宇宙世紀ガンダム世界で生存戦略 作:星野林(旧ゆっくり霊沙)
「社長……いや、フジワラ閣下。今後社会はどの様になっていくと思いますか」
「なんだ急に」
ある日、量産されるジークアクスの製造レーンを見ていると、ホフマンが俺に話しかけてきた。
「ジークアクスの性能はモビルスーツ開発から数年の技術的進化を考えても5年から10年は一線級で活躍できる機体だと思われます。ジオン軍とは違い採算を考えないといけない企業である小官達が量産する必要はあるのですか?」
「ん? ジークアクス型ガンダムの量産はエース用の10機で打ち止めだ。この技術を踏まえて量産に向いた機体を量産する」
「……閣下はこの機体はいつまで使えるとお思いで?」
「まぁ良くて5年だろうな。10年は持たないと思うぞ」
正直に言うとジークアクスはグリプス戦役までの繋ぎである。
グリプス戦役から第一次ネオ・ジオン抗争までは一線級で活躍できる機体ではあるが、本格的にサイコミュの研究が進む、宇宙世紀0090年代になるとアナハイムの天下になるに関連して、モビルスーツの恐竜的進化が加速してしまう。
「技術部がフレームに限界が来ているって言っていたから、ここから新しいフレーム技術開発を成功させなければ、モビルスーツの技術開発で遅れを取る。うちがアナハイムに匿ってもらえているのも、技術力と軍事力ありき」
「地球連邦とプロレスをするにしてもある程度の戦力が必要になるからな。となると新型フレーム技術が開発でき次第量産型を作っていく必要がありそうだ。うちにはパイロットが1000人居るし、新入社員でもパイロット適性がある人は多い」
それまではハイザクとGザクを量産して時間を稼ぐ。
アナハイム的にもリキール・ゲルググを改造したGザクは連邦にエース機もしくは隊長機として連邦宇宙軍に売り込めているらしいから、量産をせっつかれていた。
(サラミス改級の建造やモビルスーツの製造の大量受注のお陰で滅茶苦茶利益は出ている。それにデブリ回収によって材料費の圧縮や、コロニー修復でコロニー公社より修理費の一部も貰えているから、軍事費に充てても結構余裕がある。アナハイムが独立採算制でやってくれているから、利益を出している間は自由にやらせてもらえるからな)
リキール重工作艦を売却したことによりモビルスーツ母艦が少なくなっているのが現状問題になっていたが、サラミス改級をH型に連結させ、モビルスーツ小隊を3つ運用できるダイクン級工作艦と言う名の重巡洋艦の建造も順調に進んでいた。
自動化も進めており、サラミス改級の運用人数が250人程度だったが、約倍に大型化していたが、350人程度の人数で運用できる予定である。
うちの会社が社員約1万2000人、製造や開発部門が7500人まで増えていたが、戦闘要員や艦艇を運転する人員も着々と増えていた。
ちなみにパイロット専任の人員は100人も居ない。
ほぼ一年戦争でエースだった人員か強化手術を受けた強化人間のメンバーで、彼らはザップコンシェル軍事部の切り札なのでモビルスーツを乗り回して訓練やデブリ回収を頑張ってもらっていた。
逆にそれ以外の人員はモビルワーカーを動かして、建造の手伝いをしたり、パイロットとしての訓練以外は厨房や社員用の売店店員をやっている社員も居た。
将来的には艦艇数を増やして、艦艇を運用する人員にする予定でもあるが……。
「まぁモビルスーツ母艦はモビルスーツよりも長く使える。ビーム攻撃を無力化できるIフィールドも小型化、省エネ化が進んでいる。ダイクン型は既存のモビルスーツ母艦を全隻更新するつもりで建造するぞ」
「今あるチベやムサイ、ザンジバルはいかが致しますか?」
「悪いがジオン系艦艇は持っていること自体がリスクだ。全部新型艦の建材に流用する」
ジオン系艦艇はことここに至り、我々がジオン残党であるという証拠となってしまう。
「我々は、ジオン残党を名乗らない事を選択した。故にスペースノイドの味方と言う立場を明確にする必要がある。その為にジオン残党は使える」
「ではデラーズとの決別の宣言は、彼とその勢力を我々が潰すと?」
「連邦上層部からすればジオン残党の内輪揉めで潰れた様に見えてくれた方が良い。そのほうがスポンサーからの受けは良いだろう」
「ジオンを名乗れないとなると……小官達の組織名はなんと?」
「……そうだな……Anti Earth Union Group……エゥーゴ。反地球連邦組織って名だ」
未来の名前を先にいただいてしまおう。
まぁ本当のエゥーゴができた時に合流するつもりで動いているがな。
ミーティアⅡの正統後継機であるミーティアⅢが完成する。
ジークアクスにも搭載していた海王星エンジンを搭載したことにより今までよりも出力が増加し、搭載されている銃身を延長したため、射程が20%伸び、出力が上がった事でビームの出力、推進力も増加した。
更にニュータイプパイロット達にはビットを改良し、フィンファングビットと呼ばれるミーティアⅢ搭載型中型ビットを搭載することに成功した。
横から見るとYの字に見える装備であり、従来のビットととは違い、母機に再装着してエネルギーを充電することで再度攻撃が可能となる新型のビット兵器である。
本当はモビルスーツに装着したかったのだが、モビルスーツではフィンファングビットにエネルギーを供給すると一時的にモビルスーツの動きが悪くなってしまうという欠点が発見され、モビルスーツより大きく、細かい動きをする必要が無いミーティアⅢに搭載されることに決まったのである。
更にミーティアⅢには2型と呼ばれる攻撃手段を2連ビーム砲だけにする代りに、他エネルギーを小型化した(それでもモビルスーツの半分近くの大きさの)Iフィールドに回すことで搭載することに成功した。
他にも6連ミサイルポットを搭載した3型、ビーム砲ではなく小型レールガンに換装した質量型ミーティアなんていうのも出来上がっていた。
ミーティアと言う追加パーツでモビルスーツが性能向上できるのは傑作兵器だと思う。
ただ、モビルスーツよりは安いとは言え値段のかかる兵器ではあるから量産効果で安くする必要があり、モビルスーツを数揃える事が難しく、新型モビルスーツを運用することができないサイド6や軍事制限がかけられているジオン共和国なんかがミーティアシリーズを購入してくれたし、ミーティアを宇宙戦闘機扱いできるようにコックピットを搭載した代物も出来上がったりしていた。
そんな感じで兵器開発を勤しみながら、いよいよダイクン型工作艦が完成することになるのだった。