こっちの方がしっくりしますので。
そして大変お待たせいたしました。
「ワハハハハハ!! 儲けたぜ」
小さな体では抱えきれないほど札束の詰まったケースを背中から延ばした石の竜で持ち上げ、サイズの合わない煌びやかな宝石が散りばめた王冠をタスキ掛けにして闘技場を後にする。
街について早々にまとまった金に稼げたのは運が良かった。俺の魔法をだいぶ見せてしまったが必要経費として受け入れよう。
にしてもギルダーツは強かったな。滅竜魔法と再生力がなければとても敵わなかった。
などと考えながら背伸びをして月明かり浴びる。闇黒竜が夜の闇を喰らい、閃光竜が星と月明りを吸収する。流石に皮膚から吸収すると回復効率かなり落ちるな。しかし二頭の竜のおかげで夜でも魔力を回復したい放題だ。
おかげで飲まず食わずでも生きていけるが、それはそうと飯食いてぇ。
「そんなわけでそこ退いてくれるかなオジサンたち」
闘技場を出て少しの開けた開けた広場に出ると、結構な人数の魔導士に絡まれた。
「そうはいかねえなあ、ぼくちゃん。ここからは敗者復活戦だ!!!」
ニタニタ笑いながら武器を構え囲んでくる。
「よーするに予選落ちの負け犬くんがハイエナにクラスチェンジするわけね。子ども相手にカツアゲとか恥ずかしくないの?」
「なんとでもいえ!!! 賞金は俺たちのものだぁ!!!! かかれぇぇ!!!!」
バカどもが。
「"闇黒竜の
セレナの足元から大量の黒い粒子が展開される。
広場一面に広がった闇が、魔導士たちを吞み込んでいく。
「ひぃ、なんだこれは!!? あ、足が沈んでゆく!?」
「広場をぶっ壊すわけにはいかんからな。そのまま沈んでくれると助かる」
最後の一人が喚きながら闇に吞まれる姿を確認する。
確認するやいなや、雷速で城壁を駆け上り外へ手をかざす。
「”
再び宙に発生した闇から、ひっくり返したバケツのように魔導士たちが落ちてくる。
一人、また一人と山のように積み重なっていった。
「今日は気分が良いんだ。殺しやしねーよ」
闇の引力で手足がへし曲がり呻いている敗残兵の山を一瞥すると、セレナは城壁を飛び降り暗い裏通りへ消えていった。
「うし、闇の引力及び空間は再現出来ているな」
裏通りを歩きながら拳を握りしめ手応えを感じる。
魔力の性質変化によって"ヤミヤミの実"の引力はおおよそ再現出来ている。しいていえば、相手に触れても魔法の発動は防げないことぐらいだな。
だが、"透き通る世界"に入って魔力回路を探し出し、そこへ魔力を流し込んでやれば再現可能だ。
最も"透き通る世界"は消耗が激しく、まだまだ長時間は入っていられねえ。おまけに流し込む魔力も触れている間は大量に消費する上身動きが取れなくなる。ボツってほどではないが使う機会はほとんどないだろうな。
ま、別にかまいやしねぇがな。ワザワザそんなことする前に方がつくだろうし。
それに闇黒竜の本質は『全てを無に還す"闇の引力"』・・・ではない。
「それより飯だ。生まれて初めてまともな食事ができるぜ!!」
今の今まで、薬・炎・水・風・土・石・雷・闇・光という水以外は人として終わっている食生活だったのだ。
今日くらいは贅沢に腹いっぱい食べてぇ。
時刻は既に深夜を回っている。この時間帯にやってる飲食店は酒場ぐらいだろう。何枚かお札を抜いてから、金の入ったケースと王冠を引力を切った闇の中にしまい、ここに来てある程度目星をつけておいた酒場へ足を運んだ。