月は無慈悲な夜の女王 ―― TV版25話からの初期プロット√のエヴァンゲリオン 作:◆QgkJwfXtqk
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広い窓からは緑溢れる明るいジオフロントが一望出来るようになっている。
だが、今、碇シンジにはそんな眺望を楽しむ余裕など無かった。
「全身よ、全身!! アタシが綺麗だって言うならば、そこまでアンタの手で磨き上げてよね!!!」
「取り敢えず髪の毛なんだけど、ナンだよコレ? 泡立たないよっ!?」
「うっさい! 乙女にそんなデリカシーの無い事を言うな!! だったら何度でも洗えば良いのよ!?」
「えっと、ここも?」
「当り前でしょ。敏感な場所だから丁寧に、指で洗ってよね」
「ゆ、ゆびぃ!?」
「タオルでも痛かったりするのよ。仕方ないじゃない」
「………スポンジもあるけど………だめ?」
「駄目よ。それからアンタ、目を瞑っているのは酷くない?」
「ひ、酷いってなんだよ!?」
「見れたものじゃないって思ってる様に見えるのよね。貧相で汚れた体だから__ 」
「見るよ! 見れば良いんだろ!!」
「そう。そうよ、しっかりと見て、磨き上げてよね」
「うぅっ………」
「あ、もう少し優しく、ゆっくりとやってよね」
「………うん」
「アンタの指って細くていいわよね」
「そっ、そうかな?」
「そう。自信を持ちなさいよ」
「何の自信だよ?」
「さぁ? あ、そう。そうやって足の指、包む様に優しく洗うのって最高に気持ちが良いわ」
「………それは良かったよ」
「………まだあるでしょ」
「………こ、ココもするの?」
「あったりまえじゃない。頭の天辺から爪先まで。アンタはアタシの全てを見て、そしてアタシを生まれ変わらせるのよ」
「いや、でも、だってアスカァ!?」
「アンタがアタシに生きろって言った。綺麗だって言った。でもアタシは自分をそうだって思えない。だからアンタには実証する義務があるのよ。どこもかしこも綺麗だって事をね。だから最後まで綺麗にし尽くすのよ」
「………」
「返事は?」
「知らないからね」
「結構。よーく見て、汚れを残さずしっかりと、でも丁寧に洗ってよね」
「……判ったよ」
タイル張りの浴室。
その中央に鎮座する、大人すらも横になれる程に大きな猫足のバスタブに惣流アスカ・ラングレーは浸かっていた。
リフト式の入浴介助器具が使える様にされているバスタブ。
そこに寝そべっていた。
その様は、ジョン・エヴァレット・ミレイの描いた
弛緩し、力なく伸ばされた手と足。
水に囚われたかの如く、赤い髪が広がっている。
だが、違う所がある。
表情だ。
緊張感も無く、緩く笑っていた。
又、沈みそうにも無いというのも違いと言えるだろう。
水面下にあるその肢体、お腹の所に手が回され支えられているのだ。
勿論、それは碇シンジの手であった、。
何処かに浮いて行かない様に。
水底へと沈んでしまわない様に。
それ位、シンジはベット上で見たアスカの有様に恐怖を抱いていたのだった。
とは言え今は、別の意味で困っていたが。
健全な肉体の反応であった。
同じシャンプー、ボディソープを使っているのに何か甘い匂いに感じられるアスカの体臭。
密着している事で感じられる、お湯とは違う柔らかさを湛えた温かさ。
気に成っていた、可愛い女の子が腕の中にあるという状況は、シンジと言う少年にも性の目覚め ―― 男としての自覚を与えるのであった。
尤も、それが
否。
シンジの置かれた状況が、ソレを許さなかったとも言えた。
様々な負的感情が浮かび上がり、そして解けていった。
悔恨。
悩み。
迷い。
哀しみ。
6人目の
情緒はぐちゃぐちゃだった。
何時しかシンジは、泣きながら笑っていた。
口元を笑みの形に歪めながらアスカの襟元に顔を押し付け、涙をポロポロと流していた。
「………」
抱きしめられ、暖かい水に浮かぶという状況を満喫していたアスカは、自負と言うか自分への自信が少しだけ復活していた。
全身の力を抜いて温まるというのはそれだけのリラックス効果があるのだ。
更には、尾てい骨に近い所で感じる熱く硬いモノの存在があった。
直視するには恥ずかしいソレが、その存在が、自分が魅力的存在である事を教えてくのだ。
即物的ではあったが、そうであるが故に圧倒的な威力があった。
と、アスカは、お湯とは違う温かさが自分に注がれている事に気付いた。
少しだけ身を捩った後ろを見れば、シンジが俯いて涙していた。
裸の自分と抱き合ってうれし泣きをしている ―― そんな素っ頓狂な事は考えなかった。
只、何となく、シンジにも色々とあったのだろうと考えていた。
受け入れていた。
「…………」
「シンジ」
「……な、なに?」
「少し、手を緩めて」
「う、うん。だ、大丈夫?」
「大丈夫、よっと」
緩んだシンジの腕の中で、アスカはくるりと体を回してシンジを向いた。
「あ、アスカ」
蒼い瞳に、声を上げずに泣いているシンジの姿が映った。
幼子にも似た表情。
そこに辛抱堪らぬナニカを感じたアスカは、その泣いている頭を優しく抱きしめる。
「アンタに何があったかは知らない。聞かない。でも泣きたいなら泣いていいのよ」
それは、アスカ自身が驚くほどに優しく甘い声であった。
抱きしめる力を少しだけ強める。
それは自分に向ける言葉でもあった。
「多分、アタシたちに足りなかったのは、そういう事なんだと思う。多分……」
「うん………うん、有難うアスカ」
シンジもアスカも、泣いても慰めてくれる人は居なかった。
赤子の様に泣いた時にあやしてくれる人も居なかった。
守ってくれる人も居なかった。
だからシンジは全てを諦め、周りの顔を窺って身を守っていた。
アスカは守ってもらえないので、自分を守れる大人になろうと攻め暴れた。
防と攻。
対応こそ異なっているが、その本質は同じであった。
子供であるが、だが、子供として居られなかった子供だったのだ。
だが、それぞれの
殻を壊され過酷な現実によって、2人の幼い心散々に痛めつけられた。
それが今、僅かなりとも癒されていく。
アスカがシンジを抱きしめる。
シンジも又、抱きしめてくれるアスカを抱きしめ返す。
涙を流すシンジ。
アスカも又、涙を流す。
2人の涙は混じり合って流れていくのであった。
パンツとパンティ、それにブラ。
色気のないシンプルな下着の上に簡素な病院衣を纏った2人は、風呂から上がって濡れたままの髪でソファに座り、寄り添っていた。
呆っとした表情。
L字型の大きなソファ、その接点で体重を預けている。
足はそれぞれ別方向に延ばされているが、手は繋がっている。
そんな2人は、1枚の大きなシーツを仲良く被っていた。
何をする訳でも無い、静かな時間。
と、唐突にアスカはシンジの手をニギニギっと握って口を開く。
「どうしたの?」
「………ねぇ、ミサトの家のソファ。アレもこの大きさ、欲しくない?」
「………? もうソファはあるよ?」
「カーペット、色も悪いし硬いのよ」
「そう言えば何時もクッションを敷いてたか」
「そういう事。ソファなら床に寝そべるより柔らかいのよ」
お尻の下、ソファを叩く。
そこにシンジも納得する。
「それは、判る」
「でしょ」
「でも、お金は__ 」
「アタシの通帳には1,10,100と7桁はあるから余裕よ、余裕」
「だからって、前の奴はミサトさんのだし__ 」
「アンタの部屋に放り込んでおけば良いでしょ」
「ひ、酷いよアスカ!?」
「安心しなさいって、その代わり、寝るときはアタシのベットを使えば良いのよ」
「アスカはどうするんだよ」
「ハァ? アタシがどっか行く必要があるのかっつぅの」
「ゑ!?」
アスカがシンジの手を引っ張る。
引っ張って、シンジを腕の中に引き込む。
シンジの腕を両手で掴む。
「夜中にアタシが自分を信じれなくなったらどうするのよ」
「どっ、どぅって、どう?」
意図せずに密着したアスカの胸の柔らかさにドギマギしながら、シンジはアスカを見る。
至近距離、蒼い世界の中に捉えられたシンジに対し、アスカは至極真剣であった。
「要するにアンタはアタシに価値を与えると言った。それは24時間365日、その全てで行われなければならないのよ。判る?」
無茶と言えば無茶なアスカの主張。
だが、シンジはその蒼い瞳に傲慢さよりも、縋りつく様な弱さを見た。
見てしまった。
それが、シンジの中に居る漢に火を点けた。
「……良いんだね」
「……なによ!? 良いって、アタシが言っているのよ!!」
「そうだよね……だから__ 」
シンジはそっと繋がっていた手を離した。
シンジの左手、アスカの右手。
「えっ」
ぬくもりが失われる事を恐れたアスカが右手と左手をシンジに伸ばそうとする。
だが、その前にシンジが動く。
クルリっと身を反転させてアスカに覆いかぶさる様に動く。
その右の手はアスカの左手を握り、左の手は背とソファの間に潜り込む。
細身にも関わらず、以外と呼べる力でアスカを引き寄せる。
「あっ………」
今、アスカはシンジの紫めいた瞳に捉えられた。
見上げるシンジは、怖い程に真剣な顔をしていた。
その意味を理解する前に、或いは恐怖めいた感情をアスカが感じる前に、シンジはアスカとの距離が消した。
言葉の無い時間。
アスカも又、手をシンジの背に回すのであった。
暗闇に中に浮かんでいる様に見えるエヴァンゲリオン初号機。
その全身の特殊装甲が外され、素体が丸見えとなっている。
当然、特徴的な鬼の相貌めいた頭部装甲も外されている。
それは改修の為であった。
そこは一般のケイジでは無かった。
ジオフロントの更に下、特級の機密空間に設けられたエヴァンゲリオン整備区画であった。
「
暗闇の中にあって輝いて見える白衣を纏った痩身の男が淡々とした声で報告する。
赤木リツコに代わってNERVの科学技術部門を統括しているトーマス・レキシントンだ。
勿論、相手はNERV総司令官である碇ゲンドウだ。
傍らに、計測機器を大量に取り付けられた厳つい感じの試作
「そうか。空間用ユニットの開発状態はどうか?」
「ご安心下さい。
トーマス・レキシントンが手に持っていたエヴァンゲリオン初号機の改修進捗具合を纏めた書類の束、そのページを大仰な仕草で捲って差し出す。
そこには宇宙強襲航行ユニット、メス・ユニットと称されるエヴァンゲリオンに宇宙航行と宇宙空間での戦闘能力を付与する装備の開発状況が書き込まれていた。
A.Tフィールドを利用した、最大で亜光速にも達する空間推進システム。
又、A.Tフィールドを利用した、だがA.Tフィールドに頼らない防護システム。
この2つは試験結果は良好であり、製造段階にあると書かれている。
攻撃に関しては、中遠距離戦闘用はA.Tフィールドによる
此方は、プルトン・ビームが余りにも大威力兵器である為、実際に宇宙に出てからの試験とされていた。
勿論、ロンギヌスの槍の回収も同じである。
SEELEは、ロンギヌスの槍をコピーし量産している為、オリジナルのロンギヌスの槍を重視しておらず、回収計画は当座の予定に入っていない為、問題は無かった。
それらの内容を確認した碇ゲンドウは満足げに頷いた。
「順調だな」
「はい。あのSEELEの計画には必ずや間に合います」
「期待している。レイと初号機のシンクロはどうだ?」
「起動指数ギリギリではありますが、はい……」
綾波レイのエヴァンゲリオン初号機とのシンクロ率では、戦闘行動は不可能であるとトーマス・レキシントンは言いかけた。
だが、それを碇ゲンドウは手で制する。
「問題ない。起動しさえすればよい。手段はある」
トーマス・レキシントンに教えていない碇ゲンドウの
起動しさえすれば、後は乗っ取って動かせる。
そう碇ゲンドウは考えていたのだ。
「レイ、あと少し、頼むぞ」
「はい」
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健全なお風呂シーン
健全なお風呂上り
コレがしたかったから、作ったシリーズです
満足(けぷ
尚、アレだ
お風呂上りシーン
椿の花がポツリと落ちる
そんな事は御座いません
御座いませんったら御座いません