宇宙世紀ガンダム世界で生存戦略 作:星野林(旧ゆっくり霊沙)
「ザクの武器が貧弱過ぎるな」
「仕方がないじゃない!モビルスーツなんて新兵器の装備品の選考がまだ済んでないのに」
「まぁ俺達に必要なのはドリルとかの採掘装備だけどな」
俺上官なんだけど……と思いながらもマーズのタメ口は好感度が上がっている証だと思いながらマインクラフト作戦に投入される予定のザクⅠの装備を確認していく。
小惑星の採掘として小さく砕いてそれを集め、資源ごとに抽出する機械にぶち込む。
小惑星の殆どが金属資源でできているため、精錬しながら抽出してインゴット状に加工していく必要がある。
インゴット状にするのは運搬を楽にするためであるが……無重力状態なので慣性のままインゴットが動くと容易に内壁を破壊してしまうので、パッケージ化されて輸送艦に運ばれるところまでほぼ自動で行われる。
艦の名前がまだ決まっていない重工作艦に工廠の他に大型の資源精錬装置が詰め込まれていると聞いているが、なんとも……。
「ドリルにランドセル型の資源回収装置、それに小惑星との衝突を緩和させるためのシールドねぇ」
「……実戦じゃないからこれで良い」
「まぁそうなんだが」
カガリからも言われてしまったが、ザクⅠとはいえモビルスーツ……武装している映像を前世で見たことがある身としては頼りない装備である。
船を動かすための生活物資の書類を作成したり、ザクの諸元と設計図をにらめっこしながら、技術者の2人に技術的視野から改善点を色々確認しながら作業を続け、いよいよジオニック社から内装の最終工程が終わったとの報告があり、作戦に向けての準備が加速するのであった。
俺は軍のシミュレーションルームに行くと隊員達がシミュレーションをしている最中であった。
勿論軍用シミュレーターなので、コックピットの内装を丸々再現した長方形の筐体の中でシミュレーションを行なっており、基本防音となっているため中の叫び声は聞こえてこないのであるが、順番待ちをしている隊員達はモニターを観ながら誰が勝つかの賭けをしている最中だったらしい。
「し、少佐!」
俺が来たことで驚いた隊員達が慌てて敬礼するが、俺は直ぐに手を下ろさせる。
「アベリー中尉は居るか?」
「俺ですかい?」
「いや、モビルスーツ隊の隊長お前しか居ないだろ……」
水星の魔女作中で中年太りして視聴者に衝撃を与えたケナンジ・アベリー……ケナンジという名前こそ違うが、苗字であるアベリーはそのまんまだし、写真を見た時にピンと来たのと、士官学校の成績が良かった事もあり引っ張ってきてモビルスーツ隊の隊長をやらせている。
一応作戦にマインクラフト作戦に参加する人員は300人、うちパイロット候補生は50人にもなるが、適性試験をパスしただけの素人が殆ど。
一応半年間もシミュレーターで訓練はしてもらった為、一年戦争終盤の学徒兵以上の動きは出来るだろうが、学徒兵以上、訓練兵未満……という感じ。
まぁ殆どの兵士達兵長の階級で、上等兵の1つ上、下士官である伍長の1個下の階級の者達である。
徴兵された兵士だし、下士官試験に合格しないと基本伍長には成れない為、任期の兵士は兵長でキャリアを終えるのである。
そこら辺は自衛隊の士長階級と似た感じ。
というかモビルスーツが航空機とパイロットが同じ扱いを受けるのであれば普通尉官スタートであるはずなのだが、ジオン軍人材が居ない問題……。
実際ジオン最大の戦犯と呼ばれるジーンも兵長という階級でパイロットとして初陣をしていたので、モビルスーツパイロットの一番低い階級が兵長ということになる。
確か大日本帝国海軍は兵卒パイロットが居た記録があったハズであるが……うん、ジオン初期状態で大日本帝国みたいなところあるんだよなぁ……ドイツ国防軍っぽいのに……。
「ああ、皆は楽にしてくれ……アベリー中尉ちょっと」
「なんですかい?」
俺はアベリー中尉を連れて休憩室に向かう。
「コーヒーで良いか?」
「甘いのでお願いします」
「太るぞ」
「別にモビルスーツパイロットは太っていても大丈夫ですよ」
「そういうものか?」
「そういうものです」
俺は缶コーヒーをアベリー中尉に投げ渡す。
ちなみに俺はジオン版のコーラを購入。
コーラがある辺り、転生前の日本でも馴染み深いコカ・コーラ社は健在なのであろう。
いや、ジオン版だからクラフトコーラの一種か?
経済制裁しているから地球産のコーラは入ってこないからな。
「モビルスーツのパイロット育成はどうだ?アベリー中尉が最初はトップだったが」
「フジワラ少佐はどうやってパイロット候補生を選出したんです?士官組でモビルスーツの成績結構良かったんですが、兵卒なのに竹が伸びるみたいな勢いで候補生達実力が伸びていくんですけど」
「そんなにか?」
「ええ、ほんと……俺もうかうかしてられないですわ」
成長補正入れているとはいえ、優秀なパイロットがどんどん誕生しているらしい。
それこそ受領した10機のザクⅠを試験運用しても、ちゃんと動かせて基本動作はバッチリだったらしいので、頼もしい限りである。
「しかし、ザク10機ではローテーション組んでいるとはいえ、経験積ませるのがなかなか……どうにかならんもんですかねぇ?」
「アベリー中尉はマインクラフト作戦については熟知しているよな?」
「ええ、小惑星から資源を採掘して、モビルスーツの実戦データを取る作戦ですよね?一応艦内でモビルスーツ作るって聞いてますが……約17メートルもあるザクを艦内で作れるもんなんですか?」
「可能だ。まぁちゃんとした設備は必要であるし、現地製造型って言うちゃんとした工場生産のに比べると一部違うのになる可能性もあるが」
「生存性だけは高めてくださいな。製造段階の事故で殉職なんかイヤですから……」
「それは勿論約束するよ」
兵士達は順調に育ってきているようである。
重工作艦の名前が巡洋艦時代の名前のバルキリーから配列を変えてリキール重工作艦の名前が与えられた。
なんか酒臭い名前である。
現在運用のための習熟訓練が行われ、各ブロックに人材が配置されて、てんやわんや……。
ジオニックとツィマッドの連中を同レーンに配置したら喧嘩が起こったりもしたが、会社の為を思うならライバル社の技術でも盗めよとそれぞれのグループを説得してからは、なんとか纏まって動くようになった。
頼むぜ……後々の統合整備計画を早めるためにも……。
ガンダム世界において重要になってくるのが後々のマ・クベ大佐が提案する統合整備計画……メーカーごとの差異を無くし、装備品の統一、そしてコックピット等の制御系を規格化することでパイロットの負担軽減と機種転換を容易に行えるようにするための計画であるが、0075年には影も形もない。
まぁこの計画も時期を間違えると、各企業の競争力が損なわれてゲルググが開発できなくなる可能性もあるが、モビルスーツの生産力が上げられる統合整備計画はできれば戦前に操作系の規格化だけでも通しておきたい。
(もっともジオン軍に戦争終盤、兵力が残っていればの話であるがな……)
開戦への歯車は既に動き始めている。
止めようとすればザビ家の不興を買い粛清されてしまうので、大量虐殺に関与することになるのが分かっていても働くしかない。
この知っているのに止められないストレスは女性と交流することで紛らわせるのであった。
【NTレベル】上昇……レベル2へ。