転生したら幽霊だった件……なお性癖は曇らせ愉悦   作:性癖拗らせ愉悦部

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愛ほど歪んだ呪いは無いという
そして、呪いの起源とは………………人の魂である

By おそらく邪神寄りな神


3話・・・契約書はちゃんと読もう

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「フッ、フフッ、ふふふふふ」

 

 

 

 

「?」

 

 

 

 

「…………だめだよ。リムル」

 

 

 

 

「ユイ?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

水刃(すいじん)!」

 

 

……今、俺達は魔物と戦っている

 

 

「頑張れ〜リムル!」

 

 

「おう!水刃、水刃、水刃、水刃、水刃、水刃!…………て!お前も手伝えよ!」

 

 

……もっとも、俺は応援してるだけだが

 

 

「今まで会った魔物全部俺が倒してるじゃねぇか!」

 

 

「えぇ!?か弱い乙女に戦えって言うの!?」

 

 

「うるせぇよ!こんな時だけ乙女ぶるんじゃねぇ!」

 

 

「ワタシお箸より重いもの持てな〜い」

 

 

「シャーラップ!!」

 

 

「まぁ冗談はさて置き、べつにいっかな〜て」

 

 

「なにが冗談だ冗談、置いとくな。何がいいんだよ? 」

 

 

「だって」チラッ

 

 

 

ぐちゃ〜 〈こま切れな魔物の死体〉

 

 

 

「…………俺、いらなくない?」

 

 

「…………テヘペロ!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

……自己紹介の後、俺は悩んでいた

 

 

(さて、方針は決まったものの、どうやってリムルについて行くか?何かと理由を付けたいところだか、下手な嘘だと怪しいからな〜とりあえず会話しながら考えるか)

 

 

「リムルが転生してスライムになったのはわかったけど、なんか行きたいとことか、目的とかあるのか?」

 

 

(この時期のリムルって何かあったか?国造り?いやあれは成り行きか……冒険者だったら先輩風ふかしてぇ〜そういう中2チックなのも性癖とは別で憧れがある。でも生前とかと制度、色々変わってそうだから無理かなー)

 

 

「......さ迷ってるていうか迷子というか、いや〜それが恥ずかしい事にぶっちゃけ自分の現在地もよくわかんなくってさ、ハハハ!...はぁ」

 

 

「………………」

 

 

 

 

 

 

ビリ!その時、ユイに電流走る

 

 

 

 

 

 

か!カワエェ〜〜〜!!なんだコイツ!なんだコイツ!?まだ何もしてないのに勝手に曇ってくれてるんですけど?!誘ってんの?誘ってんのか!?美味しく頂くつってんだろ!表情が無い筈なのにわかる〜こっち、もうちょいこっち向いて!その曇り顔を横顔じゃなくて正面からくださいお願いします!)

 

 

 

 

《個体名ユイが保有するユニークスキル閃知者(ヒラメクモノ)は主に知的能力の底上げである》

 

《思考加速、完全記憶、森羅万象など様々だが、このスキルの真価はこれらではない》

 

《生前、IQが欲しいという願望から生まれたこのスキルの真価は文字通り、閃く事にある》

 

《そもそもの話、彼女はこのスキルを使いこなせていない。リムルの大賢者と違い、高速演算はあれど、森羅万象など、膨大過ぎる量の情報を処理出来るかは本人の力量に左右される為である》

 

《結論からと言うと不可能。どれだけ高性能なPCを持っていようと素人では使いこなせない。故に彼女は情報の閲覧を基本的に封印している》

 

《が、前述も述べたとおりこのスキルの真価はそこではない》

 

《一時的という制限こそあるが、本人が強く知恵を望んだ時に限り、今までの経験、そしてスキルに内包される無数の情報からシミュレーションし》

 

 

 

《その場の最適解と無数の閃きを与える》

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「レディーパーフェクトリー準備は完全に整った」

 

 

「え?」

 

 

「ヨシ!じゃあとりあえず俺がこの洞窟の出口まで案内するよ」

 

 

「本当か!?」

 

 

「それなりに長くこの洞窟にいるからな。出口くらい知ってる。それに...」

 

 

「それに?」

 

 

「暇だからな」

 

 

「……暇なのか」

 

 

「あぁ、なにせ何も無いからな」

 

 

「わかる。俺もヒマ過ぎてずっと草とか石食ってたし」

 

 

「楽しかった?」

 

 

「全然」

 

 

「でしょうね」

 

 

「でも、これからは楽しくなる気がする」

 

 

「なんで?」

 

 

「...お前に、ユイに逢えた、から......」

 

 

 

 

ズキュウーン!!

 

 

む、胸が、胸が苦しい!殺られた、クソ不意打ちは卑怯だろ。なんだよそれ、逢えたからって!ロマンチストぶってんじゃねーよ!恥ずかしいなら言うんじゃねーよ!心臓無くなったかと思ったわ、心臓無いけど!くそ〜この天然性癖拗らせブレイカー人たらしスライムがよ〜!!!やべぇ、今ので頭の中にあった計画飛んだかもしれん。マジ、不意打ちはやめれ

 

 

 

 

「…………そうか」

 

 

「…………うん」

 

 

(気まず!どうすりゃいいんだよ?この空気)

 

 

「そっ、そーいえばユイは何で幽霊になったんだっけ?」

 

 

あ、話逸らしたな。でも今はグッジョブ!

 

 

「あれ?言わなかったけ?」

 

 

「なんか転生したけど、なんやかんやあって幽霊になったとか何とか」

 

 

「あ〜そういえばそうだったな。どこから話したもんか、俺が元日本人て事は言ったけ?」

 

 

「やっぱり日本人だったのか!」

 

 

「やっぱり?てゆうかテンション高いな」

 

 

「あ〜ごめんごめん!同じ日本、同郷だったことが嬉しくてつい。イヤー言動からなんとなくそうじゃないかな〜と思ってたからさ、ついな!はははは!!」

 

 

「おっおう、まさかそこまで喜んでもらえるとは」

 

 

「いや〜なんか急に親近感湧いてきたな〜同じ日本人転生者らしく仲良くしような!」

 

 

「あっあぁ」

 

 

(喜んでくれるのは嬉しけど流石になー多分正確には同じ日本じゃ無いから騙してるみたいでちょっと罪悪感が)

 

 

「それで?結局なんで幽霊になったんだ?」

 

 

「え?殺されたからだけど」

 

 

「...............ごめん。デリカシーなかったな」

 

 

「べついいよ、気にしてない」

 

 

「いや、流石にちょっと常識がなかった。そうだよな、俺と違って幽霊だもんな。少し真面目に考えればわかるのに、本当にごめん」

 

 

「…………フゥーわかった、いいよ」

 

 

(許してあげないと暗くなりそうだし。こういう真面目な謝罪っていうか罪悪感は茶化せないし、シリアスムードになるから苦手なんだよな〜)

 

 

「...ありがとう。やっぱり、魔物に殺された、のか?」

 

 

「いや?竜」

 

 

「…………………………竜?」

 

 

「そう。竜」

 

 

「......なんで竜に殺されたんだ?」

 

 

「なんでっていうか、たぶん数百年位前なんだけど、俺の故郷に竜がきてさ〜ブレスで一発よ」

 

 

「……どんな竜だった」

 

 

「どんな?ぶっちゃけ即死だったからよく覚えてねぇ〜んだよな〜黒い竜だったとしか」

 

 

「…………………………」プルプル

 

 

「リムル?」

 

 

「ヒャイ!」

 

 

「どした?」

 

 

「い、いや!?なんでもない、それよりそろそろ行こうぜ!ハハハハハ!」

 

 

ポヨンポヨンと歩きだすリムル

 

 

(なぜだろう?心なしか声が震えている気がする。う〜んまだリムルの情緒を上手く把握できないな〜)

 

 

「まぁ、これから知っていけばいいか」

 

 

「ハハハハハハハハハハ!!!」

 

 

「リムル〜そっち違う、逆」

 

 

「え!?」

 

 

「だってそっちお前が来た道じゃん」

 

 

「......案内お願いします

 

 

「よろしい」

 

 

(カワユイな〜まかせな!どこまでも案内してやるよ!)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

(俺は出口まで案内するとは言ったが一緒に行くとは言っていない。このために敢えて明言を避けたんだから〜)

 

 

……プロスペクト、人は手に入れたかと思った物を失うのが怖く、そして欲しくなるという心理説。ある心理学者(メンタリスト)はコレを恋愛に似ていると表現していた

 

 

(出会ってから、ここまで来るまでの1ヶ月弱、お互いについて話し合い、スキルの検証をし、くだらない事で笑い、時に魔物と戦い、まぁリムルが倒すのを観てただけだが、それでも一緒にあらゆる苦難を乗り越え、十分!好感度は稼いだはずだ!)

 

 

(なんだかんだ一緒にやって来て、もはや一緒にいるのが当たり前って思ってるだろ?たぶん?絶対そうだ!そうに違いない!安心してリムル♡これからもずっっと一緒にいるから。いてあげるからんらん♡だから教えてあげる。当たり前ってのは当たり前じゃないってことをね〜)

 

 

(俺は追うより、追われたいタイプなんだよ〜だから)

 

 

「……じゃあな。リムル」

 

 

(少し寂しく、悲しげな顔!本当は俺も一緒に行きたいンゴアピールを目で表現するんだ!目は口よりモノを言うってな〜)

 

 

背中を向け洞窟の方へ歩き出す。ちなみにこの演出のためにリムルと会ってから俺は常に足を付けて歩いていた

 

 

(離れて行く距離感が目に見えた方が焦燥感がでるでしょ〜)

 

 

コツコツと体重は無いはずなのに何故か足音が鳴っていた。少し冷静に考えれば気づく違和感

 

 

しかし、今のリムルにそれだけの冷静さがあるかといえば……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

(お願い!引き止めて!!)

 

 

 

「なっ、なぁ!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

(ヨシ!!キタ━━━━━━━━!!)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

時が止まった様に感じた

 

 

洞窟の外を目指してさ迷っている時

 

 

俺はお前と、ユイと出会った

 

 

艶のある美しい黒髪

 

 

黒曜石のように黒く、綺麗で、黒い筈なのに、その瞳の奥はなにかが燃えるように輝いていて

 

 

出る所は出て引き締まる所は引き締まる、まるで無駄肉を削ぎ落としたかの如き造形美、目つきの鋭さと合わさって

 

 

まるで傾国の美女のような

 

 

そんなお前に、俺はきっとこの時から

 

 

心底

 

 

歪められたんだろう

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ユイと出会ってから、色んな事があった

 

自己紹介をし、お互いについて話して、友達になって

 

アイツが俺と同じ転生者で、しかも元日本人だったのは驚いたけど素直に嬉しかった。......まぁ元男って事の方が驚いたけど。出来れば知りたく無かったな。いや、後々手遅れになってから知るよりはマシ、か?…………何だよ手遅れって!?

 

それから少し、というかかなり後ろめたい秘密が出来てしまった。あのおっさん、な〜にが

 

『うっかり街をひとつ灰にしちゃってな』だ!うっかりじゃね〜よ!モロに被害者でてるじゃねーか!

 

俺、アイツの仇を庇ってる事にならないか?...とりあえず黙っておこう。ごめんなユイ。俺、お前に嫌われたら........立ち直れる気がしないから……

 

 

嬉しかったんだ。本当に

 

 

誰かに会えたことがとか、そういうことじゃなくて、お前が

 

 

拒絶しないでくれたことが

 

 

心のどっかで思ってたんだ。もしかしたら、受け入れてもらえないんじゃないかって。誰かに会っても拒絶されるんじゃないかって。だから

 

 

「フッ…悪いスライムじゃないんだろ?」

 

 

その一言が、たまらなく嬉しかったんだ

 

 

向けられた笑顔にドキッとしてしまって顔を背けてしまったけど。ズルいだろアレは、顔が良すぎなんだよ

 

 

まだ口では言えて無いけど

 

 

本当に…………ありがとう

 

 

それからユイの案内で洞窟の出口に向かった

 

 

時に魔物と戦い

 

 

「頑張れ〜リムル!」

 

 

アイツはサボってたが。いやまぁ、アレは俺のせいか

 

 

一緒にスキルの練習をしたり

 

 

「あ め ん ぼ あ か い な あ い う え お」

 

 

「お?早口言葉?なぜ急に?」

 

 

「……いや、練習しといた方がいいかなって」

 

 

「あ〜失敗したの気にしてたのか」

 

 

「言わないで、恥ずかしいから」

 

 

「はいはい。……あ!じゃあコレ言える?」

 

 

「ん?」

 

 

「超上手に密造酒醸造中じゃぞ!」

 

 

「むずくね!?」

 

 

「そぉ〜か〜?」

 

 

「……お前は言えんの?」

 

 

「フッ…俺を誰だと思ってる?あのユイさんだぞ?俺に出来ない事はない」

 

 

「………………」じ〜

 

 

「……アーアーアー、ヨシ」

 

 

「どうぞ」

 

 

「ちょうじょうじゅにみちゅじょうしゅじょうじょうちゅうじゃぞ!」

 

 

「………………」

 

 

「な?」

 

 

「な?じゃね〜よ!」

 

 

くだらない話をし

 

 

時には遊び

 

 

「見て見てリムル。俺幽霊だから水の上に立てるんだぜ。ダダダダーて忍者走り」

 

 

「なら俺はこれだ!ハイドロボンプ!水でお清めしてやるよ!」

 

 

「当たるかノロマ!」

 

 

まるで青春の1ページかのような

 

 

ヴェルドラとはまた違った友達の関係

 

 

まるで、子供の頃に戻ったような。そんな関係が

 

 

すごく楽しかった。今までの寂しさがなんだったんだってくらい、本当に

 

 

だから、これからもっと楽しくなるって、勝手に思ってたんだ

 

 

お前と一緒ならって

 

 

だから

 

 

俺を、置いてかないでくれよ

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ユイと出口を目指してかれこれ数十日

 

 

「へ〜リムルはサラリーマンだったのか」

 

 

「あぁ。これでもそれなりに大手のゼネコン会社に勤めてたんだぞ」

 

 

「……ゼネコン。エリートって事だな」

 

 

「わかってねぇだろ、お前」

 

 

「…………マイクラ?」

 

 

「絶妙なラインなのがムカつくな」

 

 

「享年何歳?」

 

 

「37の独身貴族だよ。息子も...」

 

 

「え!?子どもいたの?」

 

 

「いや、忘れてくれ」

 

 

「え?」

 

 

「忘れろ!」

 

 

「えぇぇ?」

 

 

「…………ちなみにお前は?」

 

 

「フッ、いくつに見えます?」

 

 

「合コンか!」

 

 

「まあまあ。それより、そろそろだぞ」

 

 

「なにが?」

 

 

「出口」

 

 

「マジ!ついに!」

 

 

「ほら」

 

 

ユイが指さす先に大きな扉が見える

 

 

「おぉぉぉ!!」

 

 

この世に生まれて数ヶ月、さ迷い続けて数十日

 

 

俺は、俺達は遂に出口に辿り着いた

 

 

「...ここまでだな」

 

 

「早く行こうぜ!」

 

 

「リムル」

 

 

「なんだよ?」

 

 

何故かユイが悲しげな顔で見つめてくる

 

 

「ここでお別れだ」

 

 

「…………え?」

 

 

急に頭から水をかけられたかのように感じた

 

 

扉を見つけた興奮が急激に冷めていくのを感じる。多分この時の俺は、真っ青な顔をしていただろう

 

 

「たぶんだけど、あの扉の先は森になってる」

 

 

「ちょ」

 

 

俺の事を気にせず話し続けるユイ

 

 

「人里までは少し距離があるからな〜リムルの足じゃ、またしばらくかかるかもな」

 

 

「まって」

 

 

そんなのまるで

 

 

「俺的にはドワーフの国がオススメだ。比較的近かった筈だし、あそこは魔物にもある程度寛容だからな」

 

 

「ってくれ」

 

 

一緒に行く気が無いような

 

 

「大変だろうけど、たまに会いに来てくれると嬉しい。話し相手がいるだけでも違うから。思い出話期待してまっ」

 

 

「まてよ!!」

 

 

「ん?」

 

 

「一緒に、いかない、のか?」

 

 

震える声で尋ねる俺

 

 

でも、その先を本当は聞きたくなくて

 

 

自分にとって都合のいい返事を期待した

 

 

「......無理なんだよ」

 

 

そんな期待は叶わなかったが

 

 

「え?」

 

 

「俺は幽霊だから」

 

 

何を勘違いしていたんだろう

 

 

「この魔素の多い洞窟じゃないと」

 

 

ユイは案内してくれるって言っただけで

 

 

「生きられないんだよ」

 

 

一緒に行こうなんて、一言も......

 

 

「だから、ごめんな」

 

 

俺が勝手に期待しただけだ

 

 

「…………」

 

 

だから、ユイが謝る理由も

 

 

「……じゃあな。リムル」

 

 

「あっ」

 

 

ユイが背中を向け歩いて行く

 

 

遠ざかって行く背中

 

 

一歩一歩、小さくなっていくユイ

 

 

わかってる。俺に止める権利なんて無い、でも

 

 

俺にはお前が

 

 

寂しがっているように思えた

 

 

(それにお前は、俺の................だろ

 

 

「なっ、なぁ!」

 

 

気がついたら声をかけていた

 

 

「......」ピタッ!

 

 

ユイの足が止まる

 

 

なにか考えがあるわけじゃない。でも、

 

 

俺はお前を失いたくなかった

 

 

「......」

 

 

ユイがこちらを振り返る

 

 

「あっ!いや、その、えっと」

 

 

(どうしよう!思わず止めちゃったけど何も考えてない。そもそも、なんで魔素がないと駄目なんだ?)

 

 

《告、精神体(スピリチュアルボディー)の状態を維持出来ない為と推測します》

 

 

(精神体の状態?)

 

 

《解、個体名ユイは幽霊と言う発言から精神生命体であると推測》

 

 

(精神生命体ってなんだ?)

 

 

物資体(マテリアルボディー)を持たず、精神体のみの活動を可能とする生物です》

 

 

(精神体ってのは、要は魂ってことか?)

 

 

《是》

 

 

(それが魔素とどう関係あるんだ?)

 

 

《解、本来、精神生命体は現世に留まる場合、依代、または受肉が必要です。物資体が無ければ、あらゆる行動が制限されるためです》

 

 

(え?でも、ユイは)

 

 

《告、例外として一時的に魔素で依代を構築する事は可能です。ですが燃費が悪く推奨は出来ません》

 

 

(つまりユイは)

 

 

《解、高濃度の魔素空間である現洞窟を抜けた場合、精神体を維持出来ず、消滅する恐れがあります》

 

 

「!?」

 

 

大賢者の言葉に血の気が引くような気がした

 

 

「...リムル」

 

 

気がついたらユイが目の前にいた

 

 

正直、何て言えばいいのかわからなかった

 

 

楽観的に考えていた

 

 

なんとなく、なんとかなるんじゃないかって

 

 

(なにか方法はないのか?)

 

 

《解、現状、個体名ユイの情報が不十分な為、回答出来ません。よってユニークスキル捕食者の使用を推奨します》

 

 

(捕食者?ヴェルドラと同じって事か?)

 

 

《是、それであれば魔素切れよる消滅はまぬがれます》

 

 

(それはつまり、俺にユイを食えって事か?)

 

 

《是》

 

 

(…………そんなの言える訳ないだろ)

 

 

俺のエゴのために、俺に食われてくれなんて

 

 

それに

 

 

(一緒にいられなきゃ、意味ないだろ.........)

 

 

そう思ってる筈なのに、一瞬

 

 

心の底の何かが震えたように感じたのは

 

 

俺の気の所為だろうか

 

 

「リムル」

 

 

「あっ、あ〜いや、その、えっと、だから、その」

 

 

上手く呂律が回らない

 

 

「ついて行っても、いいの?」

 

 

「え?」

 

 

「ついて、行っても」

 

 

「あっあぁ、けど、その」

 

 

「……方法が、無いわけじゃない」

 

 

「本当か?!」

 

 

「……たぶん、迷惑かけると思うよ?」

 

 

「いいよ、それくらい」

 

 

「……後悔、する、かもよ」

 

 

「少なくとも俺は、ここにお前を置いて行く方が後悔する。絶対」

 

 

「……なんで?」

 

 

「だって、独りぼっちは、寂しいだろ?」

 

 

だから俺は、嬉しかったんだ

 

 

「………………」プルプルプルプル

 

 

「旅は道連れ世は情けって言うだろ。俺はお前と一緒にいたいんだよ」

 

 

「………………じゃあ、お願いがある」

 

 

「なんだ?俺にできる事ならなんでも言ってくれ」

 

 

「…………なんでも?」

 

 

「あぁ。なんでも」

 

 

「………………受け入れて欲しい」

 

 

「え?」

 

 

「…………受け入れて欲しい」

 

 

「受け入れる?」

 

 

「...そう。受け入れる。それだけでいいんだ」

 

 

「.........」

 

 

「だから、お願い」

 

 

「……ユイ」

 

 

「拒まないで」

 

 

「受け入れる」

 

 

お前は俺を受け入れてくれた

 

 

「え?」

 

 

「受け入れるよ。俺がお前を拒むわけないだろ」

 

 

だから俺が、お前を拒むなんてありえない

 

 

「………………」

 

 

「だからさ、一緒に」

 

 

「フッ」

 

 

「ん?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「フッ、フフッ、ふふふふふ」

 

 

 

 

...何故か急に笑いだすユイ。まるで何かをこらえるように笑うその顔を一瞬、不気味に思ってしまった

 

 

 

 

「?」

 

 

 

 

...不気味な笑顔を浮かべても尚、美しく綺麗なその顔が

 

 

 

 

「…………だめだよ。リムル」

 

 

 

 

...口が

 

 

 

 

「ユイ?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「契約完了」

 

 

 

 

ボオォウ!!

 

 

 

 

...ユイがそう呟いた瞬間、ユイは黒い炎に包まれ

 

 

 

 

メラメラメラメラパチパチパチ

 

 

 

 

...炎が消えると同時に

 

 

 

 

シュュウウウゥゥゥゥウウ

 

 

 

 

...塵が飛んでいくように……………消えた

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「...............ユ イ ?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 





TSオリ主転生者(仮名ユイ)
ユニークスキル閃知者(ヒラメクモノ)
彼女は基本的に自身の思考加速にしか使ってないよ。今までの内心も全て0.01秒しか現実では経っていない。どっかの大賢者と違って情報の分析能力や検索能力は無いから自分でやらないとね!
イメージとしてはどっかのスライムが検索でワンクリックなら、彼女は辞書の様なもの。普通にめんどい。記憶とかは押し入れの棚に全部しまっておけるけど、何処にしまったか自分で探さなきゃならない。使いずらいのよ、まあスキルの真価はそこではないからべつに……
…………やっぱ大賢者チートだな


寂しがり屋なスライム
だんだん拗らせ始めてる。最初は目つきの鋭い美人だと思ったが、蓋を開けてみればよく笑うし子供っぽい。鋭い目つきが笑った時にはすごく柔らかくなるギャップと男友達のような距離感のせいで少しずつ......

少し所有欲に対する兆しが?


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