「大丈夫か!一旦ここは諦めるぞ!」
健成が一生懸命立ち上がる。
「いい店があるから、行こう。」
健成がそう言うが、惣太郎は納得せず健成を引き留める。
「何言ってんだ!まず病院だ。早く行くぞ。」
「だめだ。病院は。また幸崎先輩におこられる。他のほうほうで体をなおす。」
仕方なく健成の向かう方へゆく。
通りを少し進み、裏路地に入り込む。
奥に進むと、feecofeというおかしな名前の店があった。
「この店だ。幸崎先輩のお気に入り。入るぞ。」
人は少なく、若い店員一人だけがいた。
広いが人気のない、隠れた名店のような雰囲気だった。
「ここは幸崎先輩のお気に入りだ。」
まさか店とは。驚いたが、健成に合わせその店に入った。
「またあなたですか。新しい客は来ないなぁ。」
若い店員が憂うように言う。
健成が、真っ先に窓側の席に座る。
惣太郎も座り、口を開ける。
「ごめん!」
健成が急に頭を下げる。
まさかそんなことを言うとは全く思っていなかったので困惑した。
「俺はずっと、戦う時は幸崎先輩のしじでうごいてた。しじがないとうごけない。きょうりょくして動こうと言われたとき俺は何もできなかった。リーダーになりたいのに、これじゃだめだよな。」
「気に病むことなんてない。イマジン、、だっけ。あの怪人を追い払えたし、致命傷を与えたから大丈夫だろ。あいつ強かったし。」
そう言って、メニューを取ってどれにしようかといいながら昼飯を探す。
健成にもメニューを渡そうとする。しかし、健成はそれを受け取らず淡々と話し出す。
「イマジンは逃がしちゃいけないんだ。あいつらは人間とけいやくをむすび、けいやくしゃのねがいをかなえるんだ。そしたら、かこにタイムスリップする。かこににげられたらもう倒す方法はない。しかも、さいごのいちげきもはずした。」
メニューの上からしかめっ面を惣太郎がする。
過去に行く?そんなこともあんの?
そう考えて、事態の危険性と状況が分かってきた。
「待ってくれ、じゃあその、詰みってことか?過去に行く方法はないのか?」
「あるっちゃあるけど、むり。」
「やばいな、、まぁでも、てっきりすねてたのかと思ったよ。俺があんな風にお前が仮面ライダーであることを否定して、俺も少し言い過ぎた。すまん。」
そういって頭を下げる。
「きらくだな。頭を下げるひつようなんない。俺は仮面ライダーになるべきじゃないかもしれない。お前のいけんもあってるとおもうし。でもいちおう法律はだいじょうぶらしい。ほうりつの穴っていうか、想定していないっていうか、まぁ。仮面ライダーののうりょくをマスター!カフェオレ2つ!」
さっきの若い店員に言う。
大きな声で手を挙げて、コーヒーカップを磨くマスターに声をかける。
しかし、マスターが不満そうな顔で近づいてきた。
「コーヒーメインのカフェなんで。そんなカフェオレばっか飲まないで、今回はもういいが、コーヒーを飲んでくれ。おい、そこの連れも、今度はコーヒーな!」
そう言って、吹き抜けている調理場で、圧倒的な手さばきでカフェオレ粉を取り、完璧な目分量で牛乳を入れていく。
そしてよくわからない素材をいくつか入れ、小さなスプーンでかき混ぜる。
そしてカフェオレを二つ机に置く。
健成が息を吹きかけカップを揺らした後、口に持って行く。
「俺にとっちゃ法律なんて関係ないぜ。うますぎる。なんだこれ。びっくり。」
舌の上に豊潤な香りが広がる。
あまりにおいしすぎて声が出る。
まさに、人生最高のカフェオレだった。
「うまいだろそれ。おだいは俺がはらう。こんかいのことは幸崎先輩に言うよ。でも戦ったことはないしょにしろよ。またれんらくするから。」
そういって机に代金を置き、足早にカフェを出て行った。
カフェオレとは裏腹に状況はあまり良くなかった。
マスターにおいしかったと伝え、そのままでていく。
「おかえりー。最近遅いな。」
家に戻ると、賢智がこたつで一人スマホを見ていた。
寒い外に比べて暖かい部屋に入ると、不安な気持ちが少し和らいだ。
「さっちーか。咲良はいないのか?」
「咲良は就活で忙しいんだ。俺らとは違ってしっかりしてるからねー。てかお前も最近出歩いてるけどなにしてん?」
惣太郎は少し悩んだ後、こたつに入って言い訳する。
「めっちゃバイトしてんだよ!なんていうか、、、お金はいいだろ!」
賢智が目を細め、怪しむ声で言う。
「お前は嘘が下手くそかよ。ま、べついいけどよー。いってくれてもいいのにおー。」
そういってテレビをつける。
「少し相談があるんだけどいいか。」
惣太郎が神妙な面持ちで言う。
「なんだよ急に。簡単な相談で頼むぞ。」
少し重々しい空気を感じ取り、少しふざけた感じで賢智も答える。
それを聞いて少し安心し、少し考え口を開く。
「例えばなんだけど、自分が大工だとする。そこに13歳ぐらいのこも大工をしていて、危険だからやめろって言ったんだ。でもそいつには才能があって、どうしてもやりたい、俺の夢なんだって言うんだ。こういうとき、お前ならどう説得する?」
それを聞いて、賢智が難しそうな顔をする。
「ああな。意図は分からんが。俺に聞いたのが間違いだったな。説得って言い方をみると辞めさせたいんだろうけど、俺は違う。昔話になるけどよー。俺には弟がいたんだ。あいつが中学校のとき、漫画家になるとかいいいだして、俺と母さんが全力で否定したんだ。母さんが筆を取り上げたら、あいつでてっちまってそれっきり。」
少し悲しそうな顔をした賢智が淡々と話す。
「知らなかった。お前に弟がいたなんてね。」
「ああ、この経験から年下の奴からの夢を否定できねぇんだ。夢ってのは否定されると簡単に薄れる。だからしっかり支えてやらないと俺は気が済まない。そういう奴を見たらな。危険なら俺らが守れば良い。危ないときは助ける。それが俺の答えだ。」
言い切ったような顔でこっちを見る。
なぜか、目を輝かせている。
賢智の話を聞いて、惣太郎も少し考える。
「ああなるほどな、分かった。お前に相談するのは、間違いだってことが分かったよ。風呂入ってくる。」
冗談交じりに惣太郎が言う。
賢智が不服そうな顔をする中、頭の中で考えが巡る。
風呂の湯気が巡る思考を包み込む。
賢智の言葉を聞いてなにか答えが出た気がした。
そして、その答えは自分でもかなり傲慢だと感じる答えでもあった。
風呂から上がると、トランシーバーに次の命令が出ていた。
「よし、惣太郎も来たから、全員集合だな。それじゃあ作戦を提示する。俺とマリンでイマジンを探して倒す。お前らは契約者を講演中に出てくるだろうから、監視しろ。」
落語家の講演がある小さな舞台前で、集合した二人に作戦を言う。
三十人ほどの人だかりで、軽く賑わっていた。
「おれらはかんしですか?めんど。」
「俺一人じゃ頼りないからな。やばかったら呼ぶから。」
そういうと、惣太郎と健成は、会場内に足を運ぶ。
少し狭い会場の席はすでに満席で、若い世代の人も多いと感じた。
「けいやくしゃはおそらく、おおくの客の前でらくごをしたいというねがいだろう。おとなしくらくごを見たあと、ひかえしつに入ろう。」
「控え室?許可なく入れるのか?」
そう言う惣太郎に健成にため息を吐く。
「SABETのけんりょくってやつだぜ。きけんだから少し見せてもらうって問いかけたんだろうな。てかお前、俺が仮面ライダーになるのはんたいじゃなかったのかよ。」
それを聞いて、少し考えて話し出す。
「俺は、あんま否定すんのはよくないなって思ってな。俺も含めて、SABETの人達みんなで守ってやろうと思うんだ。今はそう思っとくよ。傲慢なのも分かってる。」
「バカだな。なんかうざい。俺の思いを分かった気になるな。守られてライダーをするつもりはない。」
話をしていて気づかなかったが、照明も落ち、いつの間にか講演が始まっていた。
舞台の上には、新しい玩具を買ってもらった子どものように、夢中で落語をする蛙屋三平がいた。
「あんまいいたくなかったけど、俺は6さいのとき両親を怪人にころされた。親をなくして、ずっとしせつでくらして、弱くてみじめだった。怪人が憎くてたまらなかった。そんなとき、仮面ライダーに覚醒して俺は、、、たしかに俺の仮面ライダーは弱い。でも、人として強くなってやる。そしたら、ライダーとしての強さもついてくる。弱いまま強くなってやる。」
まさか、健成も自分と同じ境遇だったんだ。
周りの人が笑っている、どうやら笑いどころのようだ。
だが、今は少し耳障りに感じる。
「俺とおなじだ。俺も若い頃に育ての親、いや、父さんを怪人に殺されたんだ。なんかお前のことも分かったよ。」
トランシーバーの音が急に鳴る。
講演中で、周りからの視線を感じ、二人が慌てて電話に出る。
「問題発生だ。至急来てくれ!」
周りから衝突音のような音が聞こえる。
「いそいだほうが良さそうだな。」
健成がそう言うと、慌てて幸崎先輩のもとに向かった。
外に出て、先を進むと、槍をもって床に倒れている幸崎先輩の姿があった。
「気をつけろ。敵は仮面ライダーだ!」
幸崎先輩が言った。
敵を見ると、驚くことに仮面ライダーがいた。
黒いからだに、体に通っている白い流線。黄色い鋭い目。
ベルトを着けており、一目で仮面ライダーだと分かった。
「なかなかやるが、変身する仮面ライダーが弱い、残念だったな。別煽ってるわけではないが。」
そう言って、腰に掛けた銃の武器を手に持ち、顔に近づけ言う。
「あいつは仮面ライダーデルタ。銃の武器があるから気をつけなよ!」
マリンが二人に言う。
敵はマリンを軽く睨み、腰についている銃を手に取る。
「ファイア。」
銃を顔の前に構えて言うと、バーストモードという音が鳴った。
「早く変身してくれ。時間がなくなるぞ。」
敵のその一言を聞いて、二人が変身する。
コピー!ペースト!!
フィストオン!!
変身した二人に、早速デルタの撃った銃撃が惣太郎に当たる。
健成がそれにかまわずデルタの元へ走り、ベルトからナックルを取り殴ろうとする。
しかし、銃を持っていない片手でナックルをつかむ。
そのままナックルを奪い取り、空中に投げ銃で撃ち抜き破壊する。
驚いたのも束の間、そのまま健成が回し蹴りを喰らい、そのまま吹き飛ぶ。
「私が戦いに来たのは、仮面ライダーレガシーだ。さぁ、かかってこい。」
手を広げ、惣太郎の攻撃を待つ。
「くそ。じゃあいいよ、受けて立ってやる!」
惣太郎がそう言って、石版剣を取り出し、健成と同じように走り出す。
ステータス表示
仮面ライダーデルタ
変身者 ???
使用ポイント 30
・スマートブレインによって、初期に開発されたベルト。
オルフェノク以外も使用できるが、変身者を凶暴な性格にしてしまうというデメリットがある。