宇宙猫文明ダイス(テスト)スレ・小説版   作:フィークス2号

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キャラクター紹介


王様

にゃんこ王国の王様。
今作の主人公

王妃様

王様の妻。名前はターニャ。
軍人でもある。

リオーネ副大臣

王国の優秀な女性政治家。
夫と子供の為に家族サービスをこなしつつ、政治家として王国を支える。


カラバリ監督

建設現場の監督猫。
最近、統率スキルがメキメキ上がってきた。

プロブレム作業員

建設現場で働く猫。
プロブレムという名前の改名を考えているが、
ファミリーネームなので流石に躊躇している。


2話 軍人「軍拡!軍拡!軍拡!」王様「はい……軍拡……できませんでした……」

 

 

 

 

 アンバルー星系にて星系管理ステーションを完成させた現場監督猫。

 彼女はその後も順調に、にゃんこ王国の星系開拓の要である「星系管理ステーション」を次々と建設していた。

 

 数多くの実績を持ち監督としての経験を積んだ彼女は、

 より効率的な建設方法や、

 現場で働く建設員のやる気を引き出すテクニックなどを身につけた。

 

 しかし、いかに現場猫監督に才能があり、現場の建設員たちの士気を高める方法を心得ていても、建設現場で働く猫たちの疲労は溜まっていくものだ……。

 

 


 

 

 「あの……カラバリ監督さん。ちょっとお願いがあるんぬ」

 

 現場監督を務めるカラバリ氏(現場監督猫)に、中堅作業員がおずおずと声をかける。

 

 「ああ、プロブレム作業員さん。どうしたんぬ?また何か問だ…困り事でも起きたんぬ?」

 

 声をかけた中堅作業員の名前はプロブレム氏であった。

 プロブレム氏と初めて出会った時に自己紹介で「プロブレムです」と名乗られたが、

 カラバリ監督は「問題(プロブレム)です」と言われたと思い身構えてしまった過去がある。

 

 プロブレム氏も自己紹介するたびに相手が「問題です」と言われたと勘違いし、身構える事はよくあるようだった。

 

 そして最終的に、彼女の前で「問題(プロブレム)」というワードを使うとややこしいので、自然と別の言い回しを使うようになっていた。

 

 

 そしてそんなプロブレム作業員は、申し訳なさそうに現場監督猫のカラバリに言う。

 

 「いえ、困り事というわけではないんぬが、家族の誕生日があって休暇を頂きたいぬ……。

 今が繁忙期だという事は承知しているのですが、そろそろ家族にも顔を見せてやりたいんぬなぁ。」

 

 そう言われてカラバリ監督猫は気がついた。

 プロブレム作業員はここ数ヶ月繁忙期のせいで、ろくに休暇らしい休暇をとっていない。

 無論、休みの日はあるが故郷に帰省するには不十分な短い期間の休みだけだ。

 

 「確かにプロブレムさんにはよく働いてもらってるんぬから、そろそろ本格的なお休みをとるべきなんぬ!

 ぬの方でも色々とスケジュール調整してみるんぬ!」

 

 それを聞いたプロブレムはとても嬉しそうに感謝した。

 

 「カラバリ監督……!ありがとうなんぬ!」

 

 そして、カラバリ監督はプロブレム氏の長期休暇を獲得する為に、いろいろな情報を確認したのだが……。

 

 

 

 

 

 「みんなずっと働き詰めなんぬ……。

 プロブレム氏以外も、ここ数ヶ月故郷に帰れてない猫ばっかなんぬ……。

 

 あまり気が付かなかったけど、徐々に効率も落ちてるし、みんなの疲労が溜まっててヤバいんぬ!」

 

 カラバリ監督は大慌てで上司に相談したのであった。

 

 

 


 

 

 

 建設現場で働く猫たちの疲労が溜まっている話は、現場監督猫の上司とそのまた上司、そして間に複数の猫を挟んで最終的に『にゃんこ王国』の王様の耳にまで届いていた。

 

 

 「好景気に伴い、支配宙域拡張のために大規模な開拓や星系管理ステーションの建設を行ってきたが……。

 流石に急ピッチすぎたか?」

 

 王様である猫は、情報端末であるタブレットを肉球で操作しながら、この現場作業員猫達の疲労問題を重く受け止めていた。

 

 (現場の疲労が溜まれば、当然作業効率落ちる。

 それだけで無く疲労はそのまま建設作業員達の不満に繋がり、最終的に建設業で働く猫手不足に至るだろう。

 

 そしてその猫手不足がさらなる効率の悪化につながる。

 

 それだけはなんとしてでも避けなければ!)

 

 王様は政治や経済が得意なわけではないが、この好景気が支配宙域拡大に伴うものである事を認識していた。

 もしここで支配宙域拡大に歯止めが掛かれば、景気後退に留まらず国民の開拓精神の高まりにも水を差すだろう。

 そうなればフェザーン星系開拓も遠のいてしまう。

 

 

 (肉体的であれ、精神的であれ、疲労が溜まる事はそのままパフォーマンスに支障が出る問題だ。

 俺も軍備の手薄さに関する問題について、王妃であり俺の妻でもあるターニャから無言のプレッシャーをかけられて精神的に疲労している。

 そのせいで少し不調気味だから、疲労問題の深刻さはよくわかる。

 

 軍拡の問題と建設作業員不足の問題、あまりにも解決すべき問題が多すぎて困るな。

 どうにかまとめて問題を解決する方法ないものか……)

 

 

 そう王様が考えていた時、ふとあるアイデアが浮かんだ。

 

 そして王は大臣のナバーロや副大臣のリオーネ、他にも様々な政治家と相談して、自分のアイデアを実行する算段をつけた。

 

 ……と言っても、政治家達の評価としては軍備の手薄さの解決にはあまり貢献せず、焼け石に水程度の効果しかないと言われたが。

 それでも王は「建設現場の作業員不足の解決には十分な効果がある」とお墨付きをもらったので、その政策を実地することに決めた。

 

 

 


 

 

 

 「やったんぬ〜!休みなんぬ!」

 「待つんぬ!シャトルには1匹ずつ乗るんぬ!駆け込み搭乗は控えるんぬ!」

 「了解なんぬ!あ〜故郷が待ち遠しいんぬ!」

 

 「持ち物確認ヨシっ!忘れ物なしヨシっ!」

 「本当に大丈夫なんぬ?ここで忘れたら次は別の現場で作業するから、忘れ物の配送料金がかかるからしっかり確認するんぬ!いつも休みの日に遊んでるゲーム類もあるんぬ?」

 「あっ!忘れてたんぬ!カラバリ監督!ありがとうなんぬ!」

 

 「カラバリ監督〜!ぬが乗るシャトルは287番だったはずなんぬが、今来てるのは289番なんぬ。287番はどうしたんぬ?」

 「287番はもう出発したんぬ……。どうして3回アナウンスがあったのに乗り遅れてるんですか?」

 「え?もうぬはおうち帰れないんぬ?どうして……」

 

 

 

 星系管理ステーションを建設するために作られた、宇宙空間に漂う仮設作業ステーション。

 その仮設作業ステーションにある、帰還用の宇宙船に乗り継ぐためのシャトル(小型の宇宙空間移動用船)の発着場。

 このシャトルベイ(シャトル発着場)には、多数の猫達がシャトルに乗ろうとひしめき合っていた。

 

 多くの猫達が集まり大騒ぎになっている中、カラバリ監督はまるで子猫達の面倒を見る親猫のような振る舞いで、作業員達を統率していた。

 

 そして数多くのにゃんこ達はシャトル経由で帰りの宇宙船に乗り、無事に帰郷を果たし、休暇を満喫したのだった。

 

 その中にはカラバリ監督に帰郷のための休暇を申し出た、プロブレム作業員の姿も含まれた。

 

 

 故郷に帰った作業員の猫達と入れ違いで、仮設作業ステーションにやって来たのは、軍隊に所属する猫達であった。

 

 

 

 「お初に目にかかります。

 我々はにゃんこ王国軍所属、特務工兵隊です。」

 

 カラバリ監督はしっかりと敬礼をする軍の工兵達に気圧されながらも、挨拶を返した。

 

 「は、はじめまして。カラバリです。」

 

 そしてカラバリ監督に対して軍猫たちは、礼儀正しく重みのある言葉で言う。

 

 「帰郷した作業員たちの代わりに、我々が星系管理ステーションの建設作業を手伝うことになりました。

 ご指導の程よろしくお願いします。」

 

 

 

 

 


 

 

 

 支配宙域拡大のために行われるステーション建設作業急増、それに伴う建設員の労働力不足の問題。

 

 そして宇宙軍の脆弱な現状。

 

 にゃんこ王国の王様はこの二つの問題に対して、

 軍部の宇宙工兵部隊を追加で大量に増設し、

 その宇宙工兵部隊をステーション建設任務にあたらせることで問題を解決しようとした。

 

 この作戦は部分的には成功を収めた。

 

 宇宙ステーション建設の猫手不足問題は、大幅に改善。

 無事、現場の建設作業員猫達は休暇を取ることができた。

 

 しかし……

 

 

 

 

 「だから言ったではありませんか陛下、

 ステーション建設作業員の猫手不足問題は解決できても、

 軍の脆弱性の解決には効果が薄いと」

 

 執務室で顔を顰める王様に対して、女猫のリオーネ副大臣は出来の悪い生徒のテストを返すかのように語る。

 

 「だが、軍の問題も5%くらいは改善しただろ」

 

 王様は現実逃避気味に呟く。

 

 「元が低すぎるだけです。

 今までの軍の出来が35だとすると、この政策では37に増えた程度ですよ。」

 

 副大臣の淡々とした説明を聞かされて、王様は力なく項垂れる。

 

 それを見てリオーネ副大臣は、咄嗟に彼を励ますかのように成功した部分の話をした。

 

 「でもまぁ、支配宙域拡大政策に関してはとても素晴らしい効果があったと思いますよ。

 貴方の思いつきにしてはよくやった方だと思います。」

 

 「……俺を励ましてくれるのか?」

 

 それを聞いたリオーネ副大臣は微笑みながら言った。

 

 「ええ、これから貴方の愛しの王妃様が、私の代わりに軍の脆弱性の問題について糾弾してくれるでしょうからね。

 ただ勘違いしないでください。

 私が貴方に優しくするのは、媚びへつらう奸臣になる為でも、ましてや貴方に惚れてるからでもありませんよ。

 私の愛する男は別にいますので。」

 

 王様は苦笑しながら言った。

 

 「君が夫一筋なのは分かっているさ。」

 

 王様はリオーネ副大臣が家族サービスの為に、週に一回は必ず家に戻り夫や子供達のために良き妻、良き母として振る舞っていることをよく知っていた。

 

 

 ふとその事実を思い浮かべた際に、王はリオーネ副大臣が自分を褒めたのを、家族に会いたがってる建設作業員達の望みを叶えたからなのではないかと、軽く考えたのであった。

 

 

 

 

 

 

 


 

 

 ちなみにその後、支配宙域拡大継続が明らかになったことで好景気の持続が確実視されたことで、

 リオーネ副大臣を始めとする王国の政治家達は、軍事予算枠の拡大を承認した。

 

 その隙をついて王様が、愛する王妃の怒りをこれ以上買わないために急速に軍隊を拡大して、経済界の重鎮達をキレさせそうになるのはまた別のお話……。

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