宇宙世紀ガンダム世界で生存戦略 作:星野林(旧ゆっくり霊沙)
(最初の山場は生き残ることができたか……)
試作のIフィールドを開発を急いでいたものの、ルウム戦役において別働隊を指揮していたので、艦隊を前面に出すことは無かった。
その為俺の艦隊は無傷。
ドズル中将の艦隊はルウム緒戦のティアンム艦隊との交戦や中盤以降のレビル艦隊掃討戦にて近接戦闘となり、被弾した艦も多い。
現在損傷した艦はア・バオア・クーや本国で修理が行われているため、戦力が回復するのは2月半ばくらいになるであろう。
タイムスケジュール的には講和が破綻した場合の予備プランとして地球降下作戦が検討されているが、それは3月1日以降とされており、一応間に合う予定である。
(史実以上に連邦艦隊を痛めつけたが、まだティアンム艦隊とルナツー駐留艦隊が存在しているからな……艦数的にはジオンより少し多い程度まで低下はしているが……)
それでも依然として大兵力なのは間違いない。
(ジオン公国民はこの戦勝によりザビ家への支持を爆増させている……か)
窓から外を見ると、公国民達が戦勝パレードを行なっており、ジークジオンと叫びまくっている。
(戦争に負ければ掌返ししてザビ家や公国支配者層に責任を押し付けるのだから恐ろしい)
「浮かない顔だな」
声をかけてきたのはドズル中将であった。
「閣下」
「硬くなるな。俺とお前の仲であろう」
「は!」
浮かない顔をしていた俺に声をかけてきたドズル中将には戦死した将兵を思うところがありましてと誤魔化して伝える。
「皆、勇敢な戦士達であった!」
とドズル中将は熱弁する。
熱い人だから誤魔化しても疑わないだろう。
「さて式典もそろそろ始まる。お前もシャキッとせい!」
「は!」
ルウム戦役の勝利によって勲章授与式典が行われ、シップスエースとして名を挙げたうちの艦隊のメンバーも参加していた。
シーマとアベリーの2人は特に問題は無く参加。
コンゴウ、イチノセ、オイゲンの3人はダイクン派として睨まれていたが、ダイクン派との融和及び挙国一致体制のプロパガンダとして活用されていた。
本人達は気まずそうだったけど……。
これによりエース達は基本1階級昇進し、シーマとアベリーの2人は少佐、コンゴウは大尉、イチノセとオイゲンは中尉にまで昇進。
一方で俺は他の将校との兼ね合いで昇進は無かったが幾つかの勲章が授与された。
(問題は捕虜にしたレビルがこの後脱走してジオンに兵無し宣言をして継戦へと傾くことなんだよなぁ……諜報部のキシリア機関や他継戦を希望する勢力が画策しているらしいし、ギレン総帥の演説を聞く限り、彼も人類の数を更に減らしたいと思っているからか継戦に意欲的)
最終的勝利まで止まることは無いのだ!
進み続けよ! ジオンの将兵達よ……か。
付き合わされるこっちの身にもなれよと思う。
(現状レビル脱走を妨害できる手駒が俺には居ない。黒い三連星より先にうちの兵達がレビル見つけて戦死させることを期待したんだけどねぇ……ままならんな)
式典以降はズムシティにある家で気に入っている女性陣達を招待して過ごした。
「マーズとカガリは結局軍属になるのか」
「絶対ヒデヨシが手回ししたでしょ!」
「……マーズ、でもどうせ徴兵年齢だったから気の知れた上官の下で働く方が良い」
「それもそうだけど!」
マインクラフト作戦以後、2人はそれぞれの会社に戻り、技術部で活動していたが、戦争の開始によって徴兵されることになってしまった。
2人は技術少尉の階級が与えられ、俺が手回ししてルウム戦役後にリキール重工作艦工廠付き技術士官として働いてもらうことになる。
「ヤリチンのヒデヨシなら本国にはもっと愛人を囲っていると思ったんデスが! 意外にも私達以外居ないんデスね!」
「本当ね、結婚もしていないなんて」
「婚約者は一応居るんだが、籍いれるとしても戦後だ。それに政略結婚だから仲が良くもねーしな。あっちも俺をザビ家と繋がるためとしか思ってねーから」
「良い男なのにねぇ……男をわかってないんじゃないかい?」
「結構ズバズバ言うなシーマ」
シーマは毒ガス作戦に従事しなかったことにより心労はほぼ無く、ストレスにより老け込んでもいなかった。
若々しい顔をしている。
現在は俺の愛人達の姉さんとして纏め役もやってくれていた。
「南極でジオンの交渉団が休戦条約を結ぶってテレビで言ってるってことは、戦争はもうおわりかな?」
「……それだとまた会社に戻らないと……」
「いーや、そう単純じゃねーんだわこれが……」
俺はテレビを付けると、丁度南極条約の様子が取り上げられていた。
代表団の中にはマ・クベ大佐の姿も確認できる。
「……始まるな」
すると画面が切り替わり、レビル大将の演説が始まるのであった。
「戦争はまだ続きますね」
「次の戦場は地球になるな。まぁ俺達は宇宙に留まることができそうだが……」
うちの部隊から後発の男性モビルスーツパイロット達は地球侵攻作戦に必要兵力として駆り出されてしまったものの、艦隊運用人員や工廠の整備員、女性モビルスーツパイロット達は残してもらったし、まだジオンにも余力がある時期なので徴兵されモビルスーツパイロットの適性がある補充兵が送られてきていた。
「地球って……ジオンの国力で抑えられる場所じゃないと思うけどねぇ」
「シーマの言う通りだが、上層部は本格的に長期戦を選択したからな……となると戦略物資……地球で採掘できる鉱物資源が必要になってくる……というわけだ」
「その確保ってことか……でも抵抗は激しいんだろ?」
「そりゃそうだ。宇宙の数十倍は過酷な環境だろうよ……今の地球は」
コロニー落としによる異常気象は、回復するのに数十年単位で地球の気候を狂わせている。
そんな中に一兵卒として俺は行きたくないね。
「そうなると私達は何をするの? 工作艦だから戦闘には参加させられないと思うけど」
「それについては俺が上層部に提案している。一応可決されるハズさ」
「それって?」
「なに、マインクラフト作戦の採掘から廃品漁りに切り替えるだけだ」