吾輩は幼児である。名前はまだない。と冗談はさておき、さっそくだが魔力暴走をおこしているラクリマを飲み込んでいこう。前回のラクリマを飲んだ時は意外と余裕があるため今回も平気かと思いきや、ラクリマを飲んだ瞬間に煉獄竜の魔力と海王竜のラクリマの魔力が拒絶反応を起こしやがった。俺以外の人間ならこの時点で100回は死ねるぞこれ。
考えても見れば、炎と水なんて互いを打ち消しあう属性の魔力を同じ場所にいれてただで済むはずなかったな。体が縦に引き裂かれる感覚を覚えながら、二つの暴れ狂う魔力を制御しながらラクリマを分解していく。前回と違い魔力を制御するのに普通に1時間はかかった。あとラクリマ自体は3日で分解に成功したようだ。
これでようやく水の滅竜魔法を会得できた。がしかし、これをあと6回繰り返すとなると、半年に1回の移植じゃ、俺からしたら遅すぎる。いくら修行ができるからと言ってこいつらの監視目を搔い潜って修行を積むのも限度があるのでさっさと残り6つのラクリマを吸収したいのだ。研究員は俺の肉体を壊さないように細心の調整を行っているようだが、体の調子は確かめた感じ、一月に1回でよさそうだ。
まあ、モルモットの要求をのむ研究員がいるはずないので、ラクリマをぶんどった方が早いかなと思いつつ、大人しくいつも通り魔力操作と肉体改造、マンネリ化した魔力耐性の訓練と称した拷問と、薬物実験に勤しんでいた。
そんなことよりも、水の滅竜魔法だ。炎の時もそうだったが、掌から水が出てくるのは初めはビックリするな。それと同時に、前世で追い求めた魔力を使用していると思うと、感動がこみ上げてくる。
感想はほどほどにしておき、水の滅竜魔法を使って分かったことを挙げていこう。まずは、素手攻撃する際の威力は、炎よりは弱めである。しかし、放出する際は回転をかけることにより威力が飛躍的に向上した。いわゆる巨大な洗濯機だな。これは炎にも言えることだが、炎の火力を上げる場合は魔力密度を挙げればいいだけだ。
他には、水は炎と違って重量があるため、精密に操ろうとすると、炎とはまた違う感覚の魔力操作が必要になる。そして水をロープのように形状変化させたうえで、魔力の性質変化により物を濡らさずに持ち上げることに成功した。これも炎の時とほぼ同じ結果だった。
ここで魔力の形状変化と性質変化について説明させてもらう。
まず魔力の形状変化とは、魔力を操作ことにより、魔法で生み出す物の形を変化させる技術である。
俺に魔法をぶっ放してくる連中の一人に、下手くそな氷の彫刻を放ってくるので、主に魔法の造形を操る魔導士が磨く技術のようだ。
次に魔力の性質変化とは、放った魔法の属性の性質を変化させることにより、火は燃えず、水は濡れず、魔法を文字通り手足の代わりに使用することができる。
続けて、使用する水の体積をそのままに圧縮することにより、ウォータージェットのように、石像を切ることができた。水球を複数生成し操ることで、ファンネルのようにもできるが、魔力操作の技術のごり押しでやっているため、殴る蹴るの方がよほど早い。
そしてこれから、炎と水の魔法を同時に使用する修行にうつっていく。