空の旅をひとしきり楽しんだ俺は、気分良くもとの場所に降りてきた。ここから人が集まる場所を探そう。そうして俺は雲の薄い方向へ歩き出した。空を飛んだ方が楽だが、最初の内は歩くと決めていたのだ。
獣道を突っ切り、1日間かけて山を降っていった。道中、見たことのない3mほどの緑色の大男?と遭遇した。これが本物のゴブリンというやつだろうか?まじまじと観察していると襲い掛かってきたので、ガン飛ばしてやったら全身青くしてどこかへいってしまった。見た目よりは賢いな。
こうして山を下りた俺はだが、人里目指して飲まず食わず眠らず走り続けた。ここがどこか分からない状態で歩いたらいつ人に会えるかわかったものではない。そんな風情のない旅をしていると、前方数十キロ先から多くの魔力を感知した。
一度足を止めて視力を強化すると、そこにはひと際大きな円形の建物が特徴的な大きいな街であった。俺は再び走り出しその町の入口へ向かう。
巨大な門の額には、『戦いの街ローズマリー』と記されている。
ローズマリーに足を踏み入れると、まるでヨーロッパのような街並みと、コスプレのような格好の住人が目に入る。少し格好が気になるが、俺もボロイ布切れ一枚だけなので似たようなものか。さっそくだが暇そうにしているおっさんに声をかけていく。
「そこのあんた、少し聞きたいことがあるんだが」
「おおどうした...て、なんだその恰好?」
質問に質問で返すな!!...じゃなくて。
「ああ、これはパジャマだ」
「そ、そうか。で、俺に聞きたいことはなんだ」
「金が欲しいんだ。どこかに仕事はねえか」
「仕事?おめえみてぇなガキ、雇うやつなんかいねぇよ。金が欲しければあそこで勝つことだな」と指を指した。
そう、ひと際目立つ円形の建物、まるで古代ローマの闘技場のようだ。
「まっ、あそこはこの町の名物、イシュガル大陸で唯一、公の場で魔導士同士で戦うことが許される神聖な場所だ。大陸中から腕に覚えがやつが集まってくる。おまけに最近じゃふるい落としも厳しくなったっていう話らしいぜ。お前さんのようなガキじゃ出場することすらできねぇよ」
そういうとゲラゲラと笑ってくる。なるほど、本当に闘技場だったとは。運がいい。異世界で初めて訪れた地で、さっそく俺の名を轟かせることができそうだ。
「そうか。そういえば、そこに賭け事はあるかい」
「は、賭け事?あるにはあるが、なおさら稼ぐなんて無理だろ。大負けして破産するだけだ」と可笑しなものを見る目で言われた。
「ちげぇよ、情報量としてあんたに賭けさせてやるといっているんだ。この俺『セレナ』という最強の魔導士にな。しっかり記憶しておけよ」
困惑しているおっさんとの会話を切り上げ、俺は闘技場へ向かった。