宇宙世紀ガンダム世界で生存戦略 作:星野林(旧ゆっくり霊沙)
「フジワラ中佐入ります」
マインクラフト作戦終了から約1ヶ月。
サイド3に帰還した俺は司令部へと招集され、暁の蜂起後、士官学校校長の職を辞して宇宙攻撃軍総司令官になるにあたり2階級特進にて少将になっていたドズル閣下と面会となった。
「久しいなフジワラ。前より武人らしい顔つきになったのではないか?」
「ドズル閣下も健康そうで何より……士官学校の生徒に手を出し結婚したと聞いておりますが」
「お前も部下に手を出していると聞いておるぞ……俺と似たもの同士ではないか!」
握手をした後、俺達は席に座った。
俺の年齢は現在29歳、一方でドズル少将は37歳。
正史とジ・オリジンでは年齢が違ったはずなので恐らくジ・オリジンの方が採用されているっぽい。
まぁ正史と各種パラレルワールドがごっちゃになっている世界の様なので今更であるが……。
「こうして面と向かって話すのは数年前のザビ家主催のパーティー以来か?」
「そうなりますね。その時にも閣下から私は女好きのもやしと馬鹿にされたものです」
「なに、あの頃は学者みたいな気質が強かったからな。今は随分と体格も良くなって軍人らしくなったな」
「ありがとうございます」
「うむ……腹の探り合いをするつもりは無い。今軍全体でもモビルスーツの運用に関して経験を積んでいる指揮官はフジワラをおいて他に居ない。そのフジワラから見て連邦軍に対して勝てると思うか?」
「緒戦は問題ないでしょう。ギレン閣下が提唱されたミノフスキー粒子による通信障害を発生させ有視界まで戦闘距離を縮めなければならないのと、その有視界戦闘においてモビルスーツは切り札と成り得ますからね。旧世紀最初の世界大戦において初めて戦車が投入された時の様にモビルスーツは戦術的な勝利を確証してくれるでしょう」
「戦術か」
「ええ、それを戦略として生かすのはドズル閣下やギレン閣下等の将官が考えること、佐官である私は意見具申はしますが、決定権は無いので」
「開戦は0079年初頭を予定している」
「やはり避けられませんか」
「ああ、モビルスーツの優位性があるうちに短期決戦で連邦から講和を引き出す必要があると考えている。現にモビルスーツの優位性を連邦は認識していない」
ジオニック社が意図的にモビルスーツの実験の写真を漏洩させ、それを連邦軍がどう受け取るか確認したところ、連邦軍ではモビルスーツの有用性を理解していないことの確認が取れていた。
それに暁の蜂起によって連邦のサイド駐留軍が退去したため、モビルスーツの開発を大々的に行なっても情報の漏洩を気にする必要がなくなったのである。
「軍需企業各社が開戦までのタイムスケジュールで用意できるザクⅡは約3000機……ザクⅠも戦争に耐えられるC型に改装したのを500機は用意できる計算だ」
初期のザクⅡの数が少し増えてザクⅠの数が減った感じか?
ザクⅡの数が増えれば開戦初期はなんとかなるだろう。
「モビルスーツ部隊育成もフジワラに預けたド素人達を、こちらの求める水準以上に育成する手腕とノウハウはジオン軍全体のパイロット育成にフィードバックさせてもらった。礼を言うぞ」
「こちらはヒヤヒヤしましたよ。資源ノルマが未達成だったらどうなることやら……」
「なに、少し叱責が入るくらいで更迭とかもないだろう」
「私はですが、ダイクン派と見られている部下の更迭はあり得ますからね。せっかく手塩にかけて育てたのに粛清されたらたまりませんから」
「そうそう、お前の部下なのだが……本当にパイロットはそのまま女性パイロット達で良いのか? 他所から引っ張ってきてパイロットを降ろし、後方で囲うのもできなくはないぞ」
「いえ、彼女達は十二分に戦力として数えることができるので、追加人員は喜んで受け入れますが、他所に飛ばすのは止めていただきたい」
「たく、兵を私物化しやがって……まぁそれならばパイロット候補生を追加で50人送る。あとムサイ級軽巡洋艦でモビルスーツ運用を前提に改修された物を4隻回す。重工作艦に護衛を付けないとまずいからな」
どうやら俺がムサイ改修案として提出していたムサイ後期型と呼ばれるモビルスーツ運用を前提とした物を参考に新型ムサイが完成していたらしい。
増設カタパルトを用いればムサイ級で格納できる6機にプラス4機追加で運用できるため10機(うち2機は予備機)として運用できそうである。
「モビルスーツ2個大隊を指揮下に置いたモビルスーツ連隊……それにムサイと工作艦を加えた5隻で独立作戦艦隊を運用してもらう」
「ほお……それは私がザビ家に近いからですか? それとも能力を見込んでですか?」
「女好きって欠点はあるが、若くて優秀な士官は少ないからな。兄貴……ギレン総帥の命令だ」
「了解しました……拝命します」
「それと艦隊を指揮するのに大佐だと階級が低すぎる。開戦時には准将もしくは少将まで引き上げだ」
「……ドズル閣下と階級が並びますが?」
「俺も戦時になる前に中将までは上がる予定だ。それに兄貴はキシリアへの牽制にお前を使いたいらしい」
「キシリア閣下に?」
既にキシリア派の将校が集まる突撃機動軍の戦力拡充は進んでおり、開戦時には月面制圧に関する作戦を既に練っていた。
「それとだ」
当面の間ドズル閣下の指揮下として俺や俺の部隊は運用されることになる。
まぁ一年戦争初頭は全兵力を集中運用するので、駆り出されることは確定していたが……。
「兄貴の計画では短期で連邦と講和を結べることになっているが、戦争が長期化した場合の計画を練っておかないといけねぇ」
「……私一応技術士官ですよ」
「将校になったらそうも言ってられねぇからな。なに、補佐は付ける。入ってこい」
部屋の外で待機していたらしい人物が入ってくる。
「総帥府から引っ張ってきた。元俺の生徒だ」
「カール・ホフマン少佐であります」
うわぁ……なんかヘルシングの少佐みたいなデブ来た……。
絶対やべぇ奴だ……。
「フジワラ大佐の噂はかねがね……フジワラ大佐の艦隊幕僚として働きますのでよろしく」
「ああ、よろしく頼む」
握手をホフマン少佐と交わして部屋から退室するのであった。