宇宙世紀ガンダム世界で生存戦略 作:星野林(旧ゆっくり霊沙)
(4月で攻勢限界とか……上層部は馬鹿か?)
「フジワラ准将、我々は地上に降りなくて正解でしたな」
「防諜はしっかりしているのか」
「問題ありません」
キシリア機関の者が潜り込んでいる可能性がある。
工員や補充兵の中に怪しい者が紛れ込んでいるのは知っている。
同軍内にも警戒するとは……いや、女性とはいえダイクン派を多く抱え込んでいるうちの部隊を警戒するのは当然か。
「地上侵攻軍はガルマ様が司令官ではあるが、オデッサを押さえたマ・クベ大佐が実質的な指揮官だ。となるとその上司のキシリア閣下が指揮権を掌握している構図となる」
「分かっております。私も参謀本部付きでしたので、どちらかと言えばギレン派です。キシリア閣下からは目の敵にされているでしょう」
俺はソファーに座り直し、ホフマン少佐と地上侵攻作戦について話をする。
「地上での重要拠点は鉱物資源が豊富にあるオデッサ、そして津波の被害を受けていない北米東部……ここは両軍が押さえることに成功したが、地上兵器に関しては地球環境が分かってないド素人が設計しているから不具合が起こりまくっている」
「閣下の設計された地上兵器は理に適っていた物ですが……」
俺は地球侵攻作戦前に、軍事機密が解除されている旧世紀の地上兵器のデータから割り出してジオンでも作れる戦車と航空機、それに輸送車両を設計していた。
「こっちがアイデア出しても上がカタログスペック重視の兵器を採用するんじゃ……なぁ……」
俺の設計で採用されたのはホバートラックのみ。
一応セイバーフィッシュの情報を提供したことで、ドップを旧世紀アメリカ軍が製造していたF-35をドダイをF117爆撃機みたいなちゃんと飛ぶ形に修整することには成功したが、結局は俺の設計された基本的なのに色々手が加えられてしまったらしく、地上で飛行実験した機体5機中2機が墜落したと報告が入り頭を抱えた。
地球だと大気の状態や風量、湿度等を計算しないとそりゃ落ちるわと思いながらも、北米に拠点を置いたジオン軍は地上の工場を接収し、航空博物館などから飛行情報を収集する有様らしい。
その間の制空権はビート板で味を占めたサブフライトシステムによってモビルスーツを飛ばして無理やり確保しているという。
(何でもかんでもモビルスーツ頼りとなれば、そりゃ補給線はパンクするわな)
それでいて3月中に地上の戦線を電撃的に拡張したものだから、占領地の維持に四苦八苦している。
マ・クベ大佐には悪いが貧乏くじを引いてもらった。
一方でルウム宙域にてスペースデブリの回収及び宇宙艦艇のサルベージを続けているこちらは順調そのもの。
連邦も懲りずに4回もルウム宙域に軍艦を派遣しては、ミノフスキー粒子散布下で通信が取れなくて、俺達の規模が分からず拿捕される艦艇が増え続け、それに修復艦も合わせれば、サラミス級巡洋艦が9隻、コロンブス級輸送艦を4隻も抱え込んでいた。
宇宙世紀ということで自動化が進んでいた事もあり、1隻当たり最低100人の人員で運用することができるが……本国から追加人員を希望したものの、これ以上人員は割けないと言われ、更に重力戦線に大量の人員を送ってしまった為、宇宙攻撃軍の補充がままならなくなってきていた。
「人員は渡せないが、4隻のムサイ級を手放そう。ドズル閣下の心情を少しでも良くして人員を送ってもらわないと……」
流石に南極条約に抵触するため、テキサスコロニーの住民の軍属徴用には踏み込まなかったが……。
「重力戦線……実りは投資に見合うか分かりませんな」
「恐らく見合わないだろう。本当の意味でレビルがいったジオンに兵無し状態になりつつある。国家総動員法で成人男性や女性の徴兵や予備役が順次取り立てられているが……」
「慣れない地球環境では、宇宙を恋しがる兵も出てくるでしょうね」
「ジオンが地球に固執する間に連邦は着実に戦力差を埋めてくるだろう……その時に国家中枢……ギレン総帥がどのように勝ち……いや、戦争の終わりを考えているのか……正直見当がつかない状態だ」
「閣下でも終結方法が見えていないと?」
「地球の鉱物資源を回収して、宇宙の制宙権を握り、連邦を地球に閉じ込めておくくらいしか無いんじゃないか?連邦はレビルによってタカ派(抗戦派)の勢いが凄いらしいからな」
そう、俺達は終わりが見えない戦争をしている。
例えガンダムをどこかしらのタイミングで撃破できたとしても、連邦の圧倒的生産力を止められるとは思わない。
(この戦争が1年で終わるのは知っているが、戦局が大きく動くのはV作戦次第……うちの部隊ではサイド7に奇襲することも難しいし、サイド7は中立区域。下手に手を出せば地上に左遷させられる可能性もある。手駒が居ない状態で地上に居るのは死を意味するからな……)
「サルベージを担当している部隊によると、閣下の言っていたサラミス級巡洋艦をジオン軍艦に塗装の上、モビルスーツ運用能力を持たせた改修も込みで7月上旬には目標の15隻は達成できる見込みだと」
「ホフマン少佐、連邦軍が宇宙軍を戦前規模まで回復してくるのは計算しているか?」
「連邦の生産力ですと……」
戦前の生産力であれば9月には回復してくるだろうが、地上の奪還のために多くの戦力リソースを陸軍や海軍、空軍に振り分けるのであれば11月まではズレ込むだろうと言われた。
(V作戦への資源や技術者の投入で12月まで遅れる……うん、史実通りのタイムスケジュールであれば12月が決戦になるだろう)
しかも史実ならば初期生産型の不良品とは言えジムを2ヶ月で5000機も生産する生産力を誇る。
ジオンが開戦からの3ヶ月で生産できたザクの数は約1000機。
1ヶ月換算だと350機程度しか生産できていない。
(うちの工作艦の工廠で月産25機が限界。工業コロニーでは艦船の修理に注力しているからこれ以上は難しい……か)
一応うちで生産したザクはソロモン要塞に送ってはいるのだが……あっちも地球にザクが取られて苦労しているらしい。
(ソロモンが焼かれる原因となったソーラ・システム……あれを早期発見し、破壊できるモビルスーツもしくはモビルアーマーも作らなければ……)
本当ジークアクス世界でもザビ家よく判定勝ちに持っていくことができたと思うよ……。