
幽霊の俺にくすぐりなど効かないはずだがリムルは俺と魂の回廊を繋いでいる。つまり俺の魂を知覚している
だから、やばい、マジでくすぐったい!
「フハハハハハハハハハハハハハハハハハ!」
「ホント色気ねぇよな、お前。…………まぁ、だからこそ唆るモンがあるんだが」
閑話休題
フニフニ フニフニ
「まぁ、これくらいで勘弁してやるよ。それなりに味わえたし」
フニフニ フニフニ
「そぉ、そぉうでふかぁ。よぉふわかりまふぇんが、ごまんじょくぅいただけなりゃなにより」
フニフニ フニフニ
「あくまで、それなり、だかんな?分かったか?」
フニフニ フニフニ
「ふぁ、ふぁい」
フニフニ フニフニ
「ならいい」
フニフニ フニフニ
「あ、あのぉ〜とこほでリムルひゃん、ひとついいでふか?」
フニフニ フニフニ
「なんだ?」
「このホオじゅりは、いふまでちゅじゅくのでひょうか?」
「俺が満足するまでだ。さっきも言ったろ、何度も言わせんな。黙って補給されてろ」
「……ふぁい」
くすぐりが終わった後、リムルはずっと俺に頬釣りをしてくる。嫌ではない、むしろ嬉しい。例えるならファンサありがとうございます!みたいな
……だけど流石に喋りづらいし、恥ずかしい。ここまで好意をアピールされるのは後輩ちゃん以来だ。本当に謎だ?何で今のリムルはこんなに俺に好意的なんだ?
……好意、か。俺にとっては難しい内容だ。魂の喜怒哀楽を感じる俺にとっては尚更。リムルが俺を好いてくれている。その感情に嘘はないし、そう思いたい。でも、受け入れられない。受け入れたい気持ちと、受け入れたくない気持ちで、頭が、心がぐちゃぐちゃだ。……本当に面倒くさくヤツだな、俺。リムルは違うって言ってくれるけど…………
何でこんなになっちまってるんだ?俺ってこんなだったか?いつから、俺は………………分からない
……でも、リムルが答えをくれた。なら、今はそうしよう。ただの思考放棄かもしれないが
いつか、俺なりの答えが見つかるまで
「考えはまとまったか?」
リムルが頬釣りを止め問いかけてくる
「……あぁ、ありがとう、リムル。ちょっだけ、楽になった気がする」
「そりゃあ良かった」
「本当に、俺の事よく分かってんだな。……俺以上に」
「当然だ。俺はお前の事なら何だって知ってるからな。誰よりも近くでお前を見てきたんだ」
「どうゆう意味だよ?」
「…………お前は知らなくていいんだよ。俺だけが知っていれば、それでいい。だから気にすんな」
「…………わかった」
気にはなるが、これ以上は触れてほしくなさそうだな。リムルも俺に触れ過ぎない以上、俺だけ触れ過ぎるってのは違うよな
「なぁユイ」
「なんだ?」
「お前は、俺が、リムルだと思うか?」
……本題、か
「さっき言わなかったか?」
「茶化すな」
「…………悪かった。そうだな、少し真面目に……真剣に話すか」
リムルを肩から下ろし膝に抱き元す。
この体制の方が話やすいからな
「結論から答えると、違う」
「………………」
「お前はリムルだが、リムルじゃない」
「どうしてそう思うんだ?」
どうして、か。本音を言えば理由はたくさんある。でも、きっと、今のリムルが求めてる答えは理屈じゃない
「なんとなく、って言ったら、嫌か?」
「……いや、嬉しいよ。流石俺のユイ」
「……そうかい」
恥ずかしい事をさらりと言うな。この天然ジゴロスライム
「フッ、フフッ、やっぱり、ユイはユイだな〜。信じてた、信じてたよ。お前なら分かってくれるって、俺とアイツは違うって。分かってくれるって信じてたよ、ユイ」
「信頼がおアツいな〜」
一体俺はいつの間にそんな信頼度を稼いだんですか?
「…………ユイ」
「ん?」
「お前は、俺が俺じゃ無くなっても受け入れ………………拒絶しないでくれるか?」
…………律儀な奴め。わざわざ言い換えなくてもいいよ
「受け入れるよ」
「!?……なんで」
「そんなに驚く事か?」
「…………だって」
「そもそもなリムル、お前が最初に俺を受け入れてくれたんだぞ?だから俺がお前を拒絶するなんて、ありえないな」
「!?…………そうか。……そう、だったな。お前にとっては、俺が最初だったんだよな」
「なんだ?リムルは違うのか?」
「あぁ、俺は最初に受け入れてくれたのは、ユイ、お前だって思ってる」
「……そうか、ならおあいこだな」
「……あぁ、おあいこだ」
本当に、お前は誰なんだよ、リムル。どうして、そんなに辛そうで、悲しそうなんだ
「お前がお前じゃなくなる、だったな。仮にそんな事があったとしても、俺はお前を拒絶しないよ。絶対に。だって、俺にとって、リムルはリムルだからな。そうだろ?それともお前はリムルじゃないのか?」
「……そうだよ。俺がリムル、リムル=テンペストだ」
「なら何も問題ねぇな」
「………………そうか。ありがとう」
「どういたしまして」
「……俺は、もう二度と後悔したくないんだ」
後悔……リムル、お前は、一体何を後悔してるんだ?
「全てを失って、奪われた。皆も、世界も、お前も、全てを奪われた。俺が失い、俺に奪われるなんて、皮肉もいい所だ」
「だから、今度は俺が奪う番なんだ。前回は失敗したが、今度こそは、全てを奪ってみせる。いや、取り戻してみせる!」
「お前の隣を取り戻して、今度こそ、俺の物にして、皆も取り戻す!二度と過去が取り戻せないのなら、今を!」
「皆が、お前が忘れても、俺が覚えてる。忘れられる訳がない」
……忘れる?俺は、何かを忘れているのか?
「過去は消えない!たとえ世界を書き換えようと、俺の、俺達の過去は、誰にも汚させやしない!」
……書き換える?過去?……駄目だな。やっぱり今の俺には理解できないみたいだ。いや、理解は出来る、はずなんだが。何故か、魂が、理解を拒絶している、のか?
頭にノイズが掛かったみたいだ
「たがら、これが正しいんだ」
リムルの独白。それは、深い、深い、後悔だった
まるで自分に言い聞かせるように言葉を吐くその様は、まさに後悔そのもの。迷子の子供の様だった
……そうか。リムル自身も分からないのか。……お前もぐちゃぐちゃなんだな。自分の事で手一杯だろうに
それなのに、自分より俺の心配を優先して…………やっぱり優しいな、リムルは
ごめんリムル、違う何て言って。やっぱりリムルはリムルだよ。……違わないよ、お前は。何も違わないさ
「ユイ、俺は、正しい、よな?」
…………それはまた、難しい質問だな〜
「……リムルが心の底から正しいと思ってるんなら、それが正しいんじゃないか?」
「心の、底から」
「あぁ、結局は本人次第だからな、そうゆうのは。本人が納得出来るか否かだ。質問してくれたのに悪いが、俺じゃあ答えの分からない質問だ」
「…………そうか」
「ただ、さっきのお礼って訳じゃないが、俺からもリムルに答えを授けよう」
「……どんな?」
「もし、お前が道を違えたなら、俺が連れ戻しやる」
「!?」
「一緒に居るって、お前と、リムルと約束したからな。不安なら手を繋いでやるさ。リムルが道を踏み外しそうになったら、引っ張ってやる。まぁ俺が歩く道が正道とは限らないんだが」
むしろかなり歪んでいる気がするが
「………………」
「どうだ?」
「……ズゥ!……ありが、とう、な。ヴッ……ユイ……ゔぅ」
鼻を啜るように、嗚咽を堪えるように、感謝を述べるリムル
あぁ、本当に、いっぱいいっぱい何だな、リムル
どうしてかは分からない。だが、リムルの心は、もういっぱいなんだろう。悲しみ、後悔、絶望、虚無感、喪失感。満たされないのに、心は負の感情、涙でいっぱいだったんだろうな
「吐き出せよ、リムル」
「……スゥゥ!…え?何を?」
「お前の気持ち」
「……なんで?」
「話すだけでも幾分か楽になる。それに、愚痴りたいって顔してるぜ?」
「…………どんな顔だよ」
「さぁ〜な」
「……仕返しのつもりかよ」
「そんなんじゃねぇよ」
ただ、お前に辛そうにしてほしくないだけだよ
「信じてもらえないかもしれないがな?俺はたぶん、誰よりもお前の幸せを願ってるんだぜ?」
性癖の為だとか、そんなんじゃない。俺は人の不幸に愉悦を感じる訳じゃないんだ。物語はいつだってHappy END。曇らせってのはHappy ENDの過程にあるからこそ、その物語の結末を
輝く彩るんだ
でも今のリムルのはきっと、自分の未来、幸せな未来を思い描けないんだろうな。それが何でかは分からないが。大丈夫だよ、リムル。お前にはHappy ENDが待ってるよ
根拠ならある。だって
これは
「ほら、好きなだけ吐き出しな」
「……いい、のか?」
リムルの声は、とても震えていた
「いいよ。黙って聞いてやる」
「俺、きっと、悪口しか言わないぜ。それに、お前には、意味分かんない事しか」
「リムル」
「それから、それから、それから、ヴッ、ズゥゥン……それから」
初めて会った時以来だな。この感じ
「リムル」
「ん"ぅ?」
「寂しかったんだな」
「ゔぅ!?……そうだよ……寂しかったよ。ホントに、ホントにホントにホントに寂しかったよ!なんで!なんで!?なんでだよぉ!?ユイィ!!なんで!なんで!?俺を置いてたんだっよ!なんでぇぇぇぇ〜俺を、独りにしたんだよぉ〜、ユイ!ユイ!ユイ〜!どうしてだよぉ!どおして!?なんで!?ゔ、ぅぅぅ、ぅぅ、スゥゥゥ.....ハァ~フ~ハァ〜…………分かってる、分かってるんだ。俺の所為だって、俺が遅すぎたから、お前を、皆を、失ったんだぁ。せっかくお前が可能性を、残してくれたのに。俺はそれすらも、……だから、分かってるんだ。俺の所為だって、それでも!」
「それでも!あんまりじゃないか!俺は!お前の、最後の言葉だって聞けなかったんだぞ!?あんまりじゃないか、そんな最後、お別れなんて。お前を失いたかった訳じゃない!でも!あんな、あんな、終わり方なんて」
魂からの叫び。激情が伝わってくる
「俺のなのに!俺の物なのに!俺の!俺のなのに!」
リムル。いったい、お前に、何があったんだよ?
魂からの悲しみは伝わってくるが、俺には、リムルの言葉の意味が分からない。でも、一つだけ分かる事がある
それは
「俺が見つけたんだ!俺が手に入れたんだ!俺が最初に、手に入れたんだ!」
何かを失った。それ故の悲しみであること
(歯がゆいな)
これだけ吐き出してくれてるのに、これしか分からないなんて
「だからこそ許せない!我が物顔でお前の隣に居座る俺が!許せない!」
「そこは俺の場所だ!俺の席だ!俺が居るべき場所なんだ!ユイを手に入れていない!ユイの価値も分からない!何も知らないからって、ただ無意識にユイの心を傷つけるだけのお前が!ユイの隣に居るのが許せない!代われよ!代わってくれよ!そこは俺の場所だ!頼むから代わってくれよ!どうせお前は失敗する!またユイを失う!分かってんのか!?もうチャンスは無いんだぞ!?俺とユイは違うんだ!次ミスったら!何もかも消えちまうんだぞ!?」
「嫌だ!嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ!ユイを失いたくない!忘れたくない!忘れたまま、何食わぬ顔で生きたくなぁい!」
「だから代われよ!次は!次はこそ上手くやる!今度こそ、上手くやってみせる、みせるから!」
「頼むから、代わってくれよぉぉぉ〜、お願いだから、代わって。かわってくれよ、たのむから」
「俺はもう」
「ユイを失いたくないんだよぉぉぉぉぉぉぉぉぉ」
子供の様に泣きじゃくるリムルを撫で続ける事しか出来ないのが、心底、不甲斐なく、歯がゆく感じた
共感してやりたいのに、分からない事は、共感してやれない
だからせめて、リムルが辛いのなら、そばに居てあげよう。驕りじゃ無ければ、きっと、今のリムルが望んでいるのは、それだから
「消えないでくれよ、ユイ。いやだ、いやだよ。俺、お前を、忘れたくないよ。どうして、俺だけなんだ。どうして、お前には、もう、チャンスが、無くなっちゃったんだよ〜。いやだ、いやだ、忘れたくない。この想いも、気持ちも、熱も、何もかも、忘れて、忘れた事にすら気づかず、また繰り返すなんて、耐えられない。それなのに、この気持ちすらも、忘れてしまうなんて、そんなの、そんなって、あんまりじゃないかぁ〜。全て幻のように消えて、お前が居た証拠も、事実も、過去も、何も残らないなんて。怖いんだ。恐いんだ。恐ろしいんだ。お前を忘れて、未来を笑って生きる俺が、なにより、恐ろしいんだ」
嗚咽をこぼしながら語るリムルをより深く包み込む
「大丈夫。俺はずっとお前と一緒に居るよ。お前が望む限り、ずっと」
「……ごめん、ごめんユイ。ごめん。信じられない。……ごめん、ごめん、……信じられないよ」
「…………そっか」
……気休めにもならないか
その後も溜まった負の感情を吐き出し続けるリムルを、俺は撫で続ける事しか出来なかった
…………本当に、歯がゆいな
そんな、言葉では言い表せない、どうしようもない歯がゆさだけが、俺の心に残った
「………………ユイ」
「……なんだ」
「欲しい物があるんだ」
「欲しい物?」
「あぁ。……でも、一つしかなくて。……それなのに、それを欲しがってる奴は、二人いるんだ」
「……そうか」
「お前は、どうしたらいいと思う?」
「…………ん〜………………そうだな〜…………分け合う事は無理、なんだよな?」
「あぁ、そんなの、受け入れられない」
「……なら、やっぱり男らしく奪い合うしかないんじゃないか?俺はそっちの方が後腐れ無くていいと思うぜ?」
「…………そう、だよな。……ありがとう、ユイ。……おかげで、覚悟が決まったよ」
「そりゃなにより。全部吐き出せたか?」
「……あぁ、もう大丈夫だ」
「なら良かったよ」
「…………そういえば……なんでだ?」
「ん?なにが?」
「お前がユイって名乗ってる理由だよ。……今は…………自称であって、名付けされた訳じゃないんだろ?」
「そうだな?それが?」
「……なら何でユイって名乗ってんだ?また安直に決めたのか?」
「…………まぁ、確かに安直が理由の一つではあるな」
「一つ?」
「実際にピンときてる訳じゃないからな。ただ、初めてリムルに会った時、自己紹介する流れになったんだよ。あえて言うならそれが理由だ」
「自己紹介?」
「あぁ、お互いにまだ名前も知らねぇって事で。それで自己紹介したんだ」
「……そうか」
「それでな?不思議なんだよ」
「なにが?」
「自分の名前を考えた時さ?名乗るならユイ!これしかない!……って、なんとなく思ったんだよ」
「………………………………………………………………」
「な?不思議だろ?ピンときてる訳でもないのに」
「………………………………………………………………」
「……リムル?」
「…………そうか……そうか……そうか…………そう、か」
「?」
「お前は…………忘れないでくれたんだな」
「なにを?」
「……フッ、なんでもねぇよ」
「そうか?」
「そうさ」
「……そうか」
「……ん?」
「どうした?」
「………………もう、時間切れ、か」
「リムル?」
「…………なぁ、ユイ。眠いんだ。すごく、眠いんだ」
「……そっか。……確かに、一晩中起きてたもんな」
「……だから、たぶん、すぐ、には………………ユイ」
「ん?」
「また、逢える、よな?」
「……あぁ、逢えるよ。必ず」
「…………そう、か。……ありが、とう、な。……ユ、イ」
「おやすみリムル。いい夢を」
…………色が戻った
……なんだったんだろうな。さっきのは
リムルなのは間違いない……でも、何だろうな?別人?……いや、リムルで間違いない筈だ。確実に。そこは間違いない…………
……稀に、双子の片方だけが流産の場合など、一人に二つの魂が宿る事例がある。その場合、二重人格のように魂が入れ替わり、別人のようになったりもする。だが、今回は違う
魂の色が変わったんだ。定まらない色、不定形色の様に定まらないリムルの魂が
まるで内側から侵食されるかのように、黒く濁った
それもただの黒じゃない、混ざった黒だ
俺は原色の黒を知っている。昔見た事がある。原色の、黒の魂を持つ奴を。だからこそ分かる。あれは混ぜものの黒だ
原色の黒とは違い、色んな色を混ぜ込んだかのような黒
……ありえるのか?そんな事が?魂だぞ?魂を混ぜ込んだってゆうのか?どうやって?
…………違う、問題なのはやり方じゃない。どうして魂を混ぜるに至ったか、だ
……魂を混ぜる程の状況?いったい何があったってゆうんだ?本当に
……そして眠っている魂
起きる様に色が変わり、眠る様に色が消え、いつもの色に戻った
自分の在り方を思い出したって事か?
どうゆう事だ?同じ魂なのに在り方が違う?
…………疑問は尽きない。……だが、リムルは知らなくていいと言った
……なら、今この疑問は、俺の胸の内に留めておこう。誰だって秘密の一つや二つくらいある。それに
「秘密を暴くのが、友達じゃないよな」
だからまぁ、リムルが話したくなるまで待とう
「……きっといつか、話してくれるよな」
気長に待つとしよう
「……朝、か」
朝日が牢屋に差し込む
「…………ん?」
……どうやらお目覚めのようだ
「おはようリムル」
「……おはよう、ユイ。……あれ?俺、なんでユイの膝の上に居るんだ?」
「…………さてね?どうしてだろうな?寝ぼけていたか、あるいは、内なる自分の所為ってヤツじゃないか?」
「え?どゆこと?」
……ほんっと、疑問が尽きないな
TSオリ主転生者(仮名ユイ)
今回 █ █ █ █ が解け、精神 █ █ を引き起こす寸前だったが踏みとどまった。
流石は天然ジゴロスライム!女の扱い方が上手い!彼女の事を手に入れた事のある(過去形)スライムにとって心の鎖を解くなんて簡単よ!((≖֊≖)
彼女がリムルの話を理解出来ないのは当然さ!
魂が受け入れるはずが無いんだから!自分がかつて死んだって事実を!だって彼女が幽霊に成ったのは死にたくない!って未練からだもの!もし受け入れちゃったら最悪魂が崩壊しちゃうかもしれないから受け入れる訳にはいかないんだよ!情報を繋ぎ合わせれば察する事ぐらい出来るはずなのにね〜
……まぁリムルもそれが分かってるからあんだけ吐き出せたんだけどね〜。詰まるところ愚痴が吐きたかったんだよ
そもそも彼女は性癖だけじゃなく
その在り方が歪んでいるんだよꉂꉂ(ᵔᗜᵔ*)
リムル=テンペスト
あえて言うなら俺は、悪いスライムだ
百合やBLってさ!
同性同士で奪い合ってこそだと思うんだよね!
«٩(*´ ꒳ `*)۶»イエイエ!