転生したらかませ犬らしい件   作:友達の友達

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もっとやりたい展開があるのになかなか前に進めない。
やはり見切り発車はだめですね。


セレナ、デビュー戦

 本戦はトーナメント方式で行われるようだ。必要なことだけ抜粋すると、本戦開始は明日の7時から。1日目と2日目は1回戦16試合を行い、3日目に2回戦8試合を行う。

 

 そして最終日...4日目に準々決勝4試合、準決勝、3位決定戦、決勝戦が行われる。賞金は3位に300万、2位に500万、1位に1000万Jと『歴代最高の優勝賞品』が貰えるそうだ。

 

 「俺の出番は2日目の第16試合目か。また暇になってしまった」

 

 ちなみに今は文無しなので宿はとっていない。仮に持っていたとしても大会が近いため、宿はどこも空いていない。もっとも俺は、食事は水と風、最悪、土と石があれば十分だし、風呂は地面を切り抜き、金剛竜の魔力で大理石を敷き詰め、水と炎で湯を沸かし、周囲を闇で目隠しすることにで簡易的な温泉を作ることができる。あと、俺は魔力操作による超回復と独自の睡眠方法により極度のショートスリーパーとなっている。ぶっちゃけ眠る必要はない。

 

 だらだらと語ったが、出番が来るまで街から離れていつも通り鍛錬を重ねることにした。

 

 そして二日後。すでに夜中の時間で俺に出番が回ってきた。

 

『魔闘演武2日目。最後の試合がやってきました。第16試合、予選を8位で通過しました『雷響』の異名を持つ魔剣士、ラウド・スパーク!!!!VS、予選1位通過、突如この闘技場に現れた謎だらけの子ども、セレナ!!!!』

 

 司会のアナウンスに合わせ互いに入場する。向こう側の観客が湧き立ち歓声が上がる。対してこちら側はヤジとブーイングが目立つな。俺の予選結果を不服に思うやつが多数いるようだ。

 

 腰に片手剣を差した10代後半の青年といった感じだな。相手は雷を使うのか。だったら同じ土俵で相手をしてやる。

 

「セレナくん。きみの力は予選で見させてもらったよ。油断はしない。全力で君を倒す」

 

 どうやら同じタイミング予選を行っていたようだ。勇ましいことだが丸腰の子ども相手では締まらないな。

 

「そうか。俺も(この世界で)初めての対人戦だ。楽しませてもらおうぞ」

 

 ちなみに故郷でのあれはノーカンだ。

 

『試合時間は30分。どちらかが戦闘不能となるか降参することで決着とします』

 

 審判が試合の流れを説明すると、腕を構えて開始を告げる。

 

『それでは両者構えーーッッ!!...始めッ!!』

 

「雷走剣・落雷!!」

 

 ノータイムでラウドは雷速の如し距離を詰め、脳天に剣を振り下ろしてくる。俺は半歩踏み込み回避し、襟元をつかみ投げ飛ばした。

 なるほど、魔力量は大したことないが速度で補うタイプか。

 

 驚く相手をよそに右手に魔力を練っていく。

 

「(名前はたしか...) 雷造形魔法(サンダーメイク)ソード」

 

 そういって黄金色に輝く雷の剣を作り出した。厳密には造形魔法ではなく、魔力操作と性質変化により生成した剣だ。

 

 宙へ飛び上がりラウドへ切りかかる。現在セレナの体格はお子さまサイズなため、打ち合いができない。そのため足元の漂うエーテルナノを固めて足場を作りリーチ差をうめて剣戟を行っていく。

 

「きみは造形魔導士だったのかい!?しかも剣術まで!?」

 

「剣を振るうのは久しぶりなんだ。悪いが錆落としに付き合ってもらうぞ」

 

 観客には手元の残像しか見えないであろう速度で剣と剣がぶつかり合い、火花が散っていく。撃ち合うたびに体に電流が流れるが、生まれた時から浴びていたため、例え魔力を使わずともノーダメージだ。

 

 ふむ、魔導士との戦闘は相手の無力化というより魔力の削りあいだな。基本的には魔力量の多い方が打ち勝つようだ。もちろん相性と技量次第では、魔力の多い相手にも適う可能性はある。そして何より、その魔力を無駄に散らすことなく扱う、魔力操作が肝だ。

 

 ちなみに前世の友人…『シャドウ』が渾名のあいつ相手に、月に一度勝てる程度には得物を扱える。逆に素手の殴り合いではギリギリ勝ち越している。…毎回満身創痍だがな。

 

 鍔迫り合いから一転して距離を取ると、手元の剣を投げつけた。ラウドはギョッとしながら首を捻ることで迫る剣を避けたが、その隙に飛び蹴りをあびせ吹き飛ばした。

 体が地面を数メートルはえぐり取ったが、気合で立ち上がったようだ。

 

「背中ががら空きだぞ。『サンダーランス』」

 

 そこで、すかさず先ほど投げ飛ばした剣を雷に戻すことで、避雷針に見立てた右手に落ちてくる。

 当然、その間に立つラウドを貫いた。不意の一撃を受けて流石にダウンかと思ったが、ぎりぎりで踏ん張り持ち直したようだ。

 

「ま、まだだァァ!!!!全ての魔力を注ぎ、君に勝つ!!!!!」

 

 全身から魔力が立ち昇り魔剣へと集約されていく。掲げられた剣は雷を帯びてバチバチと会場中に響き渡り光を放つ。

 

「凄まじい気迫だな。ならば、こちらも本気を出さねば無作法というもの」

 

 相手の執念に敬意を払い、魔法の正体を明かすことに決めた。

 

「くらえセレナぁ!! 雷走剣・雷響ォォォ!!!!!」

 

 振りぬかれた剣からは、魔力の斬撃が飛び出しこちらへ向かってくる。だが惜しむべきは魔力に雷を纏わせたことだな。

 

 斬撃は轟音をあげ、セレナを飲み込んだ......かのように見えた。だが実際には斬撃がセレナに飲み込まれていた。斬撃は勢いを失い、吸収され、全てセレナの腹に収まった。

 

「ふぅ。食ったら力が湧いてきた」

 

 

 

「.........はっ?い、いったい何が起こって???」

 

 全身全霊をかけた一撃を食われて混乱から抜け出せないようだ。もう余力もなさそうだし終わらせよう。右手に雷を纏い打ち出した。

 

「『雷鳴竜の制圧雷砲ゥ』!!」

 

 着弾した雷は轟音をならしながらドーム状に広がり、ラウドを飲み込んでいった。雷が収まると、クレーターの中心でラウドは気を失っていた。

 

『し…試合終了ゥゥゥ!!!!!勝者、セレナァァ!!!!!圧倒的な実力を見せてくれました!!この年齢で雷を操る彼は一体、何者なんだァァァ!!!!』

 

 響き渡る歓声を背に受け、満足しながら会場を後にする。それにしても魅せ試合を意識しすぎた。まだ1回戦なのに決勝戦のテンションみたいになってしまったぞ。

 あの選手、主人公ムーブしすぎだろ。

 

 次からは遊び抜きで戦うことに決めた。




 これからは後書きにセレナの竜と技について解説させていただきます。

 雷鳴竜の滅竜魔法 セレナが6番目に入れた魔法。

・雷鳴竜エクストール

 積乱雲を広げて縄張りを拡大している。暴風竜が雲を散らしてしまうので、よくケンカ
 している。

・雷鳴竜の制圧雷砲

 ドーム状に広がる雷球を打ち出す技。分かりやすくいえば炎熱地獄の雷バージョン。
 
 
 
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