転生したらかませ犬らしい件   作:友達の友達

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解き放たれた八頭の竜

 現在俺は、ひと一人いなくなった施設を自由に探索している。ここでの俺の情報に関する証拠隠滅をしている途中、襲撃された際にやられたのか院長の亡き骸が横たわっていた。一応、俺に滅竜魔法を施してくれた人物なので、誰にもバレない場所で手厚く葬っておいた。

 あと、俺以外の実験体がいないか探したが、どうやら俺の人体実験に全ての予算を費やしていたようだ。

 

 破られている出入口を出るとそこは、豪雪の降りしきる山の中であった。そうこの建物は人が一切寄り付かない、天然の要塞に囲われていたのだ。単純だが今まで誰にもばれない理由がよくわかる。

 

 もうここに用はない。想い出の詰まった場所だがケジメをつけよう。腰を低くし両腕を構え、魔力を放出していく。

 

「岩窟竜のぉぉ......大地崩壊!!」

 

 両掌の魔力を叩きつけると、轟音をたてながら建物は崩れ去っていった。

 

 岩窟竜ガイア・クローラー。3番目に手に入れた、土の滅竜魔法だ。

 

 かつて、大地を操ることで地面を這いまわり、大陸ひとつを穴だらけにした、土竜(もぐら)のような竜らしい。しかし、ひとたび地に足をつけると、大地が割れ、地響きが鳴りやまないため、やむなく地面の中で生活していたという逸話が残っている。故に、魔力の性質が衝撃波を生成することに特化している。

 

 土の生成及び操作は可能だが、この魔法のやばいところは、一歩間違えれば俺でも取り返しのつかない威力を出してしまうことだ。

 

 以前、岩窟竜の魔力を拳に纏い圧縮してみたらなんと、空間に触ることができてしまった。おそらく殴りつけたら空間に罅がはいる。分かる人には分かると思うが、やっていることがグラグラの実の能力まんまなのだ。

 

 海軍元帥に『世界を滅ぼす力をもっているのだ!!』と言わしめた力を、無作為に振るえば100%世界の敵になってしまう。そのためこの魔法を使うときは、魔力を必要以上には込めないようにしている。魔力操作で範囲を絞れるが、都市や町を巻き込まないとは限らないからな。

 

 なんて思いながら育ての故郷を粉砕すると、俺はすぐさまに風を纏って飛び上がった。雪雲を突き抜け、空へ体を投げ出した。

 

「いやっほーォォォーー!!最高だぜ!!こんな日が来るとはなぁ!!」

 

 人間だれしも一度は生身で空を飛ぶことを夢見るだろう。俺もそうだ。かつては断崖から飛び立とうなどというバカもやった。しかし今、俺は魔力を得て、空を自由に飛んでいるのだ。

 

 空の景色が美しい。朝日が昇る光景が見える。旅立つには素晴らしい日だ。空の景色を堪能するために再び風を纏う。

 

 空を飛んでいると、ふと気づいたのだが、俺には名前がない。なにか自分でつけなければならない。今の俺は、人類の夢を叶え、未だかつてないほどに穏やかな気分に包まれている。

 

「そうだなぁ。平和と穏やかという意味で『セレナ』にするか』

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