転生したら幽霊だった件……なお性癖は曇らせ愉悦 作:性癖拗らせ愉悦部
個性は人それぞれ
当然、性癖も人それぞれ
By あんまり唆らなかった神
牙狼族と戦う事に決めた俺とユイは村長に怪我人の元へ案内してもらった
本当はユイの事が心配だし色々気になる事も沢山あるが、今は悩んでも仕方ない
大賢者が魂の回復方法について調べてくれるらしいから、朗報を待つとしよう。正直待つしか出来ないのは歯痒いが、こればっかりは俺にはどうしようもないからな
(少しだけ待っててくれ、ユイ)
隣にいるユイを見ながらそんな事を思う
「皆、牙狼族にやられた者です」
村長に案内された小屋にはざっと十数人のゴブリンが倒れていた
「……悲惨だな。正直、あまり良い気分にはならない」
ユイが辛そうな顔をする
「どうしたんだユイ?この状況が辛いのは分かるが」
ユイの表情はかなり複雑そうな表情をしていた
「…………俺は、元冒険者だからな。魔物を狩る側だった身としては、な」
そうか。ユイは俺と違って元は人間だったんだよな。今は俺と一緒に魔物側にいるとはいえ、そりゃ複雑な気持ちもなるか
……そういえばユイって、一応は魔物、なのか?幽霊ってそこら辺どうなんだ?本人は偶に自分の事ゴーストとか言うけど
《告、個体名ユイは魔物ではありません》
大賢者が俺の疑問にNOと答える
(魔物じゃないって、じゃあユイは何に分類されるんだ?ゴーストとは違うのか?)
《解、個体名ユイの発言通り、幽霊という表現で間違いありません。ゴーストとは似て非なる別物です》
似て非なる?
(どういう意味だ?)
《解、ゴーストとは基本的に、魔素が残留思念や怨念を持った魂無き低位な魔物を指します》
(なるほど。魂の有無が違いって事か?)
《そのような認識で間違いありません。ですが正確には違います》
(正確には?)
《是、個体名ユイが幽霊と成ったのは
なる、ほど?正直難しくてよく分からん
(分かりやすく言うと?)
《……魔物ではありません》
(あっ、はい。分かりました)
ヤバい。ちょっと怒らせちゃったかも。そりゃ説明求めたのに理解出来ず結論だけ求めたら怒るか、スマン!大賢者!
《了》
さて、何はともあれまずは、このゴブリン達を何とかしないとな
「どうするリムル?俺正直魔法の才能が無いから回復魔法とかカラッキシなんだけど」
どうやらユイはお手上げらしい。
お前魔法の才能無いのか。それは異世界なのにさぞ残念だっただろうな。同情するよ。まぁ俺は人間ですらなくなってしまったが
「うーん、まぁやれるだけやってみるさ」
パク
ゴブリンを捕食する
「リ、リムル様!?いったい何を!?」
「こ、こらリムル!いくらお腹が空いたからってそんなゲテモノ食べなくても!お腹空いたなら俺が何か作ってやるから!ペッしなさい!ペッ!」
「違ぇよ!」
いや吐き出しはするけども
ペッ!
俺の身体からゴブリンが吐き出される
ユイが吐き出されたゴブリンに駆け寄る。どうしたんだ?
「ど、どうですか?」
村長がユイに問いかける
「……大丈夫です。まだ温かい。まだ遠くには行ってません」
「どこの刑事だ!違う、よく見ろ!」
オフザケを入れるな、村長が焦るだろ。てゆうかさっきお前そうゆうネタが通じるわけないって言ってただろ!
「ん?あれ、傷が治ってる。どうゆう仕組み?」
「俺の持ってる回復薬をぶっかけただけだ。上手くいって良かったよ」
「回復薬?どこに持ってんだそんな物?」
ユイが頭に?マークを浮かべている様な表情をする
「俺の胃袋に保管してあるんだよ」
「胃袋?ゲロ吐きかけたって事か?」
「言い方!」
やめろよ!ちょっと連想しちまったじゃねぇか!
「そうゆう格納空間があるんだよ」
「あぁ〜。猫型ロボット的な?」
「まぁそんな感じだ」
言われてみればそうだな
「さ、流石はリムル様!」
「「「「ハハー」」」」
村長含め、ゴブリン達が頭を下げてくる。
よし!回復薬の効果も分かったしこの調子でやっていくか!
こうして俺はゴブリン達を捕食しまくり回復薬をぶっかけまくった。途中ユイが
「絵面が酷い」
と呟いたが無視だ!言うな!俺もちょっと思ってるから!
「ペッ!これで全部だな?」
「は、はい!ありがとうございます!リムル様!」
最後の怪我人を治し終えた俺に村長が感謝を伝えてくる。
見たかユイ!絵面が酷くとも結果が良ければそれでいいのだ!
·····あれ?
「村長、ユイどこ行ったか知らない?」
気がついたら小屋からユイが居なくなっていた
「ユイ様でしたら、先程外に出て行かれました」
あの野郎、勝手に居なくなるなって言ったろ。俺から離れるな
「ありがとう村長。ちょっとユイを見てくるよ」
「はい。分かりました」
小屋を出てユイを探しに行く。どこ行ったんだアイツ?
「用意!」
「ん?」
集落の端の方からユイの声が聞こえてくる。あっちか
跳ねながら近づいて行くとユイを見つけた。しかし
「何やってんだアイツ?」
そこにはユイとゴブリン達がいた。隊列を組みながら
「持て!」
「「「「「はい!」」」」」
ゴブリン達が木の杭を持つ
「1234構え!」
「「「「「はい!」」」」」
ゴブリン達が木の杭を構える
「刺せー!」
「「「「「はい!」」」」」
ゴブリン達が杭を地面に刺す
「縄持て用意!」
「「「「「はい!」」」」」
ゴブリン達が縄を持つ
「結べー!」
「「「「「はい!」」」」」
ゴブリン達が柵を結ぶ
「……マジで何やってんだアイツ」
柵を作っている事は分かるが
「何やってんだユイ?」
「あぁリムル。見て分からないか?柵を作っているんだ。お前が指示したんだろ?」
そうゆう意味じゃない。確かに柵を作れとは指示したが
「お前が何してるのかって聞いてんだよ」
「現場監督だ。重要だろ?作業効率がダンチだ」
「ゼネコン勤め舐めんな。それくらいわかる。何でお前が現場監督をやってるんだって聞いてんだよ」
はぐらかしてるのか?
「それは〜、その〜」
ユイが気まずそうな顔をする
「なんだよ?」
「いや、ほら、その〜、なんてゆうか、その」
ユイが人差し指を合わせながら答える
「ゴブリン達を助けるとは言ったけど、よくよく考えたら俺、別に役に立てる事無いな〜と思いまして」
「おう」
「それで、形だけでも役に立っているアピールをしようと思い、打算的に行動した次第です。はい」
就活生かよ。いたよ、そうゆうやってますよアピールしてるヤツ
別にそんな事気にしなくていいのに
「ハァ〜」
思わずため息が出る
「す、すみません」ビク!
……あぁ、勘違いさせちゃったか
「あーいや、今のはそうゆうのじゃなくてだな」
「あの、その、捨てないで、欲しい、です」
ユイが弱々しく縋るような声で呟く
何言ってんだコイツ?
「捨てるわけないだろ?」
「リムル」
「そもそもお前が役に立つと思ったから連れて来た訳じゃない」
「……ごめん」
だから違うって。変な所で自信が無いヤツだよな、ユイって
「そうゆう意味じゃなくて、俺はお前に一緒に居てほしいから連れて来たんだ。役に立たないからって捨てるわけないだろ?」
「…………え?」
「言ったろ?俺はお前と一緒に居たいんだって。だから連れて来たんだ。忘れたのか?」
「……ぅ、ぅぅ〜」
ユイが何故かうずくまる
「どうした?」
「…………タチ悪いよ、リムル」
「ん?何が悪いって?」
「そう言うのを恥ずかしげもなく言えるところ」
ユイが不貞腐れた様な顔をする
「恥ずかしがる必要なんかないだろ?全部本心だ」
「……リムル」
「なんだよ?」
「ホントにモテなかったの?」
うるせぇよ。女っ気が無くて悪かったな。前世の死因ほとんどそれの所為なんだよ!
と、そんなこんなありつつ遂に夜を迎えた
「「「「「アオーン!」」」」」
牙狼族がゴブリンの集落へ向かって来る
「おーおー、ゾロゾロといっぱいだねー。百匹はいるんだっけ?」
「村長の情報だとな」
しかもその情報は死んだ息子さんが命懸けで手に入れた物らしいからな
言い方は悪いが、有難く有効活用させていただくとしよう
「本当に手伝わなくていいのか?俺これでもそれなりに戦えるぞ?」
「問題ない。黙ってそこで見ててくれ」
隣にいるユイに返事を返す
本人は戦う気らしいが、正直ユイを戦わせたくない。魂関連の話しを聞いてしまったのもあるが、万が一が無いとも言えないからな
(お前は一緒に居てくれるだけでいいんだよ)
それだけでいいんだ
「それとも、俺の強さが信じられないか?」
「……いや、信じてるよ。頑張れ、リムル」
「おう!」
ユイの声援を胸に牙狼族を迎え撃つ
少し待っていると目に傷のある牙狼を先頭に牙狼族がやって来た
「そこで止まれ!」
牙狼族に生死を促す
「このまま引き返すなら何もしない、さっさと立ち去るがいい!」
自分で言ってて思ったけど迫力無いな、スライムだし。ユイの言った通りオーラを出したままにしといた方が良かったかな〜
「小賢しい!スライム如きが我ら牙狼に命令するな!」
牙狼の長らしき目に傷のある牙狼が答える。
やっぱり戦闘は避けられないか
「オヤジ殿、あの者です。例の」
「お前が見たとゆう異様なオーラを放つ魔物の事か?くだらん!ただのスライムではないか!あの柵をなぎ倒せ!ゴブリン共を血祭りにあげろ!」
長の雄叫びと共に牙狼族が突っ込んでくる
(掛かった!)
ギャン!グサ!
牙狼族が次々と倒れていき、倒れなかった牙狼をゴブリン達が弓で迎撃する
「何が!?…………糸?」
牙狼の長が張り巡らされた糸に気づいた
「
「あぁ、あの練習か。マジで役に立つんだ。ああゆうの」
ふふん!やっぱり練習しておいて正解だったな
「貴様の仕業か!」
「そうだ!」
「矮小なる魔物の分際で、調子に乗るな!スライム如きが!ひねり潰してれる!」
「オヤジ殿!」
長が息子の静止も聞かず俺に向かって飛びかかって来る
「甘いな」
「うっ、あ、何だコレは!動けぬ!」
「粘糸さ。残念だったな」
牙狼の長が空中で宙吊りになる
「こ、これは?」
「ん?」
隣で何故かユイが頭を捻っている。
どうしたんだ?まぁいいか。とりあえず
(隙だらけだ)
「こ、これしき!」
長が粘糸から抜け出そうと藻掻くがもう遅い!
「
牙狼の長の首が落ちる
ドチャ
「おっふ。グロ」
この時俺は思った
俺も最初の頃はユイと同じ様に思っていたはずなのに、いや今でもグロいとは思ってるんだけどそうじゃなくて
あぁ、馴染んだんだな〜って
正直嬉しくは無い
今、俺の目の前で牙狼が宙吊りになっている
苦痛と苦悶、屈辱、絶望とは違うが色んな負の感情が混ざった表情。属に言うあの表情、…………なのだが
こ、これは、曇らせ、では?どうなんだ?これは?曇らせなのか?曇り顔である事に間違いはないんだろうが、はて?狼の曇り顔って、唆る、のか?一応、そうゆう癖の人には刺さるのだろうか?わからん。う〜んやっぱり俺はまだ曇らせ初心者だなー。今まで摂取した曇り顔は後輩ちゃんとリムルだけだし、ここに狼も追加するとなると、…………これはカウントしてもいいのだろうか?
曇らせって奥が深いな〜。残念ながら俺は食指が動かない。決して不味いわけではないが、俺にも選り好みとゆうモノがある。コレを美味しいと思える人は、歪んでいると言うより捻れているのではないだろうか?
あっでも俺が調理してないからってのもあるのかな〜。仮定や達成感が無いとゆうか。どうなんだろ?
………………あっ、死んだ
おっふ。グロ
何故か牙狼族が仲間になった
何故か。本当に何故か。
服従するなら死を!的なノリで来られたら嫌だったから牙狼に擬態して威圧で脅しただけなのにな〜
弱肉強食と言うやつだろうか?
「リムルリムル〜」
「ん?なんだユイ?」
考え事をしていたらユイが話しかけてきた。心做しかワクワクしている様に見える
「仲間が増えたわけじゃん?じゃあお決まりのアレやっとかない?」
「お決まり?」
なんだ?お決まりの?あのゲームの仲間bgmか?
「俺ネズミやりたい」
「あぁ!アレか!え、お前ネズミがいいの?少年じゃなくて?」
「あぁ。ネズミがいい」
「変わってんなお前、普通逆だろ。まぁいいや。オッホン、じゃあいくぞ!」
「おう!」
「牙狼族!GETだぜ!」
「ピッピカチュウ!」
俺の決めゼリフにユイが合わせる。決まったな
「リムル」
「ユイ」
「「フッ、フハハハハハ!」」
お互いに顔を見合わせて笑い合う。
バカバカしい、本当に何やってんだろうな
「しかしまぁ、なんとも野性味あふれる大所帯になったもんだねー」
笑い終わったユイがゴブリンと牙狼族達を眺めながら言う。確かに、こんな大所帯誰が面倒見るんだよ
……俺達か
ん〜、パッと見どっちも同じくらいか?じゃあとりあえずゴブリンと牙狼族をまとめるか
「はい。聞いてくたさい。えっと、これから君たちにはペアになって一緒に過ごしてもらう事になりま〜す」
「「「「ぺ、ア?」」」」
ゴブリン達と牙狼族が不思議そうな顔をする。
ヤベ、伝わらなかったか
「リムル様、ぺ、ア、とは一体なんですかな?」
村長も不思議そうにしている。やっぱ誰にも伝わってないな
「リムル、俺と同じ感覚で喋るな。伝わる訳ないだろ?」
「いや〜悪いな、お前と話してるとどうもそこら辺の感覚が麻痺するとゆうか」
ホントにユイと話してると未だに日本の感覚が抜けないんだよな〜。気をつけないと
「つまりだ村長、リムルの言葉を分かりやすく言うと、ダブルスを組んでくれって事だ」
「いやそれも伝わる訳ねぇだろ」
「わかりました。皆の者、二人一組になりなさい」
「伝わったの!?」
え、なんで!?俺とユイの何が違ったんだ?ほとんど一緒だろ?
《告、個体名ユイの保有するスキルの効果であると推測します》
「スキル?」
「そう、俺のスキルの効果でな。俺の頭のイメージを直接村長の魂に伝えたんだよ」
俺の呟きにユイが答える。イメージを直接って
「便利だな」
交渉とかで役立ちそう
「つってもコレくらいしか使い道ないけどな」
「そうなのか?」
「まぁ具体的には他にも色々あるんだが、説明がめんどくさいから追々な」
そうやってユイと会話している間にゴブリンと牙狼のペアが完成した
まずは衣食住を整えるためにチームを分けようとしたのだが問題が発生、コイツらの名前が分からない。てゆうか名前あったけ?
(ユイ、コイツらの名前知ってる?)
(んにゃ?知らん。てゆうかコイツら名前あんの?ネームドには見えないけど?)
ユイも知らないのか。てゆうかネームド?なんだそれ?
まぁいい村長に聞いてみるか
「村長、そういえばお前達の名前は?」
「普通魔物は名前を持ちませぬ。名前が無くとも意識の疎通は出来ますからな」
そうなのか。でもあった方が便利だよな
「ヨシ!お前達全員に名前を付けよと思うが、いいか?」
「「「「うわぁ!?」」」」
「え?」
「な、名前!?よ、よろしいのですか?」
「あ、あぁ」
「「「「ワーイ!!」」」」
全員が驚いた反応をする。
え?何この反応?興奮している?何故?ただ名前を付けるだけだぞ?
「ユイ」
「あぁ〜、嬉しいんじゃないか?ネームドモンスターは稀だしな」
そうなのか、名前だけでそんなに喜ぶものなのか
「それよりも問題なのはリムルだが」
「俺?」
どういう事だ?
「先生から何か聞いてないか?」
「先生?大賢者の事か?お前大賢者の事先生って呼んでんの?」
そういえば前に大賢者と話したとか言ってたっけ?
「まぁな。で?何か聞いてる?」
「いや?特に何も?」
何か問題があるのか?
「……先生が何も言ってこないなら、多分大丈夫だ」
「?ならいいが」
なんなんだ?
◇
その後ゴブリン達と牙狼族に名前を付け始めた
村長には息子の名から取ってリグルドと名付けた
リグルドの息子には兄の名を継がせリグルと名付け、それからもゴブリン達に名前を付けていった
ゴブタ、ゴブチ、ゴブツ、ゴブテ、ゴブゾウ、ハルナ、などなど
「だんだん適当になってないか?」
「うるせぇやい、仕方ないだろこんだけ居るんだから。そんな事言うんなら何か案を出してくれ。正直俺もネタ切れなんだ」
「フッ、いいだろう。俺のネーミングセンスを見せてやるよ」
「じゃあ頼む。次は牙狼族だな」
てゆうかコイツ、たぶん牙狼族の長の息子だよな?俺の事を恨んだりしてないのか?まあ、尻尾振ってるし、恨んではいないようだな
「獣、か。…………なら、偉大なる紅魔の大魔法使い、その使い魔の名から取って、ちょむすけ、なんてどうだ?」
「却下だ。お前にネーミングセンスを期待した俺がバカだった」
なんだよ、ちょむすけって。さすがにふざけすぎだろ
「……このネタも通じないのか」
「ん?」
「いや、なんでもない。お好きにどうぞ」
ユイがとても悲しそうな顔をしていた。どうしたんだ?
牙狼族の長の息子が俺の目の前に来る。
さて、ちょっと真面目に考えるか
(ふむ、狼、牙)
そよ風が辺りを吹き抜ける
(……風、暴風、……テンペスト、テンペストの牙、嵐の牙、ランガ……お!ランガ!いいねぇ!)
「ヨシ!お前の名はランガだ!」
「ランガ」
ランガと名付けた牙狼が尻尾振っている。
どうやら喜んでもらえたらしい。よかったよかった
「ウッ!」
直後、急な虚脱感に襲われた
(な、なんだ?身体が、ヤバイ、魔力感知が途切れて、目の前が、暗く、どうなってる大賢者!?)
《解、体内の魔素残量が一定値を割り込んだため、
(は!?
そうか!だからユイが大賢者が何か言ってこないかって聞いてきたのか!マズイ!ユイが一人に!
(大賢者!回復までどれくらいかかる!?)
《完全回復の予想時刻は凡そ三日後です》
(三日!?)
本気でマズイ!三日もユイを一人に、ユイを守れない!
(ユイ)
声は出せないが、それでもユイに呼びかける
「おやすみ。リムル」
最後、そんなユイの声が聞こえた気がした
牙狼族の長の息子にリムルがランガと名付け瞬間
リムルが萎んだ。それはまるでタイヤの空気が抜けるかのごとく、プシューっと。なるほどコレが名付けの代償か。まぁ魔素を消費する訳だし当然と言えば当然か
名付けは知識としては知ってたけど実際に見るのは初めてだからな〜、ちょっと新鮮
「リ、リムル様〜!」
村長、いや今はリグルドか。リグルドが萎んだリムルを見て狼狽える。まずはリムルをどうにかしないとな
「大丈夫だ。ちょっと魔素不足で休んでるだけだから」
「は、はぁ。守護霊であるユイ様がそう仰られるなら」
さすがにこのまま放置って訳にはいかないよな
「何か布はあるか?リムルを包んであげたい」
「はい。ただいまお持ちいたします」
少し経ってリグルドが布を持ってくる
「サンキューな」
もらった布でリムルを優しく包み持ち上げる
「リグルド、リムルを休ませたいんだが何処か空いてる小屋はあるか?」
「ございます。今案内致します、こちらです」
リムルを抱えリグルドについて行く
「こちらの小屋をお使いください」
「ありがとう。じゃあ俺とリムルはしばらくぅ!?」
突如、俺の身体に深い吐き気が襲った
(なんだ?これ、気持ち悪い、頭がグワングワンと揺れているような感じが、うっ、吐きそう)
身体中を蝕む強烈な吐き気と倦怠感
まるで魂が、揺らされているかのような
《告、個体名リムル=テンペストが
協定?……そうか、あの時結んだ縛りか。確かに、魔素不足は
「だ、大丈夫ですか?ユイ様」
「あぁ、大丈夫大丈夫。全然平気、気にするな」
突然うずくまった俺にリグルドが心配そうに声を掛けてくる
虚勢を張ったが、実際はかなりヤバイ。俺の魂を卵で例えるなら、俺はその卵を魔素という名のクッションで覆っている感じだ。それが不足しているって事は
最悪、いつ壊れてもおかしくないって事だ。マジでヤバイ、コレは
「リグルド、俺とリムルは、しばらく休む。その間、誰もこの小屋に近づけるな」
今の状態じゃあ防御もままならない。俺がリムルを守ればいいと思っていたが、正直、俺の方がヤバイ。ピンチだ
とりあえず魔素を最大限魂の保護に回して、実体化を最小限にして魔素効率を抑えるしかない
俺は何故か
「わ、分かりました。あの、しばらくとは一体どのくらいの期間で?」
「な〜に、たった数日だ」
実際どの位だったかな?よく思い出せないな、数日だった事は間違いないんだが
《告、完全回復の予想時刻は凡そ三日後です》
(あぁ、先生。ありがとうございます)
《了》
ひょっとして?俺も大賢者先生と会話出来る感じ?
(あの、つかぬ事をお聞きしてもよろしいでしょうか?)
《了、確認します》
あっ、やっぱり問いかければ応じてもらえるのね
《俺も、先生と会話出来るという認識でよろしいでしょうか?》
《是、その認識で間違いありません。魂の回廊の接続に成功した事で、よりスムーズな対応が可能となりました》
魂の回廊、そうか、なるほどね。確かに受け答えが前よりスムーズだ。早速で悪いが頼らせてもらうとしよう
(あの、魔素が足りず、非常に辛いのですが、どうにかなりませんかね?)
《解、魔素の供給は出来ません。よって代案として、コチラの演算領域を活用し魔素の効率化をサポート出来ますが、よろしいですか?》
《よ、よろしくお願いします》
《了、演算を開始します》
あっ、ちょっと頭痛が和らいだ様な気がする。気持ちの持ちようかもしれないが、有り難い
(ありがとうございます。大賢者先生)
《了》
もう嘘つきスキルとか思うのやめよう。ありがとうございます、大賢者先生。この感謝を忘れずに生きていこう
「リグルド、三日だ。三日でいい、その間誰もこの小屋に近づけるな」
「は、はい。分かりました。ではごゆっくりとお休みください」
リグルドが小屋から出ていく
小屋には俺とリムルだけが残された。もっとも、起きているのは俺だけだが
ナデナデ
膝の上にいるリムルから反応はない。だが恐らく意識はあるのだろう。リムルから魂の鼓動を感じる
死んでいる訳じゃない、確かに生きている。でも
「あ〜、ヤバイな。辛いからかな。憂鬱な気分とゆうか、すげぇ寂しくなってきた」
独りの時間なんて、あの洞窟で慣れてるはずなのにな
まだリムルと出会ってから一年も経っていない、なんならまだ一ヶ月程度なのに。もうホームシックなのか、俺?
反応の無いリムルを抱きしめる
「………………早く起きてよ、リムル」
俺の独り言が、静かに小屋に響いた
少し未来の一幕・その2
庵に帰ったらユイが居なくなっていた
断じて家出とか失踪では無い。ないったら無い!
だって机に書き置きが置いてあるし
……それだけ聞くと夜逃げっぽいな
〈リムルへ〉
〈用事があるので出かけます。夕飯は作っておいたので、温めて食べてください。帰りはたぶん遅くなるので先に寝てていいよ。
追伸、電子レンジとか無いけどそこら辺は先生がスキルで何とかしてくれるでしょ?〉
置き手紙を読み終え視線を机に向けなおす。確かに冷めた料理が置いてある。それなりに作ってから時間が経っているって事か
……とりあえず食べるか。大賢者、チンしてもらえる?
《了》
しばらくしてチンが終わった料理を食べる
今日は魚の煮物。ユイ曰く鯖味噌が得意料理らしいが、これは鯖、なのか?この世界に鯖ってあるのか?たぶんハクロウが釣ってきた魚だろうな
「……美味しい、はずなんだか」
なんだかとても味気ない。いつもはユイと一緒に食べているからか今は庵がとても静かに感じる
アイツは居るだけうるさいとゆうか、ずっと喋っているからな。ユイとは無言の空気も嫌いじゃないし苦にならないが、改めて一人になると
「どこ行ったんだよ、アイツ」
普段はずっと俺から離れないくせに
確かに今日は俺も仕事が立て込んでて帰りが遅くなるとは言ったけど
「俺より優先する事って、何だよ」
アイツが居ないというだけで心にぽっかりと穴が空いたような感じがする
気になる
そりゃあユイにもプライベートはあるだろうが、気になる。俺より優先する用事っ何なんだよ
……やっぱり気になるもんは気になる。ちょっと卑怯だが、悪いなユイ
「ソウエイ〜、居るか〜?」
「ハッ。此処に」
俺の呼び掛けでソウエイが出てくる
「ユイの用事って何か知ってる?」
「ユイ様でしたら、ベニマルと出かけられました」
「は!?ベニマルと!?」
ますます意味が分からない。あいつ等が仲良いのは知ってるがそれでも納得できない。それが用事?俺より優先する?
まさかあの二人って、いやいやいやそんなまさか!あの女っ気のおの字も無いユイが〜、いやいやまっさか〜
……いやでもアイツって意外と家庭的だし、人当たりいいし、美人だし、あれ?こうして考えるとユイって優良物件なのか?
そしてベニマルはこの街の侍大将で、強くて優しくてイケメンだし、何よりモテる。そしてユイとは仲がいい
ヤバい、だんだん不安になってきた
「ソウエイ!ユイとベニマルは何処に出かけたんだ!」
「分身体が確認したところ、二人で裏路地にある店に入って行ったようです」
「はあ!?」
路地裏!?ますます怪しい!本当にデキてんじゃないだろうなあの二人!
それだけは許さんぞベニマル。事と次第によっては
「ソウエイ!今すぐその店に案内してくれ!」
「ハッ!」
影移動を使いソウエイの分身体が居る所まで移動する。だが
「暗くね?ここ」
着いた場所は裏路地と言うに相応しい古ぼけた壁と薄暗い街灯が存在していた。いやおかしいだろ!?この街まだ出来て一年ちょっとだそ?何でこんなに古ぼけてんだよ
「何でも、ユイ様がゲルド達にそう作るように要望したらしく」
アイツの仕業かよ!マジで何なんだ用事って。この感じからしてそうゆう線は低くなった気がするが
「ここ、か?」
「はい。この店で間違いありません」
裏路地を通りソウエイに案内され着いた店はそれまた古臭い店だった
コンクリート色の壁に所々に見えるヒビが妙にリアルだ。変な所凝りすぎだろ
そして店の看板には一言、熱、と書いてあった
熱?どんな店だ?
「俺は中の様子を見てくる。ソウエイは外で待っていてくれ」
「ハッ。承知しました」
扉を開け店に入る。受付とかは無く長い廊下がありかなり奥行きがある
「イケ」
奥の方からユイの声が聞こえてきた。やはりこの店にいるらしい
「イケよ」
「イっちゃえ」
ん?
「イッテいいんだよ?俺は責めない」
「いえ、しかし」
ベニマルの声も聞こえる。おい、なんの話しだ
「イカないのか?」
「……すみません。当たってしまったらと思うと、どうしても考えてしまって」
「気にするな。仮にイッテ当たった所で、それはお前の責任じゃない。言ったろ?責めないって。イッテ良いって言ったのは俺なんだから」
「そんな訳にはいきません。当たってしまったのなら、それは俺の責任です」
「ベニマル、そんなに気負わなくていい。気楽にイケ。そんなに固くなってると出るもんも出ない。気楽にイケばいいんだ」
「ユイ様」
おい、マジでなんの話してるんだ。イク?当てる?おい、そんな、まさかだよな
「安心しろ。もしお前がイッテ当たったら俺の所為にしてくれればいい。お前に責任は無いんだ」
「それは違います、ユイ様。イケと言われてイッタとしても、それはユイ様の所為ではありません。俺が選んだ事です。もし当たったとしても、責任は俺にあります」
「……なら、二人で責任を取るか」
「はい。それにすみません」
「何がだ?」
「俺自身が、イキたいと思っているんです」
「ベニマル。イキたいんだな?」
「はい」
「後悔しないか」
「例え当たったとしても、ここでイクことに後悔はありません」
「そうか。フッ、いいぞ、イッテも。イケ、イッちゃえ」
「はい!イカせていただきます!」
許すわけねぇだろ!!
急いで扉を開ける
「イッテいいわけねぇだろ!何やってんだお前ら!」
「ん?」
「え?」
「なんすか?」
「「?」」
扉を開けた先には確かにユイとベニマルが居た。しかし
「あれ、リムル様じゃないっすか!どうしたんすか?こんな所に来て?」
ゴブタを含む三人のゴブリン達も居た
ベニマルとゴブリン三人は椅子に座っている。ユイはベニマルの後ろから机を眺めている
全員で机を囲みながら座っている
麻雀卓に
「……マジで何やってんだお前ら」
何で麻雀やってんだよ!いや元凶は一人しかいないけど!
「リムル?どうしたんだ?夕飯足りなかったか?」
ユイがそんな的はずれな事を聞いてくる
「違ぇよ。そんなんじゃなくて」
「ん?じゃあどうしたんだ?」
「…………」
……言えない!二人がデキてるかもって思ったから突撃して来たなんて口が裂けても言えない!てか俺より優先する用事って麻雀!?俺は麻雀に負けたのか?
…………まぁいい。見た感じそうゆう感じじゃ無さそうだな。フゥ〜。よかった〜
とりあえず話を逸らそう
「てゆうか何でお前ら麻雀やってんだよ?」
純粋に疑問だ
「俺がカイジンとクロベエに頼んで作ってもらったんだ」
「やっぱりお前の仕業か」
そんなこったろうと思ったよ
「ちょっと前にゴブタになんか面白いゲームはないかって聞かれてな」
「聞かれてなって」
「作ったのがコレ」
ユイが麻雀卓を指刺す
「ユイ様〜!このゲーム面白いっすね〜!」
「だろ?熱を感じるだろ?ひしひしと」
「はいっす!めっちゃビンビン感じるっす!」
熱ってそうゆう意味かい!
「見ろリムル!
「力を貸してもらっています。リムル様」
ベニマルが丸い柄の牌を持ちながらそんな事を言う。
確かに丸い柄だけども、それは喜べば良いのか?まぁ全員嬉しそうだし別にいいか
「よく覚えてたな麻雀なんて、結構ルール難しいだろ」
「フッ。昔の話さ」
ユイが懐かしいものを思い出すように語り出す
「俺がまだ日本に住んでいた頃の話」
「この世界に転生する前の話か?」
「あぁ。俺の父親は無類のギャンブル好きでな。幼い頃、それこそ幼稚園に入る前から色んな賭博場に連れて行かれた。懐かしいな」
クソみてぇな親だな!?幼稚園入る前って、ヤバすぎるだろ
「時にはパチンコのアニメや映画を見せられ、時には乗馬体験をし、ボートに乗ったり、またある時は強面のおっさん達と麻雀をやったりとな」
マジのクソ親じゃねぇか!強面のおっさん達って、それどう考えてもヤのつく奴等だろ!
「父親曰く、何事も経験らしい。その仮定でルールを覚えてな、麻雀もその一つだ。良い親だった」
「どこが良いんだよ、どこが」
「実際それで家庭を支えていたからな。負けたところを見た事がない」
「えぇ〜」
それは良い親、なのか?破産していないなら…………いややっぱりダメだろ!
なんというか、コイツも苦労してたんだな
「それで麻雀、お前賭け事が好きなのか?」
父親の影響で
「いや?反面教師にしてるから寧ろ嫌いだ。破産してるヤツ見るとウワ〜って思うし」
「じゃあ何で麻雀やってんだよ」
「俺が熱を愛しているからだ」
「はい?」
熱?どうゆう意味だよ
(それよりもリムル、この盤面を見てみろ)
(ん?)
ユイがベニマルの手牌を見なが言う。
コイツわざわざ念話に切り替えやがった
(今は南の4場、オーラスだ。そして俺達のチームは最下位、一位との点差は凡そ二万。俺達は親ですらない、絶望的な状況だ)
確かに二万と聞くと中々に絶望的だな、逆転が不可能と言うわけでは無いがオーラスとなると
(コレが詳細だ)
ユイが点数表を見せてくる
〈ベニマルandユイ・・・14500〉
〈ゴブタ・・・17600〉
〈現親一位ゴブリン・・・34600〉
〈二位ゴブリン・・・33300〉
(何でこんなに負けてんだよ?)
(……俺が振り込んじまったんだ)
お前の所為かよ!そこら辺の強さは父親から引き継げなかったんかい
(でだ、今回の勝負は俺達とゴブタの一騎打ちでな、どちらかが一位を取るまで終われないんだ。ゴブタも今は三位、もし負けたら半チャンやり直しが決まってしまう。だから俺達は負ける訳にはいかないんだ!)
(何でだ?仮に負けてもゴブタも三位だからやり直しってだけだろ?)
(考えてもみろ。一度でもアイツの前で負けたら絶対に煽り散らかしてくる。耐えられるか?)
想像してみる
(……耐えられないな)
(だろ?だから俺達は勝つしかないんだ。そして逆転の手は既にベニマルの手の中にある)
再びベニマルの手を覗き込む
(こ、コレは!?)
(どうだ?熱い手だろ?)
(あぁ、確かにな)
今思えば、俺はこの時から、この場の熱に浮かされ始めたのかもしない
〈456
一見普通の手。タンヤオ、ピンフなどある程度の役は揃っているが、それでも逆転には届かない。だがこれは
(リーチ次第では、逆転も有り得るな)
だがそれは余りに低い確率
(熱いだろ?)
(あぁ、熱いな)
ベニマルの一打に見入る
「ユイ様。リムル様」
ベニマルが俺達に背中越しに語りかけてくる
「……俺は、幼い頃から不可能なんて無い。そんな風に思って生きてきました」
「「…………」」
ユイと黙ってベニマルの話を聞く
「ですが、最近はそれが思い上がりなのではないかと思い始めました」
「ベニマル」
思わずベニマルに声をかける
「しかし、守るべき主君を背にして、配下が、侍大将を預かるこの俺が、引くことが出来ましょうか」
「それは」
「わかっています。ただの遊びです、ここで負けたとしても、失う物は無い」
その通りだ、失う物は無い。だけど
「この街を守る者として、リムル様とユイ様を守る者として、遊び程度に賭ける事も出来ない奴が、皆を守れましょうか」
ベニマルの想い、熱が伝わってくる
「何より、一人の漢として、この一打に賭けてみたいって思うんです」
そうゆう意味だったのか。悪かったなユイ、ベニマル、邪魔しちまって。あぁ、そうだなユイ。確かにコレは熱いな
ベニマルの背を叩く
「イケ!ベニマル!最後まで見届けてやるさ!そうだろユイ?」
「あぁ!さっきも言ったな、イケ!ベニマル!」
「はい!」
掛け声とともにベニマルが点棒を投げる
「リーチ!」
リーチ、それは上がった時裏ドラを捲る事が出来る役。しかし、リーチをすれば降りる事は出来なくなる
誰かが言った
リーチは天才を凡夫に変えると
そしてベニマルに残されたチャンスは一発と言う、文字通り一発で当たり牌を引いた時に付く役
ベニマルの当たり牌は
「クックックッ、甘いっすね、ベニマルさん」
対面に座るゴブタが笑い始める
「なに?」
「分からいっすか?オイラは現在三位、今はオーラス。オイラも親では無い以上、ここで押す理由は無いんすよ」
「…………」
「ぶっちゃけ今回のオイラの手はあまり良くないんすよ。だからこんな局早く終わらせて次に行きたいんす」
ゴブタの説明は正しい。二人共順位が低く手が悪いのならさっさと次の半チャンに移った方が合理的だ
「そしてオイラはベニマルさん。アナタの上がり牌を看破したっすよ」
「ほう」
「ズバリ!4筒と7筒っす!そして高めが付くのは7筒すね?」
「…………」
ベニマルが黙る
「無言は肯定と取るっすよ」
スゴイなゴブタ!?本当に天才か?確かにベニマルの待ちは4筒と7筒。高めが付くのは一盃口狙いの7筒。ドンピシャで当たっていやがる!
「だったら話は簡単っす」
ドン!
ゴブ太が牌を切る。そしてその牌は、なんと4筒だった
「さぁ、上がり牌っすよ。早く裏ドラ捲るといいっす」
「…………」
ゴブタが裏ドラを捲るよう促してくる。だがベニマルは
「どうしたんすか?早く捲るっすよ」
「寝ぼけるなゴブタ」
「え?」
「続行だ。ケチな点棒など拾う気は無い」
「な!?なんだと、すか!?」
上がらなかった
「お、おい。いいのかベニマル?ここで上がっておけば少なくとも」
「リムル」
ユイが手で俺の言葉を制してくる
「シッ」
「ユイ」
……そうだな。確かに野暮な発言だったな。悪い
「リムル様。ゴブタは今、俺に振り込み、戦う手を降ろしてきました。ならば俺は進みましょう。奴が引いた分、前へ」
「ベニマル」
そこにはベニマルの確かな覚悟があった
「い、いいんすか!ここで上がらなかったらもうベニマルさんには一回しかチャンスは残されていないんすよ?」
「無論だ。俺は、己の運命を、この手で掴み取る」
「いいすっよ!そこまで言うならやってみればいいっす!」
ゴブタが何も言えなくなったのか席に座り直す
「イキます」
ベニマルが牌に手をかけ掴み取る
俺とユイは手を合わせながら見守る
ドキドキしてきたな
「…………」
ベニマルが掴んだ牌を親指で触り、感触を確認する
すると
「リムル様が七つ」
という事は、まさか
「ユイ様、こんな時は、確かこう言いんでしたっけ?」
「ベニマル」
「来ましたよ、ヌルりと」
「あぁ、そうだ、ベニマル」
「ツモ!」
ベニマルが7筒を引き一発でツモ上がる。マジかよ!本当に一発で引きやがったベニマルの奴
「裏ドラは!?」
焦って裏ドラを確認する
ベニマルが裏ドラを捲る
「あります」
てことは
「リーチ、一発、ツモ、タンヤオ、ピンフ、一盃口、ドラドラ」
ユイが役を数える。それってつまり
「倍満だ!点差が一位とひっくり返って俺達の勝利だ!」
「シャア!!」
「ちくしょう!負けたっす!」
ユイの発表に思わずガッツポーズをしてしまった
「ユイ様、リムル様。お二人共、俺を信じてくれて、ありがとうございます」
ベニマルが席から立ち上がり感謝を伝えてくる
「いやいや気にするなベニマル君!久々にいいもん見せてもらったよ。柄にもなく興奮しちまった」
「リムル様」
「そうだぞベニマル。俺に感謝する必要なんて無いぞ」
「ユイ様」
「そりゃお前の所為で負けてたんだからな!」
「あっ、バレた」
「「アハハハハハ!」」
何か色々と可笑しくてユイと笑いあった
「ヨシ!いいもん見せてもらった礼だ!飲みに行くぞ!今日は俺が奢ってやる」
「いいのかリムル?じゃあご馳走になります。ベニマルは?」
「では、有り難くご馳走になります」
二人共乗り気らしい。いいね!何か会社の頃を思い出すな
「じゃあ早速」
(リムル様!お逃げください!)
直後、急にソウエイから思念が届いた
「え?」
ギィィィ
「こんな夜遅くまで何をやっておられるのですか?皆様」
扉が開き、漂わぬオーラを放つ鬼が現れた
「「シュ、シュナ!?」」
どうしてシュナがここに!?
「ゴブゾウさんが教えてくれました」
ゴブゾウ!またかお前!
「お兄様の帰りが遅いので確認に来てみれば、これは」
シュナが麻雀卓に目を向ける
「お兄様、まさか賭け事をされていたのですか?」
「ち、違うぞシュナ!これは断じて賭け事じゃ無い!ただの遊びだ!」
ベニマルが必死に誤解を解こうとする
「遊び、ですか。こんな夜遅くまで?リムル様と?」
「ウッ」
ベニマルが縮こまる
どうしよう、悪い事した訳じゃないのに悪い感じがしてきた
「リムル様も、お兄様に誘われたとはいえこういう事は控えていただかないと」
「違う違う違う!違うぞシュナ!これはユイが始めたんだ!」
俺はこっそり着いてきただけだが
「ユイ様ですか?何処にもおられませんよ?」
「え?」
慌てて辺りを見回すとユイが消えていた。どこ行ったアイツ!?
「あの、リムル様。机にこんな物が」
「ん?」
ベニマルが気まずそうに紙を渡してくる。そこには一言こう書かれていた
〈幽霊のユイはクールに去るぜ〉
あの野郎!逃げやがった!
「全員、そこに直りなさい」
「え、いや、でも」
「直りなさい」
「「「「「はい」」」」」
俺はこの日学んだ
熱に浮かされすぎるのは
よくないと
ちなみにユイは俺の密告で後日シュナに絞られた
ヘッ、ざまぁみろ。俺より麻雀を優先した罰だ
TSオリ主転生者(仮名ユイ)
曇らせ初心者。まだ手当り次第に唆れるほど歪んではいない。見ず知らずの犬からどうやって曇らせを摂取しろってんだよ!
ちなみに現在過去一ピンチ!彼女は魂を卵と表現したが正確には違う。実際は卵の殻だけ状態、中身スカスカ、見てくれだけのハリボテ。残った1%の魂を引き伸ばして固めた飴細工が一番適した表現。
それを魔素のクッションで包んでいた訳だから、マジでいつ砕けて壊れてもおかしくない(;゚Д゚)!
実は少し未来の彼女とスライムは一緒に同じ庵に住んでいる。彼女が朝ご飯と夕飯担当、昼は皆で食堂で食べている。同居の際はスライムの無自覚な同居許可と彼女の言い訳で成立した。
どっかの金髪ドリルロリと同じ戦法で一緒に居ないと魔素の供給が滞るかしら!などと嘘八百を並べた。
その嘘を通すために大賢者先生と再交渉をし、結果演算領域の常時貸し出しで成立。先生にはもしスライムに嘘かどうか聞かれたら黙秘してもらう事になっていた。が、実際はスライムが普通に同居する気満々だったので彼女はまた無意味な縛りを結ばされた。先生には未来が見えているのかもしれない
異世界初心者スライム
やはり異世界初心者。オーラしかり、名付けしかり、未だ常識知らず。これから出会う魔物達に、一つ!一つ!君を!名付けにゆこ〜う!してもいいけど、その度に彼女が生死の境を彷徨う事に早く気づいてあげて!(>人<;)
尚、実際はしばらく気づかないものとする。
あのスライムって本当に前世モテなかったんですかね?顔は悪くないハズだし、ゼネコン勤めのエリートで高収入、人柄も優しい、後輩から慕われるくらいには人望もある。まぁそれが原因で死んだんだけどもw
……やっぱりモテてたのに気づかなかった鈍感鈍チン野郎だっただけじゃない?それか女性達が牽制し合ってたか。どうなんだろ?╮( •́ω•̀ )╭
それに前世の名前、悟だぜ?どっかの最強やどっかのアンデット骸骨と同じ名前なんだぜ?それでモテないの?
頼りになる大賢者先生
いつもの事ながら彼女の命の恩人(スキル)
先生がいなかったらマジで何回死んでいた事やら。
これからもお世話になります!先生!
彼女の幽霊と言う表現は、めっちゃ!簡単に言うと!
身体を失っただけ。
だからゴーストとは似て非なるもの別物です
忠実なる忠犬(予定)
君の名前はランガだ!ちょむすけじゃなくて残念だったね!もう少しで偉大なる紅魔の大魔法使い、その使い魔と同じ名を賜れたのに( 。í д ì。)残念....
未来の闇に舞い降りた侍大将
彼女とは男友達感覚で仲がいい。男女の友情とゆうか、お互いに脈が無いからこそ成立する関係ってあると思うのよ。お互い男女間の好意は一切皆無なので(ヾノ・∀・`)
もしもあったら最悪あのスライムがヤンデレ監禁ルートに直行する可能性があるからね!まぁ行き着く先は同じだけど。NTRれで脳が破壊される?!
脳が!脳が!ふるえるぅぅぅ!!
炎使いだからね!
テンペストで一番熱い漢よ、その熱に嘘偽りは無い!
未来の直感肌天才ゴブタ君
感覚派なので理屈が分からずとも、なんとな〜くの感覚でだいたい出来ちゃう。これだから天才は。今回の騒動はゴブリン相手に無双していたゴブタに彼女が煽られたのがきっかけ。煽られた彼女はゴブタにお灸を据える為に自分が知る中で一番熱い漢を連れて出陣した。
自分がギャンブル弱い自覚はあるので
遊戯屋 熱
彼女が生前(日本)幼い頃嵐の日に父親に連れて行かれた店の雰囲気を再現した店。裏路地から拘っている。
父親が強面のおじさん達と麻雀をしていたのをよく覚えている。何故よく覚えてるいるのかというと父親が泣きながら謝ってきたから。
なんでもタンポポを賭けて勝負していたらしい
会話を一部抜粋(彼女の記憶では)
「すまない、すまない、すまない」
「パパ?」
「このガキがてめぇのタンポポか?クソ親父?」
「あぁ、この子をタンポポにする」
「自分のガキをタンポポにするとは、本当にどうしようもねぇ親だな!いいぜ!そんなガキでも捌き用は幾らであるからな!」
「すまない、必ず勝つから」
「パパ!頑張れ!」
「アハハハ!お前には勿体ないガキだな!」
大人ってそんなにタンポポ好きなのかな?と幼稚園に入る前の彼女は思ったとか