宇宙世紀ガンダム世界で生存戦略 作:星野林(旧ゆっくり霊沙)
「太陽が遠い……ここがアステロイドベルト……か」
宇宙世紀0075年3月1日……マインクラフト作戦始動。
アステロイドベルトにおいてジオン公国は3年前から小惑星アクシズを開発し、木星とサイド3の中間採掘拠点として稼働していた。
俺達マインクラフト作戦に従事するフジワラ艦隊(リキール重工作艦と交易型輸送艦2隻)を率いてまずはアクシズへと向かった。
一年戦争後、ジオン残党の最大拠点となるアクシズ……。
共和国時代にも資源採掘拠点として稼働していたが、拠点として稼働し始めたのは0072年以後である。
軍事拠点化を目指しているのもあり、俺が運んできた輸送艦にアクシズ内に工廠を作る機材が詰め込まれている。
また資源の精錬もリキール重工作艦だけではキャパが足りないと見なされ、アクシズの精錬設備も使わせてもらうことになっていた。
(アクシズの司令官は聞いたことが無い人物だな。ハマーン様の父親が司令官だったはずだが、まだこの時点では違うのか)
事前資料で知っていたが、アクシズ責任者の男性と面会し、マインクラフト作戦の書類を提出する。
「ふむ、モビルスーツ……本国ではこれが本当に戦力になると?」
「ええ、軍はモビルスーツを重視しております。ミノフスキー・イヨネスコ型熱核反応炉の小型化……これにより17メートルを超える巨人を動かせるようになり、戦闘機とは比べ物にならないほどの装甲と火力を手に入れることになりました」
半信半疑のアクシズ責任者に軽くモビルスーツについて説明する。
まぁ未来を知る俺からするとモビルスーツの恐竜的な進化は兵器開発史においても特異点だろう。
一年戦争から8年で第一次ネオ・ジオン紛争へとなるが、その間にガンダム系列は恐ろしい勢いで強化され、Iフィールドが実用化されるとビーム兵器も効かなくなる。
それにビットとかのNTが使えるサイコミュ兵器の進化も合わさり通常兵器では対抗不可能の領域になっていくことを知っている。
(ジオンが連邦軍に勝利できるポイントは何個かあるが、俺が生き残れるのはザビ家の支配体制が維持できた場合のみ……そうでなければ没落するからなぁ……)
目の前の責任者も将来どうなることやら……。
アクシズに工廠を建設する資材を運搬し、モビルスーツ部隊の活動も始まった。
「後期型の改良ザクでこんなに故障が発生するなんて」
「……直ぐに改善しないと製造なんて言ってられない」
実際ザクを稼働させて作業を開始させてみると、故障や不良箇所がゴロゴロ出てくる。
工作艦内の工廠はフル稼働でザクの整備や改修作業に大忙しで、マーズとカガリの2人は現場で作業用パネルに張り付いてザクの改修と改善案を洗い出していた。
「……やっぱり出力が足りてない……動力パイプを装甲内に全て格納しているのが効率を下げている」
「ジェネレーターの出力や排熱問題も出てきている……これだと機動力に問題が出てきてるわね……」
モビルスーツは専門外であるが、ザクⅡでは動力パイプが露出していたのを知っていたのと、動力パイプが露出していても、被弾した際の継戦能力に影響するくらいで撤退はできる。
それに機動力が足りなければ連邦軍の防空システムの前に撃ち落とされる可能性が高いのと、機動力が足りなければ宇宙戦闘機にも撃破される可能性すらある。
「スラスターの位置を調整し、動力パイプは露出させて効率化したバージョンも改修してみてくれ」
「わかっているわよ! すぐにやるわ!」
「……了解」
「ヒデヨシ、どうなの? 順調かい?」
司令官用の寝室にてシーマと夜戦をした後にピロートークをしていたが、責任ある立場なので、自然と仕事の話になってしまう。
シーマ自身も艦長としての立場を全うしてくれている。
「シーマ自身もモビルスーツパイロットとして活躍しているそうじゃないか……」
「あの程度乗りこなせないと女で士官学校を卒業できないわよ」
「そうか……順調といえばそうではないな」
「順調ではないのかい?」
「ザクの性能が思ったより低い。これでは兵器として運用するにしても制約が大きい」
これが後期型……そりゃザクⅡ開発を軍がメーカーにせっつく訳だ。
しかしこのザクを戦力として数えなければならないのがジオンの懐事情の厳しさを物語っている。
「そりゃ……今の性能だとな……」
「でもコックピットを改善してくれたのはありがたかったわ。狭くて動きづらかったからね。あとVRゴーグル……あれは良い。死角が無くなるから」
改修案の1つとしてゴーグルによる360度視界を得れる装置を搭載してもらったが、コックピットの配置を体に叩き込んだパイロットにとっては死角が無くなるゴーグルを装着したほうが安心して作業ができると好評であった。
(逆に配置に慣れてない人物にとってはゴーグルによって操縦桿の場所が分からなくなり、決定的な隙を生むことになるのか……これはゴーグルのモニター内に機材を薄っすら見えるようにした方が良いかもな……)
そんな改善案を考えながらもシーマとの一時を楽しむのだった。
パンパンパン
「ヒデヨシ! ヒデヨシ! きもちいい!」
「俺も気持ちがいいぞマーズ」
「……私も気持ちよくして」
「ごめんごめんカガリ」
任務開始から1ヶ月後、案の定マーズとカガリとは肉体関係を持つようになっていた。
ちゃんと避妊しているから妊娠はしていないし、娯楽が少ない環境なのが悪い。
シーマも俺に女性が増えるのは別に気にしていないらしい。
「マーズ、カガリ、ザクの改良型が形になってきたと聞いたが」
「ん、ああMS-05Cと言うべき形になったわ」
「……色々変わった」
ザク前期生産型(初期型)をMS-05A、後期生産型をMS-05Bと型番が与えられていたが、それの再改修型が完成し、リキュール重工作艦とアクシズの工廠でも建造が始まっていた。
史実ではMS-05Qと呼ばれたザクⅠとほぼ同型になっていた。
Q型とも呼ばれる機体は動力パイプが露出し、出力不足の熱核反応炉を換装、肩の駆動系にアーマーを追加したザクⅡにより近い見た目のザクⅠである。
更に細かい変更点としてスラスターの位置を変えて効率化し、より機動力の向上、推進剤の消費量の軽減による活動時間の延長を達成していた。
それでいて本体重量が約3トンも軽減している。
「C型の性能はだいぶ高い。ちゃんと兵器として運用できるようになっているからね。ただ今のザクだと拡張性に乏しくて……更に改修するとしたら全体のフレームごと変える必要が出てくるはずだね」
「……新型を作った方が早い」
ならばと俺は彼女達に提案する。
「資材あるし作ってみれば? 新型」
「え? 良いの?」
「別に試作品作っちゃダメとは言われてないし、作業員達に経験を積ませる必要があるからガンガンやれ。予算問題とかは後から考えれば良いから」
俺がそう言うと2人は服を羽織って図面を引き始めるのであった。