宇宙世紀ガンダム世界で生存戦略 作:星野林(旧ゆっくり霊沙)
『増えすぎた人口を宇宙のコロニーに移民せて半世紀が過ぎていた。移民達が住むコロニーは巨大な都市を形成し、人類の第2の故郷へとなっていったのである』
ピッ
「あの糞神……異世界転生でも五本の指に入る人が死にまくる宇宙世紀のガンダム世界かよ……」
俺は頭痛に苛まれながら窓を見る。
そこには宇宙空間が広がっていた……。
落ち着いて確認しよう。
自分はヒデヨシ・フジワラ。
ジオン公国軍の技術将校であり階級は少佐。
やっていることは公国軍の宇宙軍艦の設計及び開発である。
「しかも親がザビ家とズブズブ……そのお陰で俺も25歳って若さで、技術将校とは言え戦時でもないのに佐官なんかをやらせてもらっているが……」
移動用シャトルの中で前世の記憶を思い出し、今に至る。
神様からチート貰って転生させてくれるっていうから、人の能力値を変更できるチートを貰って、てっきり現代に転生すると思ったんだが……まさか宇宙世紀とは……。
しかもジオン側。
このままいくとザビ家とズブズブの家は一年戦争後にザビ家シンパが戦犯として一掃されると同時に処分される立場である。
しかも俺自身少佐って結構偉い立場に居るので、行動を誤れば戦犯指定されてしまうかもしれない。
ガンオタでは無い俺は、ガンダムの知識は第二次ネオ・ジオン抗争でアクシズ落としを行なった当たりまでを軽く知っている程度で、一番熱心に見たガンダムシリーズは水星の魔女シリーズというオチ。
いや、ジークアクスも見たけど、何度も繰り返して見るまではハマらなかったし、マチュとニャアンのキャラデザは滅茶苦茶良かったけど……終盤のゼクノヴァしまくる展開とか、巨大ガンダムは爆笑したけどさぁ……。
「それでもガンダム世界に転生ってそりゃねぇぜ神様よぉ……」
この世界がギレンの野望のゲーム世界だったら良いけど、公式媒体でジオンの勝ち筋ジークアクスしか無いし……サンボル世界だともっとやべぇ宗教勢力が出てきたり、人の心無いんか? みたいな頭だけの存在とか出てくるし……。
「ガンダム世界に転生したのに、モビルスーツに関する知識が詳しくないし、原作キャラについてもあんまり知らねーぞ……」
現在の年代は宇宙世紀0073……技術部の報告でモビルスーツの1号が完成したと報告が上がっていた時期である。
上からの命令はそのモビルスーツを運用する母艦となる艦艇の開発をうちの部署は命じられていた。
「……成果が出なくても独裁国家のジオンのことだ、粛清にも怯えなければならないからな……俺の頭の中にある知識をフル活用してある程度の成果を出しつつ、前線……特に重力戦線送りにならないようにして上手いこと戦犯回避をしねーと……じゃないとアクシズでハマーン様の政争に巻き込まれるかもしれねーし……」
とりあえず自分の生存戦略優先だ。
それに神様から貰った育成チートを活かしながら活動していくしかねーな。
「はぁ……まずはモビルスーツについての資料を読まねぇと……」
生き残るための生存戦略を練るのであった。
「一番多い艦艇がガガウル級駆逐艦、そして軽巡のムサイ、重巡のチベという感じか……」
ジオン公国はザビ家独裁が始まった時より軍拡路線に舵を切っているが、宇宙世紀0073年時点の公国軍の内情はお寒い限りであった。
モビルスーツの資料を読み漁り、史実でもムサイとチベはモビルスーツの運用が可能な艦艇として一年戦争では運用していたので、モビルスーツを運用できるようにする改装案を上に提出することは出来た。
ただ元々の艦の大きさが小さいガガウル級駆逐艦でモビルスーツを運用するのは、小型ミサイル艦でヘリコプターを運用するくらい無茶であり、艦内での格納は不可能。
運用できるように改装するとしても露天繋止する方法で、両舷側にドッキングベイを取り付け、モビルスーツの推進剤や弾薬を補給した即出撃可能な状態で運ぶという整備や再度の補給ができないならモビルスーツを運用することができると改装案を上に投げた。
これが通ってしまったので、俺はガガウル級駆逐艦から発艦したモビルスーツの補給、整備を現場でできる艦艇の設計を行うことにしたのである。
再度出撃できないモビルスーツは継戦能力が著しく低い。
多目的戦闘兵器であるモビルスーツであるが、試作段階の現状でも継戦能力に難点があった。
将来的には機体の大型化、バックパック式追加スラスターの装着、スラスターの性能向上でマシにはなっていくが、一年戦争で稼働時間に余裕ある設計してるのジオングくらいで、大型機であるビグザムも安全稼働時間20分以下って何処かで見た記憶がある。
稼働時間では木星帰りの天才のシロッコ設計のモビルスーツが良かった気がする……うん、記憶があやふやだから当てにできねーし、現状の技術力でシロッコのモビルスーツは作れねーからな。
モビルスーツを調べていくうちに、ジオン公国で採用している機械のパッケージ改造改修システムというのがあることがわかった。
言ってしまえば機械製造ができる3Dプリンターみたいな物である。
人口、経済力、工業規模のどれもが地球連邦と比べて大きく劣るジオン軍が大量にモビルスーツを短期間で製造できた理由がこれである。
あと史実ジオン軍がバリエーションが凄まじく多い理由は、このシステムを整備設備として採用した為、現地改修が容易にできる土壌が整ったのである。
これがあったからアクシズという小惑星やデラーズ・フリートの茨の園とかいう明らかに兵器製造無理やろっていう場所でもモビルスーツを製造したり、艦艇の改修、整備ができたのであると納得した。
「多分ドロス級宇宙空母内にもあったんじゃないか? これ?」
まぁあの巨大な宇宙空母にはあっただろうな……このパッケージ化された改修設備が……。
「……この設備の技術は月や地球の重工業企業よりも規模の小さいジオニックやツィマッド社にもあるんだよな……うーん、それを積んだ工作空母……いや、重工作艦を作れないだろうか? 多少値段は張るかもしれないけど、軽空母としてモビルスーツを運用できるんならガガウル級駆逐艦から発艦したモビルスーツの母艦になりうるし……とりあえず企画書と設計図引いて上に投げるか」
俺は旧式化著しいパプア級輸送艦を改修する案とバルキリータイプとこれまた旧式艦である巡洋艦を空母に改装する案を提出するのだった。