宇宙世紀ガンダム世界で生存戦略 作:星野林(旧ゆっくり霊沙)
(弾薬の規格化によって史実みたいな各武器に専用弾薬みたいな馬鹿げたのは回避できそうだ……ジオンの工業力にこれで少しは負担が減らせるハズ……)
ジオンの武器は共通弾薬が無いというのは有名な話で、口径が同じでも、旧式の武器では使えない……なんて馬鹿馬鹿しい話が出てくることもあった。
マ・クベ大佐が規格の統一を熱心に上層部に説いていたのも分かる。
ドズル少将じゃないけど戦いは数が基本。
自らその数を切り詰めるのは馬鹿がすることである。
まぁ、ビーム兵器が登場すれば口径問題は片付くのであるが……。
「ア・バオア・クー接合完了」
「各ブロックに工廠設置も完了。電源プラットフォームの配線接合に入ります」
「0078年末までにア・バオア・クーを稼働させる。余力があるうちにサイド3の本国防衛ラインを建造するのだ!」
「「は!」」
マインクラフト作戦の効果が出たのか、ア・バオア・クーの早期建造という効果が出てきていた。
俺の記憶が確かなら、ア・バオア・クーが稼働したのは一年戦争中だったはずなので0078年に完成すれば、戦前から兵器工廠として武器弾薬や兵器、艦船を供給してくれることだろう。
特に序盤から終盤まで宇宙艦艇不足で悩んでいたジオンにとっての価値は大きい。
ア・バオア・クーの完成をもって俺は階級が更に上がり准将になる予定である。
30歳で准将とか旧世紀でも聞いたことがないぞ……。
「失礼するよ」
「ん、シーマか」
監督船にて工事計画の修整をしていた俺は、シーマが部屋に入ってきた事で手を止める。
「現場から兵器の改善案が出ているよ。案の定ミサイル収納式の盾は不評だったよ」
「十分な防御力はあるんだけどなぁ……」
「それでも火薬が多く詰め込まれているのを被弾箇所の多い盾に付属するのは実戦では怖くて使えないねぇ。代りにそういうのを取っ払ったシールドは好評だったよ」
代りとして用意した盾……史実ゲルググにも使われていた盾であるが、あちらは好評だったらしいが、現場からは盾を装備するよりも対艦を想定するならば、両手持ちの対艦ライフル、もしくは取り回しの良いザクバズーカやザクマシンガンなんかを両手で攻撃する方が高機動時には安定するとも言われてしまった。
「盾は不評でもあれは評判良かったよ。ビート板と民生品の爆弾を改造した多目的グレネード」
「お、マジか」
ビート板というのは宇宙用のサブフライトシステムであり、目的の場所までモビルスーツの推進剤を節約しながら進むことができる代物であり、ビート板の出力を最大まで上げて敵に突っ込ませれば巡洋艦クラスなら損傷させられるくらいの質量弾にもなる。
敵地に行くまでのモビルスーツの推進剤の節約になるため、結果稼働時間が伸び、帰還も余力をもって行えると好評だった。
あとは多目的グレネード。
こちらはザクのヒートホークの様に、元々民生品の爆発解体や小惑星採掘に使われていた爆薬で、それをグレネードに改造した物であった。
威力はそんなに大きくは無いものの、こいつの利点は即席で火力を上げられたり、爆発による目眩ましが行える点である。
ビート板と組み合わせ、グレネードを巻き付けて敵艦にぶつけられれば、連邦の防御力の高い艦艇でも大ダメージを与えられると演習で分かっていたし、使い方次第では機雷みたいな感じでも扱えるのである。
それにこれの良いところはとにかく安い。
民生品の転用なので数を揃えられるのが大きかった。
恐らく主戦場は地上に移ってからになると思うが、それでもありがたい一品である。
(初戦の奇襲とルウムまでの戦闘で、最低でも連邦宇宙軍の艦艇は史実以上に撃沈しておかなければ……半年で再建されるとしても人の育成には時間がかかる。優秀な将兵を減らせれば長期戦になった際に有利になる)
「あとはガンダムか」
「ガンダム?」
「いや、何でもない。シーマ気にしないでくれ」
さてさて、どうなるか……。
「ふう……既存のミノフスキー・イヨネスコ型熱核反応炉の隔壁技術の応用で、Iフィールドが作れると分かってはいたけれど……だいぶ時間がかかってしまったな」
試作型Iフィールド……現状大型艦艇にしか取り付けられず、オンオフの切り替えにも時間がかかることから攻撃艦には搭載できない欠点がある。
なので試作品はうちの工作艦の前面に取り付けられて運用していくことになる。
「これで多少は沈みにくくなったか? まぁこれをどんどん小型化していく必要があるんだが」
ビーム兵器効かなくなったからって前面に展開……なんて馬鹿な事にならなくて良かったと思う。
まぁただでさえ遅かったのに、今だと艦隊運用に支障が出るくらいリキール重工作艦は遅い艦になってしまったが……。
ジオン上層部では凄まじい勢いで戦争計画が進んでいき、コロニー落としも上層部では根幹となる作戦として了承され、いよいよ戦争に向けてのカウントダウンが開始した。
ア・バオア・クーも戦争前になんとか間に合い、その功績で准将へ俺は昇進。
そして初期戦争案に従い、0078年12月30日、フジワラ艦隊及びモビルスーツ連隊はサイド1へ移動を開始。
いよいよ人類史上最大の戦争が始まるのである。