宇宙世紀ガンダム世界で生存戦略   作:星野林(旧ゆっくり霊沙)

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ルウム遭遇戦

 5月中旬、リキール重工作艦で製造された3機の新型モビルスーツ(リック・ドム)はジオニック、ツィマッド、MIP社にそれぞれ送られた後、3社が地球仕様に改修し、コンペの末ツィマッド社の改修型モビルスーツが採用された。

 

 型式番号はMS-09……ドムという名前が与えられ、最近製造され始めたグフよりも明らかに性能が良く、更に熱核ホバーエンジンを搭載したことで、ホバー移動が可能となり、航続距離が大幅に延長され、北米で製造され始めたグフは50機も満たない数で生産が打ち切られて、ドムの製造に注力されるようになる。

 

 現状地球用のモビルスーツ製造が優先され、制宙権を確保しているからか宇宙用のモビルスーツは後回しにされてしまっていたが、宇宙要塞ソロモンが完成し、その工廠でリキール工廠製造の為、リキール・ドム(リック・ドム相当)が製造されるようになり、そのままリキール・ドムの名称が根付いていった。

 

 地球用ドムとの違いはエンジン。

 

 地球用は熱核エンジンになっているが、宇宙用はコア・ファイターから技術を習得し、モビルスーツ用に再設計された超小型熱核融合炉が採用された点である。

 

 この動力は既存量産型であるザクⅡF型の5倍以上の出力を誇り、ザクとは一線を画す機体へと仕上がっていたのだが、出力が既存のザクとは違い過ぎて、機種変換に少々手間取るという問題も抱えていた。

 

 あとリキール・ドムは連邦側の操縦系を反映したため、ザクとはコックピットの形が変わり、広々としたコックピットに変わった為、居住性も向上している。

 

 その分機体は大型化し、ザクから1メートル近く大きくなってしまっていたが……。

 

 このコックピットは賛否両論だったらしく、ツィマッド社がコックピット周りをザク仕様に再改修したドムをリック・ドムと言うようになる。

 

 ドズル中将は再改修型のリック・ドムの方が避弾経始に優れていると判断したらしく、ソロモン要塞内の工廠で作られる宇宙攻撃軍用のモビルスーツとしてリック・ドムの量産が行われるようになっていった。

 

 ドム系列にモビルスーツが更新されていく中、焦ったジオニック社は持ち前の政治力で新型主力モビルスーツ採用試験を行うように圧力をかけ、7月下旬にテストが行われることがギレン総帥より決定された。

 

 リキール工廠に所属している技術班はその日に向けてゲルググ開発を加速させていくのであった。

 

 

 

 

 

 

「哨戒していたモビルスーツ小隊より、ルウム宙域に連邦の艦艇多数……1個分艦隊規模、確認できるだけでもサラミス級6隻、フリゲート12隻、コロンブス級4隻、見慣れない大型艦1隻」

 

「艦艇保全ドクトリンを取っていると思われる連邦にしては大規模な部隊を展開させてきたな……ザクの回収とは思わないから、月面都市への奇襲部隊……と考えるのが自然か」

 

 依然として月面都市のマスドライバーを利用して地球へ物資投下を続けており、その為質量弾による地上への遠距離攻撃を続けていたのである。

 

 その攻撃は主にヨーロッパ方面に続けられ、ヨーロッパ方面では質量弾によって連邦の基地が軒並み破壊されて機能不全に陥っていた。

 

 その為連邦はマスドライバー破壊作戦に打って出たのであろう。

 

「モビルスーツ部隊はスクランブル。拿捕はできればだ。破壊しても問題無い。セイバーフィッシュが搭載されているコロンブス級は優先して無力化しろ」

 

 直掩機を除き、ザクⅡB型を操るパイロット達はスクランブルしていき、約80機が連邦艦艇に襲いかかることになるのだった。

 

「ミノフスキー粒子濃度上昇、レーダー落とします」

 

「敵艦艇ロスト、連邦艦艇からもこちらを見失ったと思われます」

 

 俺は指揮所から指示をしていく。

 

「万が一に備え艦隊戦用意、目視及び短距離光源索敵を続けろ」

 

「光源反応多数、モビルスーツ部隊接敵した模様」

 

「モビルスーツ部隊の回収に向かう、艦艇前進」

 

「艦艇前進」

 

 

 

 

 

 

 

 一方、ザクを操るアベリー大尉の前には巨大な砲艦が現れていた。

 

「これは……電磁砲か!」

 

 それは超長距離からマスドライバーもしくはコロニーを破壊するために建造されたと思われる巨大なレールガンであった。

 

 コロンブス級を4隻連結し、1キロ以上にも及ぶ巨大な船体をしていた。

 

「このデカブツを沈めるのは惜しい、艦橋だけ破壊して、連邦が南極条約違反である大質量攻撃をしようとしていた証拠として確保するぞ」

 

 小型の隕石をマスドライバーで落下させているジオンが何を言うかと思うが、本国のプロパガンダや中立コロニーに向けてのアピールにはなるだろう。

 

『アベリー大尉、コロンブス級4隻の無力化に成功。搭載されていたセイバーフィッシュも破壊しました』

 

「抵抗続けるサラミス級とフリゲートを黙らせろ。破壊してしまって構わん」

 

『了解』

 

 モビルスーツで小隊指揮できる数は4機が限界とされる。

 

 それはミノフスキー粒子散布下で近距離通信で掌握できるのがその数くらいであるからである。

 

 大隊長をしているアベリー大尉でも幕僚機は3機である。

 

「相変わらず黄色い機体は目立つな」

 

 イエローケルベロス。

 

 ジオンの黄色い猟犬と言われるようになっていたコンゴウ、イチノセ、オイゲンの3人はニュータイプ能力が覚醒し始めていて、それぞれの空間把握能力の拡張と先読み能力が上がった事で見事な連携で艦艇を沈めていく。

 

 彼女達だけで既にフリゲートが5隻轟沈している。

 

「コンゴウ、新人達に少しはスコアを譲ってやれ」

 

『そうする為にシップスエースに換算されないフリゲートを落としているんデース! これで弾幕も穴が出来て、サラミスを撃破しやすくなるはずデース!』

 

「お前なりに考えていたんだな」

 

『アベリー大尉は私をなんだと思っているデスか!』

 

「はは、悪い悪い、コンゴウ達はあのデカブツの鹵獲に動いてくれ」

 

『了解デース!』

 

「さて、俺は被弾した味方の回収に動きますかね」

 

 

 

 

 

 

 

 

「モビルスーツ部隊の収容完了。こちらの損害2、戦死者無し。一方敵サラミス3隻撃破、2隻中破の上で鹵獲、1隻は艦橋破壊により小破で鹵獲。フリゲートは1隻鹵獲を除き11隻は撃破、コロンブス級は1隻鹵獲できそうでしたが、自沈し、他3隻は轟沈。デカいの……超電磁砲艦は無傷で鹵獲に成功しました」

 

「完勝だな……これが続けられればいいんだけど……」

 

 こっちの損害はモビルスーツ2機大破……パイロットの腕が良かったのもあったが、まだ連邦はモビルスーツに対して有効な対抗戦術が練られていないと思われた。

 

「しかし閣下……」

 

「ん? なんだ」

 

「鹵獲されたサラミスですが、対モビルスーツと思われる機関砲が無数に配置され、ハリネズミの様になっていました。モビルスーツ部隊の対艦ライフルによる長距離射撃によって早期に無力化したため犠牲が出ませんでしたが、連邦も対モビルスーツを模索し続けているのが分かりますなぁ」

 

 ホフマン少佐は連邦は急速に学習をしていると指摘する。

 

 今回はこちらの練度と、B型の高機動型だった為、弾に当たらないで済んだが、機動力の劣るF型や鈍足なC型であったら被弾が増えていただろうと指摘された。

 

「損害が2機で済んだのがやはり異常ですね……」

 

「連邦が対抗策として近々地上で鹵獲されたザクを解析して、ザクを上回る機体を開発してくるだろうから、それに対抗できる機体をこちらは用意しなければ……開発競争で負ければミリタリーバランスが一気に崩れるからな」

 

「では……やはり携行ビーム兵器の開発を急ぎませんと……ですか」

 

「それに耐えうる機体もな」

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