ラクリマの移植実験当日。移植方法はまさかの丸呑みであった。本来であれば直接身体に埋め込む形になるのだが、この実験では魔力を暴走させたラクリマを覚醒状態で取り込むことにより、長時間かけて体内で結晶を分解し、吸収することで滅竜魔法を会得しようという試みらしい。
ちなみにラクリマを分解することに失敗すれば全身燃え尽きて死亡するといわれた。
まあ今更そんなことは気にしないため、躊躇なく飲み込んでやったが、その瞬間、全身が燃え上がるような膨大な魔力が駆け巡っていった。
だが前世から今日まで魔力制御の訓練を行ってきた俺は、この膨大な魔力を10分あれば制御することはできるが、さすがに研究者どもに不審がられるため、もだえ苦しむふりをして1週間かけて、魔力に焼かれながら魔力を制御することにした。
ちなみにラクリマはこの1週間の間に分解し吸収されていた。研究員たちも成功した前例のない実験のためこの結果に納得はしてはいた。これはラクリマの魔力を体験した俺個人の意見だが本来はもっと長い年月をかけて分解するものだと思う。
まあなんやかんやで俺は煉獄竜の滅竜魔導士になれた。その後は、いつも通りの拷問じみた訓練をしながら魔法の修行を行っていった。
そうそう、この世界において魔力の生成の仕方だが、大気中に含まれるエーテルナノという魔力の源である気体を吸収することで、体内で魔力を生成されるようだ。だが俺は、滅竜魔法のラクリマを全て分解し吸収したことによって、体内でエーテルナノが発生する体質となっていた。
そして滅竜魔法の魔力は修行を進めて感じたことは、この荒々しく吹き出る炎の魔力を精密に操作するのは通常なら不可能であるということだ。これはおそらくだが、ラクリマを吸収したせいだ。本来ならば、ラクリマが竜の魔力を調整する役割があったはずに違いない。まあラクリマ吸収したことにより本来より強力な力を引き出せるそうだ。
だがしかし、前世での18年間の研鑽と魔力の探求と、今世での極限の環境下での魔力制御訓練の成果もあって自分の思い通りの魔法の制御ができた。そして、ラクリマを吸収した時点で身体の内側は竜の特徴を帯びているようで、炎を手足にまとったり、口からブレスのように炎を放出したりと素手での戦い方がメインだそうだ。
自分の中では、魔導士と言えば杖をかざしたりや魔導書を読み取って魔法を放つイメージがあった。実際に訓練の際に俺に魔法を放ってくる連中は、魔法陣や魔道具を介して魔法を放ったり身にまとうが、滅竜魔法のように体から直接炎が発生する魔法は見たことがないため、滅竜魔法の異質さに気づいた。
他にも、炎を肉体から切り離して遠隔で操作したり、炎で牢や動物などの造形を作ることに成功した。更に炎で相手を拘束できないか試したところ、どうやら魔力の性質を変化させることによって、相手を燃やさず炎でつかむことができるようだ。
一通りできることを把握してから、この施設を脱出すると決めていたのでボチボチ出ようと思う。この施設に連れて来れた際に赤ん坊だからと目隠しはされてないため、出口までのルートを記憶に残っている。
こうして、幻想であったはずの魔法を手に入れ、竜に近づく第一歩を踏み出したのである。